第1話の16 「どうしたものかしら…」
「ごちそうさまでした」
手を合わせて食事を終えたあと、ドルコナは泥のように身体を崩して眠ってしまいました。
旅の疲れが一気に出てしまったようでした。
ココットが『私のベッドを使ったら?』と提案したが、『旅人はどこでも眠れるから』と、隅っこの古いソファに横になって、さっさと眠ってしまいました。
「旅人って、たくましいなあ…」
毛布をかけてから、ココットは飲食したものを片付けました。
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ココットはもう一杯、自分用のお茶を淹れることにしました。
出来上がった新しいお茶を持って、窓辺の椅子に腰掛け直しました。
背もたれが無い丸い椅子なので、壁を背もたれ代わりにしました。
お茶をひとくち、口に含んで飲み干すと、ココットは『ふう』っと息を吐きだしました。
今日の朝から、わけがわからないうちに騒動が始まって、ここまで全速力で駆け抜けた感じがしました。
大きないびきをかいて眠りこけているドルコナの姿と、さっき干したばかりのドルコナの洗濯物を見ると、少なくとも夢や幻では無いことだけは理解できました。
それでもまだ頭の中で整理がついていませんでした。
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同じふるさとで育って、同じころにふるさとを出ました。
ココットはこの町の学校に進学して学んだものの、結局そのままこの町に住み着いてしまったのです。
ドルコナは色んなものを見てきたいと、行き先を決めない旅に出てしまいました。
それから数十年が、あっという間に過ぎてしまったのですが、こうして今、二人の時間がようやく重なりました。
どれくらいその時間が続くかはわかりませんが、ココットはこの運命に素直に感謝しました。
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「時間が中途半端になっちゃったわね。どうしたものかしら…」
相変わらず大きないびきをたてて眠っているドルコナを見ながら、ココットは考えました。
朝のゴミ出しから始まって、予想もしなかった出来事に翻弄され、何だかくたびれてしまいました。
しかし柱時計の時刻は、夕方にはまだ少し早い時間でした。
ココットはスンスンと鼻を鳴らし、自分の匂いを嗅ぎました。
「…汗臭い…」
ドルコナのせいで、冷や汗も含めて随分と汗をかかされたことにようやく気が付きました。
「だいぶ早いけど、私もお風呂に入ってくるかな。ドコちゃんみたいになる前に」
ドルコナを一人置いていくのはちょっと心配でしたが、随分と深く眠っているようなので、戸締りだけしていけば大丈夫そうでした。
少し寝相の悪いドルコナが毛布をはいだので、ココットは毛布をかけなおしてやってから、出かける支度を始めました。
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念のため、ドルコナ宛の書置きを食事をしたテーブルの上に置きました。
「気づくかな?」
出発する前にもう一度、ドルコナの様子を伺って、熟睡していることを確認しました。
それから戸締りをして、外出しました。
(つづく)




