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魔女と汽車-人間の魔女とエルフの弟子-  作者: 白波
幕間6 教授と助手

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幕間6-2

 アリス魔法大学校の旧校舎の準備室。アリス教授の指示でマジックアイテムの解析の準備をしていたマリーは深くため息をつく。

 どうしてこのようなことになってしまったのかと。

 最初のきっかけは簡単だった。マーガレットがいなくあったあの日からマリーは独自にその行方を追っていたのだ。最初こそマリー単独での行動だったのだが、ルイス家が没落し始めたとき、何を思ったのか父親であるコニーもその調査に協力をし始めた。

 そうして、エルフに依頼するなどして動向を調査した結果、マーガレットが冒険者ギルドで依頼を受け、東部の町ラファへ向かおうとしているという情報をようやくつかんだのだ。

 長らくの間、行方がつかめていたなかったマーガレットの行方が分かると、コニーはマリーにルイス家が完全に没落し、乞食にでもなった振りをして近づいて、そのままマーガレットのそばで動向を逐一報告するようにと言う命令をしてきたのだ。

 こうして、ノース駅にマーガレットが到着し、宿を探しているという情報を受け取ったうえで使用人を使って食い逃げをした振りをして、マーガレットに近づいたわけであるが、その結果はあまりにも予想外だった。マリーとしてはそのままマーガレットの旅についていきたいところだったのだが、マーガレットはそれをなぜか提案すらせずに自らの師匠であるアリス教授を紹介し、その助手になれるようにと言う便宜を図ったのだ。正直なところ、マーガレットはエルフの少女を連れていたので、一人での行動にこだわっているわけではないはずなのだが、どうしてこうなってしまったのだろうか?

 最も、最初こそはマーガレットに近しい人物の懐に入ることができると踏んでそれに関しては何も言わずに受け入れたのだが、肝心のアリス教授は弟子であるマーガレットの動向……もっと言えば、彼女は何をしようとしているのかということを一切話してくれない。何度か、それとなく聞いてみたのだが、気まぐれにしか連絡をしてこないから知らないの一点張りである。もしかしたら、マーガレットは騙せても、目の前にいるアリス教授はそう簡単に騙せないのかもしれない。だからこそ、仕事は丁寧にこなし、何を言われても文句を言わずに笑顔を忘れないで作業をこなしているわけであるが、そろそろ限界である。

 こっそりと実家から受け取っている連絡ではいつまで経ってもマーガレットの行方がつかめないことに関してコニーが怒り始めているという情報もあるし、何よりもマリー自身もあまりにもマーガレットの所在がつかめないことに不満を感じ始めている。

「すまない。待たせてしまったな」

 そのようなことを考えている中、アリス教授が準備室に入ってきた。

「いえ。こちらもまだ準備中ですよで」

 それをマリーは笑顔で迎え入れる。

「そうだったか。準備が出来たら教室の方へと戻ってきてくれ」

「はい。わかりました……ところで、教授。一つお聞きしたいことが……」

 マリーが尋ねると準備室から去ろうとしていたアリス教授が足を止める。その表情をはどこか気だるそうなものだった。

「あの。姉は……マーガレットはどこで何をしているのか連絡が来たりはしていないですか?」

 マリーの質問にアリス教授はため息交じりに回答する。

「わからん。前にも言ったかもしれないが、あいつは独り立ちしてから気まぐれに旅をしていてな。連絡もまともによこさないからどこで何をしているかなんて言うのは私は知らないよ。最近は前よりも連絡が減ったから余計にな。これでいいか?」

「……はい。ありがとうございます」

 マリーが少々残念そうな表情を浮かべるとアリス教授は少しだけ笑みを浮かべてマリーの肩にポンと手を置く。

「まぁあいつのことが心配なのはわかるが、それは私も一緒だ。あまり無理をしない程度に頑張ってくれると嬉しいよ」

 そう言ってから、アリス教授はマリーから手を放し、そのまま準備室から去っていく。その背中を見送ったマリーは深くため息をつく。

 いったいどうしたものだろうか? このままではマーガレットの行方を追うどころかアリス教授の助手としてずっと働き続けることになりかねない。一体全体、マーガレットやアリス教授は何を考えているのだろうか? このようなことになるのだったら、いっそのことノースの町で再会したときに強引にでもコニーのところに連れて行った方が良かったのだろうか?

 そこまで考えて、マリーは首を横に振る。

 いや、マーガレットを捕まえるのはあくまでもルイス家に残っている数少ない近衛がやることであって、マリーが自らやることはではない。とりあえず、早くマーガレットの動向をつかまなければならない。

 そう考えながら、マリーは準備室で一通りの準備を終えて、アリス教授が待っている教室へと向かっていった。

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