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魔女と汽車-人間の魔女とエルフの弟子-  作者: 白波
第3章 身分証の作り方

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第16話

 メアリ王国の移民局は思っていたよりも多くの人でごった返していた。正直な話、メアリ王国への移民が多くいるとは思っていなかったのだ。

 そのあたりについてアイに聞いてみると、メアリ王国はお金さえ積めば国籍を手に入るという点が大きく作用していて、主に北部連邦に在住していて、何かしらの理由でメアリの国籍が欲しい人たちが集まるのだという。

「受付番号78番の方! お待たせしました!」

 そんな中で待つこと約一時間。ようやくマーガレットが呼ばれる。窓口に行くとエルフの女性が待機しており、マーガレットの前に必要書類を並べていく。

「結構書類が多いんですね」

「はい。ただ、人によって必要な書類は変わってきますので、事情をお聞きして必要な書類にサインいただいたうえで『手数料』をいただくような形になっています」

 その会話の後、マーガレットは受け付けの担当者と話をしながら必要な書類にサインをしていく。そうして、最後に残るのは手数料の問題だ。しかし、これに関しても一応は解決している。マーガレットのように事情を持っていて元の身分が明かせない場合は通常よりも多くの手数料が請求されるそうなのだが、アイの手元にあるマーガレットを見守ってほしいという内容の依頼の小切手の金額と手数料の金額がぴったりと一致しているのだ。幸いなことにアイは依頼金の方には手を付けていなかったので必要なお金もそれで賄えるということになる。もちろん、そのお金に関しては後々アイに返すという約束はしっかりとしたうえでの行動だ。

 こうして必要な書類を記入後、アイから受け取った小切手をそのまま渡して手続きは終了となる。ここまで来てようやく『魔女マーガレット』の身分証が手に入ったのだ。

 一通りの手続きを終えて、移民局を出たマーガレットはさっそく自らの身分証を確認する。父親とけんかして家を出た後、アリス教授に拾われてから今までなかったそれを見てマーガレットは少々感慨深いものがある。

「やりましたね。マーガレット様」

「そうね。これで『例の本』の調査依頼儲けれるわね。いろいろとありがとうね。アイ」

「いえいえ。それほどでもないですよ」

 そのような会話を交わしながら、マーガレットたちは昼食をとるために近くの食堂へと向かった。


*


 メアリ王国の国籍を獲得したのち、マーガレットたちは馬車と列車を乗り継ぎフランまで戻ってきていた。

 その目当てはことが上手くいったこと、ミカの聖書に関する依頼を受けようと考えていること、そして、アイが探偵として受けた依頼について話すためだ。

 一番最初の話題はあっさりと終わり、今はミカの聖書に関する話に移行しつつある。

「なるほど。ミカの聖書について調査をするから、長い間北部連邦を離れると……すでに腹は決まっているんだな?」

 そう問いかけるアリス教授に対してマーガレットは真剣な表情でうなづく。

「はい。そうです」

 マーガレットの答えに対して、アリス教授は不敵な笑みを浮かべながら返答する。

「そうか。少し寂しくなるな……だが、これも必要なことなのかもしれないな」

「……そうかもしれないですね」

 おそらく、アリス教授は今回の件でマーガレットが完全に独り立ちすることになると考えているのだろう。これまでは独り立ちしていると言っても北部連邦の中ばかりを移動し、アリス教授の手伝いなども行っていたため、完全にアリス教授から離れるということはなかったと言えるかもしれない。しかし、北部連邦の外……ほかの大陸に行くとなると、連絡手段も限られてくるし、何かあったとしても駆け付けられるような距離ではなくなるので場合によっては顔を合わせるのが最後となる可能性すらある。

「まぁもし、聖書が全部集まって願いが叶ったらまた私のもとに来てくれると期待しているよ」

「はい。わかりました……それで次の話題なんですけれど……」

 そこから、マーガレットはアイが探偵として自分に近づいてきた。という話をし始める。ただ、このあたりについてはアリス教授の中でその可能性が想定されていたらしく、その話についてはやっぱりそうだったかというぐらいの反応を示すのみだ。

 それに関して、マーガレットは自分はまだまだだなと感じながらアリス教授の話を聞く。アリス教授が言うにはフランの闇オークションの事件について出来すぎていたり、そもそも、マーガレットのことをある程度調べ上げたうえで近づいてきた時点で怪しいと感じていたようだ。

 そこまで一通り話し終えてから、アリス教授は小さな小石を机の上に置く。それは、マーガレットとアイが出会ったナギサの町の近くにあるナギサ遺跡で手に入れたマジックアイテムだった。

「……お前がミカで調査をしている間に解析が終わってな。渡すのを忘れていたものだ……まぁ解析結果から言えば、身に着けているだけで服が汚れなくなるマジックアイテムらしい。まったく。どうしてこんな小石にそういう魔法をかけたのか、先人の考えることはわからないな」

 そう言いながらアリス教授はマーガレットに小石を渡す。

「まぁともかくこの先、聖書を集める旅は困難を極めるだろう。だが、お前だったら必ず最後までやり遂げると信じているよ」

「ありがとうございます」

 マーガレットは小石を受け取った後、ポケットにしまいそれからアリス教授と固く握手をする。

「アイ君もマーガレットとちゃんと、仲良くするようにな」

「はい。わかりました」

 そうして、マーガレットたちとアリス教授の話は終わり、マーガレットとアイは教室を後にした。

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