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銀髪の猫はなにを願う  作者: 熊猫
第三部

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221/224

幕間『―隠れ家の夜と、ちゃっかり猫―』

挿絵(By みてみん)

火の粉がぱちりと弾けて、また静寂が戻った。

ファナは毛布にくるまったセレーナの寝息を聞きながら、焚き火の明かりを見つめていた。

 

逃げてきたばかりの森の小屋。

まだ安心はできない。明日も、未来も、霧の中だ。

けれど今この瞬間だけは──

小さくても、あたたかな命が確かに傍にある。

 

その時だった。

 

ミシ……と、木の床が小さくきしむ。

ファナが顔を上げると、影の奥から、見慣れた黒猫がひょっこりと現れた。

「……ファニャン……」

 

にゃあ。

 

いつも通りに鳴いて、彼はスタスタと歩いてくる。

いつの間に荷物へ紛れ込んだのか、ちゃっかりここまでついてきていた。

ファナの膝にひょいと飛び乗ると、彼は丸くなり、目を細めて喉を鳴らす。

 

「ほんと、ちゃっかり……」

 

思わず笑って、ファナがそっと撫でたとき──

彼のしっぽが、ぽん、とファナの手の甲に触れた。

その瞬間、ファナの胸の奥に、声なき声がそっと届いた。

 

「やっと、ここまで来たね。

もう、自分で歩いていけるね」

 

ファナは目を閉じて、小さく頷く。

「……うん。やっと……そうなれた気がする」

焚き火の揺れる光の中で、セレーナはすやすやと眠っている。

ファニャンも穏やかな寝息を立てていた。

ファナは二つのぬくもりを感じながら、そっと呟く。

 

「……ありがとう。ちゃんと、見ててくれたんだね」

 

少なくとも、今夜だけは──

もう、怖くはなかった。

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