第1話の19 「ちょっ、いつの間に何やってんのよっ!?」
「ドコちゃん!?」
「あ~、ココっち。お帰り~」
顔を赤らめたドルコナが、ほろ酔い気分で出迎えました。
他にも何人か、顔の知っているこの町の住人や、あまり知らない住人の姿が目に入りました。
「ちょっ、いつの間に何やってんのよっ!?」
「いや~、目が覚めたと思ったら、ココっちの姿が見えなくてね~。あっ、置手紙はちゃんと読んだよ。そのあと、トイレで用を済ませて、ついでに掃除をした。そしたらちょうどドアがノックされて、カード・ゲームのお誘いにきたんだって。ココっちがいなかったから、代わりにアタシが参加したんだよ~」
そう言ってドルコナは、ぐいっとお酒を飲みました。
「あ~、うまい! お酒なんて、飲むのはいつ以来かな~?」
遠慮する様子もなく、ドルコナは次のいっぱいを自分で注いぎました。
「ちょっ、人のお酒なんだから、好き勝手に飲むんじゃないわよっ!」
ココットは酔って調子に乗っているドルコナをたしなめました。
「大丈夫大丈夫! これもアタシがゲームで勝ち取ったやつだから~」
そう言われてゲームの中心を見れば、賭けられているのは金銭ではなく、食べ物や飲み物ばかりのようでした。
大抵が余ったものなのですが、時々こうして持ち寄って、カード・ゲームの賭け金代わりにしていたのでした。
「そ、そりゃ、私だってたまには参加するけれど、いきなりいなくなるとビックリするじゃないっ!」
それこそ、またどこかに行ってしまったのではないかと、一瞬でもココットは心配になったのです。
「いや~、ごめんごめん。ココットも戻ってきたので、アタシはお暇するね。久々に楽しい思いをさせてもらったよ。あっ、アタシが持ってきた金平糖、みんなで食べておくれ。ちょっと溶けちゃってるかもだけど。それじゃ~」
ドルコナは金平糖を入れた瓶を置いていきました。
「おお~、また遊ぼうな~」
「また来いよ~!」
「今度はココットさんもな~!!」
そんな声が聞こえてきました。
「えっと、お邪魔しましたっ!」
ココットは代わりに深々と頭を下げ、ドルコナを連れて大急ぎで部屋を後にしました。
★
ココットの部屋に戻った二人。
「ドコちゃん、何やってんのよ…」
というよりも、いきなり仲良くなっているドルコナに感心してしまいました。
「いや~、旅の途中だと、路銀稼ぎのために賭け事なんてよくやっていたからね。大儲けしたり、大損したり。ここはお金を賭けないんだね?」
「当たり前よ。『ボロマチ』では、公営のもの以外、私的な賭博は禁止されているもん」
「へ~、そりゃ健全だ」
ドルコナは感心した様子を見せました。
★
「夕食、一応買ってきたけど、食べる?」
「そうだね。お酒も飲んじゃったから、明日の朝にするよ。ココっちだけでも食べて」
「私も良いわ。何か疲れちゃって、空腹感もどこかに行っちゃったわよ。朝、二人で食べましょう」
せっかく風呂に入って疲れを取ってきたココットでしたが、また疲れが出てしまいました。
「そうだ。酔いを覚ますために少し夜風に当たりたい。ちょうど良い場所ってないかな?」
「夜風? まあ、この建物の屋上なら」
そう言ってココットは上を指さしました。
(つづく)




