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ドミノ・クラッシュ・ボウリング  作者:
【第一章】 世界大会予選

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11/12

最速の矛(ほこ)フェルディナント(その一)

 試合しあい時間じかん追加時間アディショナルタイムのこすだけとなった。


 しばうえをボールがはしる。


 南米なんべい巨大きょだいサッカーじょう大歓声だいかんせいれていた。スタンドからの熱狂ねっきょうてき応援おうえんが、熱帯豪雨スコールのようになって、フィールドにそそいでいる。


 試合しあい大差たいさがついていた。よんてんだ。もはや勝敗しょうはいくつがえらないだろう。


 それでも、劣勢れっせいのチームは最後さいご攻撃こうげきていた。


 いかに敵地アウェーとはいえ、なすすべなくけるわけにはいかない! 自分じぶんたちを応援おうえんしてくれるサポーターたち、このサッカーじょうまで遠征えんせいしてきてくれたサポーターたちのために、なになんでも一点いってんをとる!


 ここにきて、電光でんこう石火せっかのパスまわしだ。サッカーボールが面白おもしろいようにつながる。前線ぜんせんへとしろ稲妻いなずますすんでいく。


 この試合しあいちゅうずっとそうだった。ゴールへのみちはそこまでけわしくない。味方みかたはなったシュートは、三〇ぽん以上いじょうだ。


 なのに、得点とくてんがまったくはいらなかった。


 なぜなら、相手あいてゴールのまえにはやつがいる。


 あかいフェイスガードをつけたおとこもとドイツ代表だいひょうのゴールキーパーで、今年ことしから南米なんべいのチームに加入かにゅうした。


「サイバッハ! サイバッハ!」


 められているがわのサポーターたちが、満面まんめんみでさけんでいる。


 このゴールキーパーは数年すうねんまえ、サッカーの試合しあいちゅうおお怪我けがった。そのあとながいリハビリ生活せいかつはいり、今年ことしようやくフィールドにかえってきたのだ。


 復帰ふっきうわさとき、このサッカークラブが一番いちばんうごいた。で、獲得かくとく成功せいこう


 この守護神しゅごしんがいるかぎり、味方こっちのゴールは難攻なんこう不落ふらくだ。


 こんシーズン、ここまで無失点むしってんつづけている。そのことが相手あいてチームに、かなりの心理的重圧プレッシャーあたえていた。


「サイバッハ! サイバッハ!」


 そのこえけじと、アウェーチームのサポーターたちも全力ぜんりょくこえす。


 すでに今日きょう勝利しょうりはあきらめた。が、とにかく一矢いっしむくいてくれ。一点いってんだ、一点いってん


 しばうえをボールがはしる。ゴールにかってひたはしる。


 ただし、そこにはサイバッハがいる。その異名いみょうは『皇帝巨神リーゼカイザー』。


 試合しあいちゅうにわかった。この『皇帝巨神リーゼカイザー』に、小技こわざ通用つうようしない。こざかしいテクニックは無意味むいみだ。


 あのおとこから得点ゴールうばいたければ、正攻法せいこうほうでいくしかない。ちから勝負しょうぶだ。


 とにかくゴールにちかづく。


 限界げんかいまでちかづいてから、渾身こんしん一撃シュートはなつのだ。あの難攻なんこう不落ふらく番人ばんにんを、全力フルパワーやぶる!


 ちはだかる『皇帝巨神リーゼカイザー』。


 その威圧感いあつかんにひるまずに、相手あいてチームの選手せんしゅ限界げんかいまでちかづいた。


(ここだ! ここが限界げんかい!)


 全力ぜんりょく疾走しっそうからの、渾身こんしん一撃シュートはなつ。


 だが、つぎ瞬間しゅんかん、サッカーボールは『皇帝巨神リーゼカイザー』のひだりにあった。


 しかし、完全かんぜん捕球ほきゅうではない。そのひだりからボールがこぼれる。この試合しあいちゅう一度いちどもなかったことだ。


 ちから勝負しょうぶんだかいがあったらしい。これはチャンスとばかりに、相手あいてチームのあし殺到さっとうする!


 が、一番いちばんはやかったのはサイバッハだ。


 いまのシュート、完全かんぜん捕球ほきゅうしなかったのには、理由りゆうがある。


 ――この試合しあいは、たいゼロでわらせたい。


「うちのエースのかおが、そうってるんでな」


 サイバッハのったボールが、相手あいてゴールまえへとんでいく。


 そこにすすむのは、わか黒人こくじん選手せんしゅだ。


 こちらもこんシーズンから、このチームに加入かにゅうした。ただし、サイバッハとちがって「新人しんじん」だ。


 ――まずは、地元じもとでがんばるよ。


 そうって、世界せかいじゅうからの高額こうがくオファーをことわると、このチームにはいったのだ。


 そのため、スタンドにはいまもいる。世界せかいじゅうからあつまったスカウトたちだ。かれらのひかっている。フェルディナントにあつ視線しせんけていた。


 いかにサイバッハが鉄壁てっぺきでも、サッカーは「守備しゅび」だけでてる競技スポーツではない。


 このチームの「攻撃こうげき」の中心ちゅうしんかれだ。若手わかて選手せんしゅのフェルディナント。


 快足かいそくからの高速こうそくシュートにくわえて、変幻へんげん自在じざいのプレイスタイルで、フィールドを颯爽さっそうまわる。その異名いみょうは『大地だいち風神ふうじん』。


 相手あいてチームのディフェンダーは、懸命けんめいあしばした。


 が、かろやかにかわされる。


 たまらずた。反則はんそく覚悟かくごめにかかる。


 が、つかんだのはかぜ残滓ざんし


 かぜ分身ぶんしんりにして、フェルディナントが相手あいてゴールを目指めざす。


 サポーターたちは熱狂ねっきょうした。


「フェルディー! フェルディー!」


 さらなる得点とくてんねらって、『大地だいち風神ふうじん』が疾走しっそうする。


 シュート体勢たいせいはほんの一瞬いっしゅんだった。


 つぎ瞬間しゅんかんには、突風とっぷうがゴールをけている。相手あいてキーパーはまったく反応はんのうできない。


 てんまった。


 試合しあい終了しゅうりょうのホイッスルが高々(たかだか)ひびく。最終さいしゅうスコアはたいゼロだ。そのぜん得点とくてんを、この『大地だいち風神ふうじん』がたたした。


 けれども、今日きょうは、これでわりではない。


 フィールドの中央ちゅうおうで、『大地だいち風神ふうじん』は『皇帝巨神リーゼカイザー』とハイタッチをすると、


「さて、つぎ予定よていだ」


 フェルディナントには、サッカー選手せんしゅとはべつに、もうひとつのかおがある。


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