第1話の18 「ドコちゃんっ!?」
すっかり長湯したあと、寄り道もしてきたので、ココットが帰宅したのは日没を過ぎてからでした。
一応テイクアウトで夕食も買ってきたので、少し遠回りになりました。
「ただいま~」
ドルコナがまだ眠っているかも知れないので、ココットは少しトーンを落とした声で、帰宅を知らせました。
しかし返事どころか、気配そのものがありません。
「ドコちゃん?」
ソファを確認すると、そこにドルコナの姿はありませんでした。
ココットがかけた毛布が、丁寧に折りたたまれて置いてあるだけでした。
一瞬、ひやりとしたココットでしたが、ドルコナの荷物や洗濯物がそのままだったので、どこかにいるようでした。
「トイレかしらね…」
荷物をテーブルに置いてからトイレをノックしても、何の反応もありません。
ドアをそっと開けても、やはり誰もいませんでしたが、代わりに綺麗に掃除された跡がありました。
その時、建物のどこからか賑やかな歓声が上がりました。
「うっしゃ~っ!」
次いで、勝ち誇ったような大声が聞こえてきました。
「ドコちゃんっ!?」
ココットは慌てて声の発生源を探しに行きました。
★
声は三階から聞こえてきました。
直ぐに騒ぎの出どころを突き止め、扉の前に立つと、中から何やら、いつになく賑やかな声が聞こえてきました。
「ったく、何やってんのよっ!? えっと、すみません!!」
コンコンとココットはドアをノックするも、気づく様子が無かったので、ココットは勝手にドアを開けました。
「うわっ、酒くさっ!? 煙くさっ!? こんばんは~! 下のココットですけど~?」
良く通る声で中を伺うと、ようやく奥の方から部屋の主が姿を見せました。
主はトカゲっぽい姿の獣人で、一応、これでも女性でした。
「あらっ、ココットさんじゃない? ちょっと、うるさかったかしらね?」
「いえ、そうじゃなくて、ひょっとして、こちらにうちのドルコナがお邪魔しているんじゃないかなって…」
「ドルコナって、あんたと同じドワーフの娘さんかい? 旅人の? 来ているよ。さっきからみんなでカード・ゲームしているんだけど、いや~あの子ったら、中々強くってね~。殆ど巻き上げられてしまったよ」
「なっ!?」
その言葉を聞いて、ドルコナが賭け事に興じていることを察知しました。
「すみません! ちょっとお邪魔しますっ!」
「あっ、ココットさんっ!」
部屋の主が止める間もなく、ココットは中に入っていきました。
(つづく)




