表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドミノ・クラッシュ・ボウリング  作者:
【第一章】 世界大会予選

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/12

最速の矛(ほこ)フェルディナント(その二)

 チームのマネージャーからマイクをると、まずは「サッカーへのあい」、「相手あいてチームへの敬意けいい」、そして、「サッカーファンにけての感謝かんしゃ」を、フェルディナントは手短てみじかげた。


 そのあいだに、サイバッハがサッカーボールをふたつ、フェルディナント足元あしもとにセットする。


 特別とくべつなボールだ。『世界せかいDCB協会(きょうかい)』のステッカーがってある。


 このフェルディナント、そく草鞋シューズをはくおとこだ。プロのサッカー選手せんしゅであると同時どうじに、『ドミノ・クラッシュ・ボウリング』のプロ選手せんしゅでもある。


 昨年さくねんおこなわれた若手わかて世界せかい選手権せんしゅけんでは、日本にほん新星しんせい島原しまばらヒミコ」との激闘げきとうせいして優勝ゆうしょうしている。


 だから当然とうぜん今度こんど世界せかい大会たいかいにも出場しゅつじょうするとおもわれていたのだが・・・・・・。


「みんなのなかには、っているひともいるとおもう。今度こんど世界せかい大会たいかい、その南米なんべい予選よせんひとつが、この時間じかんおこなわれている」


 なのに、フェルディナントはサッカーの試合しあい優先ゆうせんした。チームの勝利しょうり優先ゆうせんしたのだ。


 とはいえ、いますぐけつければ、うかもしれない。


 なにせ、予選よせん会場かいじょうになっているのは、このサッカーじょうとなりだ。おおきな公園こうえん


 しかも、その予選よせんふんまえはじまったばかりだ。


 公園こうえん中央ちゅうおう高台たかだいならべられた大量たいりょうのドミノを、おおたおしたものからじゅんに、世界せかい大会たいかいへの切符きっぷる。


 なお、高台たかだいのドミノをたおしても、その時点じてんで「け」ではない。


 ここでしんルールの登場とうじょうだ。「分間ふんかん逃走とうそう」が必要ひつよう


 もしも警備員けいびいんつかまれば、「失格しっかく」になる。世界せかい大会たいかいへの切符きっぷはいらない。


 このサッカーじょうとなりにある公園こうえんではいま大勢おおぜい参加者さんかしゃたちが高台たかだいかっていた。


 すでに予選よせんはじまっている。ドミノは有限ゆうげんだれたおすのかは、はやものちだ。


 そんな一刻いっこくあらそ状況じょうきょうなのに、フェルディナントはサッカーじょう中央ちゅうおうでマイクをにぎつづけている。


先日せんじつ、『世界せかいDCB協会(きょうかい)』から連絡れんらくがあった。『特別とくべつ推薦すいせんわく』の一人ひとりが、ぼくまったと」


 それなら、すでに世界せかい大会たいかい出場しゅつじょう確定かくていしている。サッカーの試合しあいても、まったく問題もんだいない。


「でも、ことわった」


 フェルディナントの意外いがい発言はつげんに、サッカーじょうがざわつく。


 ちがいかなと、おおくのものたちがかんがえた。


 だって、フェルディナントちゃのある表情ひょうじょうをしている。だから、いまのは冗談ジョークかも。


 しかし、フェルディナントが「辞退じたい理由りゆう」をくちにする。


たのしみがっちゃうからね。せっかくだし、ぼく予選よせんからがりたい。ただし、『特別とくべつ推薦すいせんわく』を辞退じたいするのとえに、ふたつの『わがまま』をいてもらった」


 そのひとつが、予選よせん会場かいじょうだ。このサッカーじょうとなりにある公園こうえんにしてしい。予選よせん開始かいし時間じかん指定していした。


 で、もうひとつが、予選よせん使用しようするたまだ。今回こんかいはボウリングのたまではなく、サッカーボールをみとめてしい。


 このような『わがまま』、普通ふつうなら『世界せかいDCB協会(きょうかい)』に無視むしされるだろうが、昨年さくねんおこなわれた若手わかて世界せかい選手権せんしゅけんで、フェルディナントは優勝ゆうしょうしている。


 そのことがおおきく作用さようしたのか、


ぼくの『わがまま』に、かれらはつきってくれた」


 フェルディナントの足元あしもとにはいまふたつのサッカーボールがある。その両方りょうほうに、『世界せかいDCB協会(きょうかい)』のステッカーがついていた。


「じゃあ、挑戦開始キックオフこうか。本気ほんき集中しゅうちゅうしたいから、わるいけれどみんな、こころなか応援おうえんしてしい」


 フェルディナントがボールから距離きょりをとった。


 と同時どうじに、サッカーじょう大画面だいがめんに、公園こうえん様子ようすうつされる。


 公園こうえん中央ちゅうおうにある高台たかだいには、大量たいりょうのドミノがならべられていた。ドミノのひとひとつが、さまざまな国旗こっきだ。どれもサッカーの強豪国きょうごうこくばかり。ただし、このくに国旗ドミノはないようだ。


「あそこにならんでいるサッカー強豪国きょうごうこく国旗ドミノを、まとめてたおす」


 そう宣言せんげんすると、芝生しばふうえにマイクをそっとくフェルディナント。


 で、助走じょそう開始かいしした。


 まもものたちは、こころなか応援おうえんする。


 とはいえ、半信はんしん半疑はんぎだ。


 このサッカーじょうとき、あの公園こうえんとおった。国旗こっきドミノがある高台たかだいまでは、ここから五〇〇メートルはあるだろう。非常ひじょうむずかしい挑戦ちょうせんだ。


 衆人しゅうじん環視かんしなか助走じょそうしてきたフェルディナントが、ボールをげる。つよく、そして、かろやかに。


 スタンドの視線しせん一斉いっせいうごいた。サッカーじょうそとかって。


 ボールがとおざかっていく。


 それが非常ひじょうちいさくなると、スタンドの視線しせん大画面だいがめんあつまった。


 大画面だいがめんうつされているのは、公園こうえん高台たかだいだ。大量たいりょうのドミノがならんでいる。ドミノのひとひとつが、サッカー強豪国きょうごうこく国旗こっきだ。


 それらのドミノをまもるように、高台たかだい周囲しゅういには警備員けいびいんたちが配置はいちされている。三〇にん以上いじょうがいた。


 このとき予選よせん参加さんかしているものたちは、まだだれ一人ひとりとして、あの高台たかだいにたどりいていなかった。


 ける人数にんずうまっている以上いじょう共闘きょうとうするにも限界げんかいがある。小集団しょうしゅうだん同士どうしによる、「あしい」がきていたのだ。


 そんな下界げかいあらそいを無視むしして、サッカーボールがんでいく。


 予選よせん参加者さんかしゃたちの一部いちぶづいた。なぞのボールが高台たかだいかってんでくる!


「あれはまさか、フェルディーか!」


 このくにの『ドミノ・クラッシュ・ボウリング』において、最強さいきょう存在そんざいだ。プロのサッカー選手せんしゅであると同時どうじに、『DCB』のプロ選手せんしゅでもある。


 フェルディナントとなりのサッカーじょうにいること、そこで試合しあいをしていることは、参加者さんかしゃたちのおおくが把握はあくしていた。


 だから、すこしは警戒けいかいしていた。「試合しあい終了しゅうりょうに、この公園こうえんけつけてくるのではないか」と。


 フェルディナントの異名いみょうは『大地だいち風神ふうじん』だ。あの快足かいそくばせば、最後尾さいこうびからの「ごぼうき」もありる。ひとたびかれたら、フェルディナントかえすことはできない。


 それで後方こうほう注意ちゅういしていたのに、まさかの空中くうちゅうだ。フェルディナントによる奇襲きしゅう


 参加者さんかしゃたちの数人すうにんが、おもわずあしめた。


 上空じょうくうのサッカーボールをいかける。うつくしい軌跡きせきだ。さすがフェルディー。あれをめるのは不可能ふかのうだろう。


 その判断はんだんただしく、『大地だいち風神ふうじん』がったサッカーボールはすうびょう高台たかだいのどなか着地ちゃくちした。


 ド派手はで衝撃しょうげきによって、ドミノがんでいく。サッカー強豪国きょうごうこく国旗ドミノ無数むすうに、空中くうちゅう乱舞らんぶしていた。


 ぱっとにもわかる。フェルディーがやりやがった。のこっているドミノは、ほんのわずかだ。


 サッカーじょうほうから、大歓声だいかんせいこえてくる。


 とはいえ、しんルールでは、ドミノをたおしても、そこでわりではない。「分間ふんかん逃走とうそう」が必要ひつよう


 警備員けいびいんたちの半分はんぶん以上いじょうが、サッカーじょうかってはしした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ