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青梶と茜が休憩時間を利用して、また真面目に話し合っていた。
他のグループは完全に和気あいあいとしているのに、青梶と茜だけは、まるで戦の出陣前のような目つきをしている。
二人の話を聞かれないようにと、毎度恒例、その周りをドチグマがうようよと大きな身体を揺らしながら動き続け、一方、シバコウは僕の机の上で、ぐったりとしている。
この日、授業が始まると、シバコウは僕のバッグにモソモソと身体ごと入っていき、寝息をスヤスヤと立てていた。
「統一神は、特別な力を有している。絶対的な存在だ」
その絶対的な存在である統一神とシバコウは知り合いだったのだという。
桜井先生は僕に目配せをしてきては、シバコウを注意しろ、と目で訴えかけてくる。
「ワシは、神になるんじゃ!」
バッグから頭だけを出したシバコウによる大きすぎる寝言が教室中に響き渡る。
当然、シバコウは桜井先生から大目玉を食らい、「すまんのう」と謝っている。
教室の少なくなった視線を、シバコウは一気に集めていた。
この日も授業の途中、桜井先生は小休止のような空気感で、さらりと重大発表をしていた。
「今回は、多くの卒業生が出た。おめでとう」
七人と三匹。明らかに、多い。
桜井先生がまたパチパチと、手で音を奏でている。
やはり、卒業の基準が、はっきりとは見えない。銃。
「ねえ。ちょっといいかな?」
教室から桜井先生が姿を消すなり、一平が、僕の席に来ていた。
一平と会話すること自体、初めてだったので、「え、なに?」と反射的に、僕は身体を後ろに仰け反ってしまう。
シバコウとリエルは授業が終わるとすぐに、隣の部屋に走っていった。
茜は、僕の知らない人たちがいるグループに混じり、笑顔を見せている。
青梶と話し合いをする時以外は最近、茜は毎回、異なるグループにいるような気がする。
「僕のペアが見当たらないんだけど、どこにいるか知らないよね?」
一平のパートナーは白猫のレオだと、かろうじて知っていた。
やけに頼もしい身振りをする猫だったはずだ。
「猫だし、自由気ままに、どこか散歩をしているだけじゃない?」
「そうだと、いいんだけど」
明らかに一平は、狼狽している。
卒業生が急に増加したタイミングで、パートナーが忽然と消えるとなると、不安になるのは、よく分かる。シバコウも、いつも急にいなくなる。
こちらはすぐに、帰ってくるが。
「じゃあ、一緒にレオを探しに行こうよ」
「いいのかい?」
言葉に反して、一平はすぐに教室から出ようとしていた。
「最初からそのつもりで、僕に声を掛けたんでしょ?」
「バレていたのか。恥ずかしいな」
「ところで、どうして僕に頼むのかな?」
「レオがよくシバコウの名を口にしていたからだよ。それにリエルやきなこの名も」
先日、同じようなことがあった時、一平は茜や青梶に助けを求めたらしい。
「でも、その後、すぐにレオがふらっと帰ってきてね。あれじゃあ、面目が立たないよ」
「だったら今回も同じように、すぐ帰ってくるんじゃないかな?」
「それでも、心配なんだ」
「分かったよ。じゃあ、とりあえずシバコウにも頼んでみよう」
「いや。ちょっと今の状態では、シバコウは遠慮しておこうかな。だって……」
シバコウが銃を持ち歩いている姿を偶然、見かけちゃったんだよ。




