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ボロマチ見聞録  作者: 篩獅師(ふるいしし)
【第1話 ココットとドルコナ】

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第1話の8 「くっさっ!」

「ねえ、ココットさん。やっぱり、あの旅人さんが探し主なんじゃないでしょうか?」


 指さしながらそう言ってユーリンが見やると、ココットは旅人の顔を少し見上げながら、少し考えるような仕草を見せていました。


「あの変な笑い方…。まさかとは思うけど…」


 一抹の不安を覚えました。


「何か思い当たることでも?」


 ユーリンの問いかけにココットはうなずきました。

 ココットは口元を覆っていた三角巾を外しました。


「ねえ! 私がココットだけどっ!! あなたは誰かしらっ!!!」


 両手でメガホンを作って、大きな声を上げたココットに注目が集まり、てっぺんに載った旅人も聞こえた声の方を向きました。


「おおっ! その声はっ!」


 その時、広場に『廃棄物回収用機械獣』、ユーリンのいうところの『ミゴーちゃん』がやってきて、その日の作業をこれから始めようとしました。


「お~い! 今から回収を始めるから、出していない人は、早く出してくれ~! 無けりゃ作業を始めるから、みんな離れてくれ~!」


 『ミゴーちゃん』を扇動してきた髭面の作業員、種族はどうやらオーガのようでしたが、彼が大声を上げました。

 ずしんずしんと、重たい足音を立てて、『ミゴーちゃん』はゆっくりと近づいてきます。


「うわっ!?」


 不意打ちの振動に足元が崩れ、グラリとバランスを崩した旅人が、下で見上げる二人の方へ転がり落ちてきました。


「ちょっ、危ないっ!?」


「落っこちてきましたっ!」


 ココットとユーリンも慌ててその場から飛びのいて、衝突を避けました。

 ドン、ガラン、ガッシャンコ!


「痛っ!!」


 ゴツンと、殆ど真っ逆さまに頭から石畳ぶつかる鈍い音が聞こえたが、ひびが入ったのは旅人の頭蓋骨のかぶりものではなく、むしろ石畳の方でした。

 旅人は反動で軽く跳ねてから、ばったりと大の字になって、ピクリとも動かなくなりました。


 ★


 見ていた者たちも、一瞬静まり返りました。


「ひょっとして、死んじゃったのでしょうか?」


 ユーリンが縁起でもないこと口にしました。


「えっと…」


 取り敢えずココットは恐る恐る近づいてみました。


「くっさっ!」


 かなり汚く、そして『しばらくお風呂に入っていない臭い』を鼻先に感じたので、本能的にその場から二歩ほど後ろに下がりました。

 ココットの後ろに立っていたユーリンに軽くぶつかりました。


「おっと。大丈夫ですか?」


 ユーリンはココットの両肩にそっと手を載せて、事の成り行きを見守ることにしました。


(つづく)


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