動き出すギャングたち(その二)
「どう思う?」
「仮に『石版の王』が実在しているとしても、『黒仮面』ではないと思う」
「だよな。さすがにあり得ないか」
レッドショットはしばらく考えてから、
「日本へ行くぞ」
そこで『ドミノ・クラッシュ・ボウリング』の世界大会が開催される。
今回の世界大会(予選も含む)から新ルールが追加された。
従来の『ドミノ・クラッシュ・ボウリング』は、ドミノを倒すだけだった。
しかし、新ルールによる『ドミノ・クラッシュ・ボウリング』では、そこで終わりにしない。
さらに先がある。現場からの「逃走」だ。
レッドショットが思うに、あの『黒仮面』がやっているのは、まさにそれだ。
大学生たちのドミノや、シャンパンタワーにウェディングケーキ、それらを破壊したあと、現場から逃走する。
(まるで新ルールの予行演習をしているような・・・・・・)
世界大会に行けば、『黒仮面』の「手がかり」がつかめるかもしれない。
日本行きには、他にも理由がある。
結婚パーティーの襲撃で、『黒仮面』は特殊な技を二つ使った。
一つはディザスターの技だ。『サンダー・ピンボール』。
で、もう一つが、
(『螺旋勾玉』)
あの技の使い手は、日本の新星、島原ヒミコだ。
しかも、あの野郎は、ヒミコが使うのと同じサイズの玉を使った。技だけを使われたディザスターとは、そこが違う。
(ヒミコと『黒仮面』には、何か関係があるのかもな)
ただでさえ、『黒仮面』の「手がかり」は少ないのだ。
(奴が最初に現れたのが、「日本」というのも気になる)
だから、日本へ行くのだ。ボディーガードのワイルドホイールにも、同行してもらう。
ただし、日本の前に寄りたい場所があった。
アフリカだ。私用がある。
そのため、日本到着がいくらか遅れることになるだろう。
(不安があるとすれば・・・・・・)
この『黒仮面』狩り、競争相手は非常に多い。
そいつらによって、すでに多くの『賞金稼ぎ』たちや『殺し屋』たちが雇われている。そんな者たちの中には、レッドショットと同じように考えて、日本へ向かう者がいてもおかしくない。
それでたまたま、「幸運のぞろ目」を引き当てるなんてことも・・・・・・。
(念のためだ。『スノー・アスタリスク』には、俺たちと別行動をとらせるか。先に一人で、日本へ向かわせる)
半日後、レッドショットの不安は的中した。
というのも、他のギャングたちの中には、レッドショットの動向を探っている者がいたのだ。
このギャング団の中で、レッドショットは「頭が切れる男」。こういう時は、そんな奴を「コバンザメする」に限る。
それで動向を探っていた。
レッドショットが国外に行くらしいと知り、大枚をはたいて、旅行会社から情報を買った。
あいつはワイルドホイールと一緒に、まずはアフリカに向かうようだが、これはおそらく偽装工作。
アフリカからどこに行くのかを知るために、さらに大枚をはたく。
そうやってつかんだ。
レッドショットの最終目的地は・・・・・・どうも「日本」らしい。
「読めたぞ!」
あの『黒仮面』は『螺旋勾玉』という技を使っていた。あれは日本にいる『DCB』のプロ選手、島原ヒミコの得意技だ。
レッドショット自身が動く以上、それなりの裏付けがあるに違いない!
つまり、『黒仮面』を捕まえるには、
「兵隊どもを今すぐ日本へ向かわせろ! 島原ヒミコという小娘をさらえ! 生きたままでな!」
この動きに気づいて、さらに他のギャングたちも動き出す。『賞金稼ぎ』たちや『殺し屋』たちも日本へ向かった。




