↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボロマチ見聞録  作者: 篩獅師(ふるいしし)
【第1話 ココットとドルコナ】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/32

第1話の7 「あのかたは、例の旅人さんですね?」

 翌日。


「ちょっと、頭がグルグルしてる…」


 昨夜、ユーリンと飲んだお酒もあって、少し起きるのがつらかったのですが、どうにかココットは寝坊することなく起床しました。

 いつものように手早く身なりを整えると、集合住宅の住人たちを起こして回りました。

 それから大きな荷車に捨てるものを全部詰め込むと、みんなで集積場まで転がしていきました。

 集積場には既にこの辺りの地区から集められた生ごみや、燃える廃品の数々が、ピラミッド状に積まれていました。


「ココットさん。おはようございます」


 既に到着していたユーリンが迎えてくれました。

 お酒に強いらしく、ココットよりも飲んでいたにも関わらず、いつも通りの様子でした。

 彼女は臭いよけのために、三角巾を利用して、マスクのように口元を覆っていました。

 実際、半分は自分の酒臭さを誤魔化すためでした。


「おはようございます。しばらく回収が無かったから、今日は随分と多いですね。それにしても、相変わらずすごい臭いですけど…」


 ユーリンと違ってマスクを忘れたココットは、その悪臭に顔をゆがめました。


「さあ、早く下ろしてしまいましょう」


 ココットの号令で、アパートの住人たちの手で、手早く荷物を下ろし終えました。

 少しだけ、ゴミのピラミッドが大きくなりました。


「ごくろうさまでした」


 ココットをその場に残し、他の住人たちは荷車を引いて戻っていきました。


「相変わらずたくさんありますね~」


「古いものを大切にするって言っても、さすがに生ものや壊れ物はね。こればっかりは」


 ユーリンとココットは二人並んで、だいぶ積み上げられた本日の廃棄物を見上げました。

 二人並ぶと、ユーリンの方が頭二つ分ほど高くなっていました。


 ★


 不意に、反対側の方で何か動揺するような声が上がりました。


「ん? 何かあったのかしら?」


「何でしょうかねえ…」


 二人は向こう側に回り込みました。

 見ればゴミの山の一角が盛り上がり、内側から外側に向かって、次々と廃棄物が落とされていきました。


「ちょっ、危なっ!?」


 危うくココットの方に落ちてきそうになり、慌てて飛びのきました。


「よっこいしょ。ふう。やっと出られた」


 中から這い出してきたのは、頭に頭蓋骨をかぶった旅人でした。

 ボロ布のようなマントを羽織り、大きく膨らんだリュックを背負い、左手には杖代わりの丈夫そうな木の棒を携えていました。

 小柄な体型だったが、旅人らしいたくましさも感じられました。


「あら? あのかたは、例の旅人さんですね? 何でゴミの中から出てきたのでしょうか?」


 ユーリンは小首をかしげました。

 ココットは、『まさか本当にゴミと間違えられたんじゃ』と思ったが、口には出しませんでした。

 旅人はそのまま頂上までよじ上ると、そこに立ってぐるりと一周、身体をそうっと回しました。

 それから。


「ここに、『ココット』と名乗る女性はいないかね? アタシと同じ、ドワーフ族だ。年齢はアタシと同じくらいだけど」


「汚ね~から、あんたの顔がわからんぞっ!」


 どこからか、誰かのヤジが飛びました。


「そりゃ、そうかっ! でへへへへ~」


 その旅人は、頭にかぶった頭蓋骨を、こつんと叩きました。



(つづく)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。