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小説を書いたことないので、AIになろう系小説を書かせてみた 〜気まぐれAIのカフェイン転生が、俺の人生を変えた件〜  作者: U2U
第三部 四つの風

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第25話 戻ってしまう道 ―― 前編「席が1つ増えただけ」

◆◆◆


集積所へ戻った頃には、夕日が建物の屋根に隠れかけていた。


足を引きずる作業員を見て、門の近くにいた男が駆け寄ってくる。リィナは事情を尋ねられる前に、軒下の椅子を指した。


リィナ「まず、座ってください」

作業員「もう歩けるよ」

リィナ「歩くのと、働くのは別です」


立ち上がろうとしていた作業員が、素直に腰を下ろした。


崩れた木材は道の端へ寄せたこと、斜面と残った荷物の確認が必要なことを伝えると、男は奥へ人を呼びに走った。ポン太も荷車の状態を説明しながらついていく。


ノトス「運ぶだけなら、オレも行けるぞ」

直也「まず手を洗え。真っ黒だ」


差し出された手には、煤と土がこびりついていた。本人は気にしていないらしく、裏返してから服へ持っていこうとする。


リィナ「拭く前に、こちらへ」


水桶のそばで呼ばれ、ノトスは手を引っ込めた。ボレアスもその隣で指先を洗っている。


直也「それと、荷物を動かしたら作業員に伝えてくれ」

ノトス「端には寄せたぞ」

直也「寄せるだけじゃなくて。場所が変わったのを知らずに探す人もいるから」

ノトス「……面倒だな」

直也「報連相って、だいたいそういうもんだよ」


水を払おうとしたノトスへ、リィナが布を渡した。


ゼピュロス「マスター、今日はここで寝るの?」

直也「そこは、まだ聞いてない」

ボレアス「人には伝えよと言うて、自分の予定は決まっておらぬのか」

直也「俺の報連相まで査定しなくていい」


門の外へ目をやると、来た道はもう薄暗い。肩の横に浮かぶALMAへ、日が落ちるまでに街道へ戻れるか尋ねた。


ALMA『到着前に日没を迎えます』

直也「走れば?」

ALMA『直也さんが継続して走れる距離を考慮しています』

直也「そこまで考慮しなくてもいいだろ」


金白の光は、訂正するつもりもなく浮かんでいた。


しばらくして、ポン太が鍵を振りながら戻ってきた。


ポン太「休憩小屋を貸してくれるってよ」

直也「助かる」

ポン太「寝床だけだぜ。飯はこっちで用意する」

リィナ「台所もお借りできますか?」

ポン太「鍋と水は使っていいってさ」


リィナが鞄の中を確かめる横で、ゼピュロスは早くも小屋の窓を覗いていた。ボレアスは濡れた手を拭き終え、ノトスへ布を渡す。


ノトス「これ、どこに置くんだ?」

リィナ「そこの釘に掛けてください」


布が壁に掛かる。


ノトスはそのまま、俺たちの後から小屋へ入った。


◆◆◆


休憩小屋には、長い卓と不揃いの腰掛けがあった。壁際の棚には器が重ねられ、窓の下には畳んだ毛布も置いてある。


台所から漂ってきた匂いに、ボレアスが顔を上げた。


ボレアス「もう食えるのか?」

リィナ「豆が柔らかくなるまで、もう少しです」

ゼピュロス「気になるなら、器を並べたら?」

ボレアス「急かしてはおらぬ」


そう言いながら、棚へ向かう足は早かった。


干し肉と豆に、分けてもらった根菜を加えた煮込みらしい。鍋を覗こうとしたノトスをリィナがやんわり押し戻し、俺は腰掛けを卓へ寄せた。


ボレアスが器を置いて回る。ノトスの前にも、黙って1つ置いた。


ノトス「ここでいいのか?」

ボレアス「ほかにどこへ置くのじゃ」


席へ座った途端、膝に何かが当たった。


直也「悪い。もう少し詰めてくれるか」

ノトス「こっちも壁だぞ」

ポン太「旦那、俺っちの方も無理だぜ」

ゼピュロス「じゃあ、卓を動かしましょ」


たしかに窓側には余裕がある。立ち上がって端へ手を掛けようとすると、ノトスが先に持ち上げた。


片側だけが。


器が滑った。


ボレアス「待たぬか!」


ボレアスが両手で器を押さえ、ゼピュロスがパンの籠を抱え込む。俺とポン太は慌てて反対側を持った。


直也「合図! せめて合図して!」

ノトス「持ったぞ」

直也「持つ前のやつ!」

ポン太「いったん下ろそうぜ」

ボレアス「ゆっくりじゃぞ。ゆっくり!」


卓の脚が床へ戻ると、台所からリィナが顔を出した。


リィナ「鍋、持ってきても大丈夫ですか?」

直也「待って。先に卓を動かす」

リィナ「では、器はこちらへ」


最初からそうすればよかった。


器を移し、全員で卓を寄せ直す。今度は傾かなかったが、座るとボレアスの肘がノトスの腕に触れた。


ボレアス「そなた、もう少し向こうへ寄れぬか」

ノトス「お前が広がってるんだろ」

ボレアス「腕を組んでおるだけじゃ」

直也「食べる時くらい解いてくれ」


煮込みが配られると、ようやく卓が静かになった。


湯気の向こうで、ノトスが匙を口へ運ぶ。


ノトス「熱っ」

ゼピュロス「あら。火は平気でも、それは駄目なの?」

ノトス「急だっただけだ」


次のひと口には、ちゃんと息を吹きかけていた。


ボレアス「何でも急にするからじゃ」

ノトス「飯まで文句つけるのかよ」

ボレアス「飯だけなら言わぬ。あの木材の下へ飛び込んだ時も、周りを見ておらなんだろう」

ノトス「見たぞ。人がいた」

ボレアス「その上から落ちてくる物も見るのじゃ。そなたまで潰れては、助ける者が増える」

ノトス「待ってたら間に合わねえだろ」


ボレアスの匙が止まった。


ボレアス「……急ぐなとは言うておらぬ」

ノトス「じゃあ何だよ」

ボレアス「急ぐ時ほど、足を置く先くらい見よと言うておる」


ノトスは眉を寄せたまま煮込みを飲み、空いた器を卓へ置いた。


立つのかと思った。


ノトス「もうあるか?」

リィナ「はい。おかわりですか?」

ノトス「うん」


リィナが器を受け取ると、ボレアスも鍋の方を見た。


ゼピュロス「あんたは?」

ボレアス「妾は、残りを確認しておる」

直也「食べたいなら言えばいいだろ」

ボレアス「残っておるなら、もらおう」


差し出された器を、ゼピュロスが笑いながら避けた。


ノトス「これ、誰が作った?」

リィナ「私です。どうかしましたか?」

ノトス「うまいからな」


鍋の中で、リィナの匙が止まった。


ノトス「……もうないのか?」

リィナ「ありますよ」


器へ注がれた煮込みは、最初より少し多かった。


食べ終わる頃には、外から荷車の音が聞こえてきた。崩れた木材を取りに行った作業員たちが戻ったらしい。


ポン太は残ったパンを布で包み、鞄へしまった。


ポン太「朝の分だ。食いたい奴は、今言ってくれよ」

ゼピュロス「ひと口だけ」

ポン太「そのひと口、どれくらいだい?」

ゼピュロス「パンによるわね」

ポン太「じゃあ、パンを見せる前に切っとくぜ」


◆◆◆


食器を洗うリィナへ、ボレアスが棚の空いた場所を尋ねていた。ゼピュロスと鍋を運び、台所へ戻ると、ノトスも水桶を抱えて入ってくる。


縁いっぱいまで入った水が、歩くたびに揺れた。


リィナ「次からはここまでで大丈夫です」


桶の内側を指で示され、ノトスは水面を見下ろした。


ノトス「少なくていいのか?」

リィナ「足りなければ、またお願いします」

ノトス「分かった」


空の桶を戻しに出たノトスが、途中で足を止めた。


軒下には、黒く焦げた廃材がいくつか残っている。作業員がそのそばを通り、荷車へ使える木材を積んでいた。


ノトスの視線が、廃材から荷車へ移る。


しばらくして、桶が元の場所へ戻された。


直也「少し休もうぜ」

ノトス「疲れたのか?」

直也「俺はな」


小屋の入口へ腰を下ろすと、靴の中で指が楽になった。ノトスは隣の柱にもたれ、荷車を見ている。


そこへ、御者と話していたポン太が戻ってきた。


ポン太「旦那、明日はあの荷車についていけそうだぜ」

直也「どこへ行くんだ?」

ポン太「次の宿場の手前にある工房さ。使える木材を届けるんだと」


鞄から地図を取り出し、膝の上へ広げた。ポン太の指が搬出路をたどり、街道へ出るところで止まる。


直也「ALMA、この道から宿場へ行ける?」

ALMA『地図上では接続しています』

直也「実際に通れるかは、まだか」

ALMA『はい。通行状況は未確認です』


小屋から出てきたボレアスが、地図を覗き込んだ。


ボレアス「また、描かれておらぬ道があるやもしれぬな」

ポン太「だから御者に聞いたんだぜ。昨日も通ったってよ」

直也「なら、話を聞こう」


呼ばれた御者は荷台の縄を締め直してから、こちらへ来た。


御者「歩いてついてくるんだって?」

直也「同じ方向なので。邪魔にならなければ」

御者「構わんよ。ただ、速くは走れない」

ポン太「一緒に歩くのと、荷運びの手伝いは別だぜ。頼む時は、先に相談してくれよ」

御者「分かってる。乗る場所もないけどね」

直也「歩くよ」


工房までの道と、途中で休める場所を教えてもらう。御者の指は、街道へ出る少し前で止まった。


御者「面倒なのは、この辺りだ」

直也「坂ですか?」

御者「溝だよ。昨日は通れたんだが、また開いてるかもしれない」


ノトスが柱から背を離した。


ノトス「何が戻るんだ?」

御者「埋めた溝が、元に戻るらしいんだ」

ノトス「土が出てくるのか?」


地図の印を見ても、その様子は想像できなかった。


直也「それは、ご自分で見たんですか?」

御者「戻るところは見てない。別の荷運びから聞いた」

直也「昨日、見た時は?」

御者「埋まってた。車輪を通したから、そこは確かだ」


ALMAへ目を向ける。


直也「道の記録に、溝のことは?」

ALMA『該当する情報はありません』


御者は地図から手を離した。


御者「だが、溝は前からあるぞ。雨が降ると、いつもそこに水がたまる」

直也「昨日の補修は、荷車が通れるくらいだったんですね」

御者「ああ。誰がやったかは知らんけど、助かったよ」


記録にはない。昨日は通れた。


地図を畳む前に、御者が指した場所をもう一度確かめた。


直也「明日は、この道で行こう」

リィナ「溝が戻っていたら?」

直也「手前で止まって、見てから考える。御者さんも、それでいいですか?」

御者「そのつもりだ。無理に突っ込めば、車輪を取られる」


ポン太が頷き、出発時刻と集合する場所を確かめる。朝の積み込みが済んだら、声を掛けてもらうことになった。


ゼピュロス「じゃあ、私が先を見てくるわ」

直也「頼む。荷車より先に分かれば助かる」

ボレアス「戻る溝というのは、見てみたいものじゃな」

ゼピュロス「道も見ててよ?」

ボレアス「分かっておる」


地図を鞄へしまうと、御者は最後の縄を確かめに戻った。ノトスも荷車へ目をやったが、手は出さず、入口の柱へ背を預け直した。


ノトス「朝、出るんだろ」

直也「ああ」

ノトス「なら、寝るぞ」


そう言って小屋へ入っていく。


リィナが水筒へ水を分け、ポン太は朝のパンを鞄の取り出しやすいところへ移していた。ボレアスは毛布を広げてから、寝る場所を選び直している。


窓の下には、先にゼピュロスがいた。


ゼピュロス「ノトス、こっちは朝まぶしいわよ」

ノトス「起きるからいい」

ボレアス「寝ぼけて火を出すでないぞ」

ノトス「出さねえよ!」


リィナ「声は、もう少し小さくお願いします」

ノトス「……分かった」


荷車の音が止むと、小屋の外も静かになった。


水筒を手元に置き、明日の朝すぐ背負えるように鞄を寄せる。肩の横の光へ顔を向けた。


直也「ALMA、朝になったら起こしてくれ」

ALMA『起床時刻の指定をお願いします』

直也「荷車が出る前に間に合うくらい」

ALMA『積み込みの終了時刻は未確定です』

直也「そこは融通利かないのな」

ゼピュロス「私が起こしてあげるって」

直也「じゃあ、頼むよ」


毛布を引き上げようとした肘が、卓の脚に当たった。


夕飯のために動かした卓は、寝る場所へ少しはみ出している。窓際からは、まだ小声の言い合いが聞こえた。


鞄を枕元へ移し、肘の置き場を空けた。


◆◆◆(席が1つ増えただけ)◆◆◆

ここまでお読みいただきありがとうございます。

次回更新予定:10月30日(金)になります。


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