↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボロマチ見聞録  作者: 篩獅師(ふるいしし)
【第2話 ユーリンと紙の精霊】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/32

第2話の2 「魔術師の曰くつき?」

 オークの露天商はボボガガと名乗りました。

 普段はこうして定期的に開かれる蚤の市で店を開くほか、幾つかの仕事を掛け持ちしているとのこと。

 せっかくなので、ドルコナは適当な世間話をしながら、一つ一つ品物を見せてもらいました。

 その多くは小物で、使い古されたものだったが、質は悪くなさそうでした。

 そんなことをしていると、ボボガガが立ち上がりました。


「お~いっ! ユーリンの姐さ~ん!」


 さっきよりも大きな声を上げて、ブンブンと手を振りました。

 それに気づいたユーリンは、にこやかな笑顔で軽く手を振り、こちらへやってきました。

 引っ張っているカートには、既にどこかで手に入れたのか、古書が束ねられていました。


「あら? ココットさんのお友だちの?」


 意外な場所でドルコナの姿を見つけて、ちょっと驚いたような反応を見せました。

 一方ドルコナの方は、ユーリンのことがちょっと思い出せずにいましたが、ココットの名前が出てきたので、どこかで自分のことを見られたのだろうと思いました。

 実際、あの騒動の時にしっかりと見られていましたが、ドルコナはココットに目が行っていたので、記憶が曖昧でした。


「アタシはドルコナ。今はココットの部屋に泊めてもらっているんだ。よろしくエルフさん」


「そうでしたか。私はユーリンです。ココットさんには日ごろから懇意にしていただいています。よろしくです」


 お互いに軽く挨拶をしました。

 一人おいてけぼりにされたオークの露天商は、どうにも居心地が悪い感じがしていました。

 それを見てのことなのか、ユーリンは彼の方へ身体を向けると…。


「こんにちは。ボボガガさん。今日は何か良さそうなものは入っていますか?」


 ユーリンは作り笑いではないそのままの笑顔を向けました。

 ボボガガと呼ばれたオークは、『待ってました!』とばかりに機嫌を良くしました。


「姐さん、こんにちは。そうだね。今日はどこかの魔術師が持っていたって、そんな曰くつきの道具が幾つか入っているんだ」


「魔術師の曰くつき? ちょっとワクワクしちゃいますね…」


 ユーリンはござの前にしゃがみこみました。


「まず古いインク壺かな。こいつは真鍮製だね。くすんでいるが、それだけ年季の入ったものってことだ。蓋も受け皿も残っている。デザインも悪くないと思うんだが」


 手渡されたインク壺と蓋、それに受け皿も見事な装飾がなされていました。


「大きさもデザインも、コーヒーカップみたいですね。ちょっと大きな感じもしますけど、魔術師さんだったら、魔導書もたくさん書いたでしょうし、だからインクたっぷりだったのかも知れません」


 ユーリンは蓋を開け、中を覗き込みました。

 中は空っぽで、若干黒いインクの跡が見られました。


「私もインク壺は持っていますけど、使い分けするのも悪くありません。それに元の持ち主さんがとても大切に使っていたみたいですね。若干その方の魔力が今も残っています」


 ユーリンはござの上に置いてあった受け皿の上に、真鍮のインク壺を戻しました。

 代わりにドルコナが手に取り、中を覗き込んで、匂いをかぎました。


 ★


「次はこれ。木製の栞。魔術師はたくさん本を読むっていうから、そこで使っていたんじゃないかな? 薄いけど丈夫で、一枚一枚、異なる木彫りが施されている。デザインがエルフっぽく感じるんだけど、どうだろう? あっしにはその辺、わからないんだけど」


 何十枚か束になった木製の栞をユーリンに差し出しました。


「木製の栞ですか。この彫り物は…、エルフっぽくもありますけど、あまりこういう細工をするのは聞いたことも、見たこともありませんね。それに魔力も何も感じないので、いわゆる工芸品かと。でも良い作りですし、古書を買っていただいたお客さんにプレゼント出来そうです」


 ユーリンはまた、ござの上に栞の束を置きました。

 ドルコナが栞を手に取り、一枚一枚検め始めました。

 デザインはどれも一点物。

 またよく見れば、スピンを通す小さな穴が開いているので、『短冊みたいにぶらさげることも出来そうだ』とドルコナは思いました。


(つづく)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。