4-8 キュプラ編 キュプラは皮肉にも真実を語ってる
「まったく、とんでもない女ですわね、サチカさんは!」
サチカが部屋を出ていったあと、どこか勝ち誇るようにそうキュプラは答えた。
だが、ブラス王子はそれを見ながら、
「ははは……そうだね」
と、笑いながら頷いた。
その表情は先程までの陰鬱な雰囲気は消えている。
「確かに、サチカは口が悪いところがあるからね」
「でしょう? だったら……」
「けど、本気で僕のことを肯定してくれている……そんな気がするからさ……」
その発言にキュプラは首を振ってこたえる。
「そんな! あの女は、ただ王子をふしだらな目で見てるだけですわよ! あの目、明らかにスケベなオジサマと同じですもの!」
客観的に言えば、それはキュプラの嫉妬ではなく紛れもない事実だ。
だがブラス王子は少し顔を赤らめながら頷く。
「だったら、なおさら嬉しいくらいだよ」
そう王子はポツリと呟く。
「第二王子としての僕じゃなくて、裸の『今、ここにいる僕』そのものを必要としてくれるってことだからね」
「それは詭弁ですわ!」
「そうだけどさ。それでもサチカといっしょにいると、少しだけ僕は自分が好きになれるから……。そんな彼女が好きなんだ、僕は。彼女が僕をどう思っていたとしてもね」
「む……」
「それよりキュプラさん。兄様から聞いた話なんだけど……」
だが、キュプラは頭に血が上っていたためか、ブラス王子の話を聴こうとせず、
「失礼しますわ!」
「あ、ちょっと!」
くるりと踵を返した。
その様子を見てセドナは思わずなだめるように声をかける。
「サチカさん、落ち着いてつかあさい……」
「うるさいわね……。けど、やっぱりあの女は邪魔みたいね……」
そして、歯を食いしばるような表情をしながら、顔を歪ませながらセドナにこっそり呟いた。
「セドナ。……例の作戦、頼んだわよ」
「へい。分かっていやす。これからサチカさんに言伝を行いますので」
そうして二人は控室から出ていった。
「……ん……?」
だが、セドナは部屋を出るときに一枚の羊皮紙を落としたのを見て、ブラス王子はそれを拾い上げた。




