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小説を書いたことないので、AIになろう系小説を書かせてみた 〜気まぐれAIのカフェイン転生が、俺の人生を変えた件〜  作者: U2U
第三部 四つの風

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第22話 追跡開始 ―― 中編「旅人の真似事」

◆◆◆


地図のズレについては、それ以上誰も触れなかった。旅の途中、多少の誤差くらい珍しくもない。俺たちは荷を下ろしたまま、しばし休憩所での時間を過ごすことにした。


ボレアスが、無言で周囲を見回している。靴の泥を落とす男、水筒へ水を補給する女、荷紐を締め直す商人、地図を見る老人。彼女は、その一人一人を、何かを値踏みするような目で観察していた。


直也「さっきから何見てるんだ」


ボレアス「旅人とやらが何をしておるのか見ておる」


直也「勉強熱心だな」


ボレアス「勘違いするな。知らぬことを放置しておくのが気に食わぬだけじゃ」


◆◆◆


近くの旅人が、靴底についた泥を木片で削ぎ落としていた。ボレアスは、自分の靴を見下ろす。ほとんど汚れてはいない。それでも、彼女は同じように靴底を確かめ始めた。


ゼピュロス「何してるの」


ボレアス「これは――」


ゼピュロス「あ、分かった。『確認作業じゃ』でしょ?」


ボレアス「……」


言いかけた言葉の行き場を失ったまま、ボレアスの口が、僅かに開いたまま止まっていた。


一拍の沈黙が落ちた。


直也「先に言われたな」


ポン太「だいぶ行動読まれてきたな、ボレアスさん」


ボレアス「……貴様ら最近、妾への扱いが雑になっておらぬか」


ゼピュロス「仲間になったからじゃない?」


ボレアス「その理屈は納得いかぬ!」


◆◆◆


リィナが井戸で水筒を満たしている間、俺は自分の水筒の蓋を開けた。


直也「やっと飲めるようになった……」


ボレアス「大袈裟な男じゃな」


直也「誰のせいだよ」


ボレアス「冷えておった方が美味かろう」


直也「凍ってたんだよ」


ボレアス「程度の問題じゃ」


直也「その程度を間違えたんだよ」


そこへ、リィナが空の水筒を一つ持って戻ってきた。


リィナ「ボレアスさんもどうぞ」


ボレアス「妾に?」


リィナ「はい」


ボレアスは、その水筒を両手で受け取った。


ボレアス「……悪くない品じゃ」


ポン太「それ俺っちの予備なんだけど」


ボレアス「ならば、なおさら大切に使ってやろう」


ポン太「返す気ある?」


軽い笑いが起きる。


◆◆◆


老人商人が地図を広げているのを見て、ボレアスはポン太の地図も覗き込んだ。真剣な顔で、しばらく紙面を睨んでいる。


直也「お前、地図読めるようになったの」


ボレアス「この程度なら分かる」


直也「じゃあ今どこ?」


ボレアスは地図をしばらく見つめると、迷うことなく一点を指差した。


ボレアス「ここじゃ」


ポン太が地図と周囲を見比べる。


ポン太「……合ってるな」


直也「え、合ってる」


ボレアス「なぜ貴様が驚く」


直也「いや、さっきまで勘で道を外してたから」


ボレアス「いつまでも同じと思うでない」


ゼピュロス「ちょっと得意げなの腹立つわね」


ボレアス「事実を述べただけじゃ」


◆◆◆


リィナが配った昼食は、固い保存パンと干し肉、それに水だった。ボレアスは、パンをじっと見つめ、一口かじり、また見つめた。


直也「どうした」


ボレアス「……別に」


直也「絶対何かある顔だろ」


ボレアス「昨日の、あの冷たい菓子はないのか」


直也「氷菓子?」


ボレアス「名前などどうでもよい」


ゼピュロス「めちゃくちゃ覚えてる顔してるじゃない」


ボレアス「昨日あったものが、今日ない理由を聞いておるだけじゃ」


直也「毎日出ると思ってたの?」


ボレアス「旅とは、各地の美味いものを味わうものではないのか」


ポン太「間違っちゃいねぇけど、予算ってものがある」


ボレアス「先ほどから金、金と……この世界は面倒じゃな」


ポン太「生きるってのは金がかかるって朝教えただろ!」


リィナ「次の町で見つけたら、探してみましょうか」


ボレアス「妾は別に食いたいとは言っておらぬ」


ゼピュロス「はいはい」


ボレアス「その返事はなんじゃ!」


◆◆◆


食事の合間、隣の卓から商人たちの声が聞こえてきた。


「このところ、次の宿場まで妙に遠く感じねぇか」


「歳じゃねぇの」


「まだ40だ!」


「道標の場所も、少し変わった気がするんだよな」


「誰か付け替えたんだろ」


「誰がそんな暇なことするんだよ」


「地図が古いだけじゃねぇか」


最後は笑い声で締めくくられ、話題は別のものへ移っていった。


ポン太「……似た話してんな」


直也「でも地図が古いなら、別に不思議じゃないだろ」


ポン太「まあな」


……まあ、古い地図ならそんなこともあるか。


そう考えれば済む話のはずだった。


ボレアスも、その会話を聞いていたらしい。


ボレアス「道というものは、それほど頻繁に変わるのか」


直也「工事したりすればな」


ボレアス「今の者たちは、そのような話をしておらなんだぞ」


直也「だから地図が古いんじゃないかって話」


ボレアス「ふむ」


彼女は、それ以上追及せず、あっさりと納得したようだった。


◆◆◆


念のため、俺は頭上の光球へ声をかけた。


直也「ALMA、今いる場所と地図、照合できるか」


ALMA『照合します』


短い間のあと、事務的な声が返ってきた。


ALMA『現在位置と地図情報の間に、軽微な不一致を確認しました』


直也「どっちが間違ってる?」


ALMA『判定できません』


直也「地図が古い可能性は?」


ALMA『十分にあります』


ポン太「じゃあ、やっぱそれだろ」


ボレアス「万能ではないのじゃな」


ALMA『全てを解析できるとは申していません』


ボレアス「そうであったか?」


直也「お前らそこで張り合うな」


◆◆◆


休憩を終え、俺たちは荷物をまとめ始めた。ボレアスも、周囲を見ながら自分の水筒を確かめ、借りた荷物を背負い直している。


ゼピュロス「へえ。今度はちゃんと自分でやってるじゃない」


ボレアス「当然じゃ」


ゼピュロス「さっきまで地図とにらめっこしてたくせに」


ボレアス「あれとこれは別じゃ!」


一行は、再び街道へ歩き出した。ゼピュロスが先行して索敵へ向かおうとすると、ボレアスもその後を追おうとする。


ゼピュロス「来なくていい」


ボレアス「なぜじゃ」


ゼピュロス「私の方が速いから」


ボレアス「速ければ優れておるというものでもあるまい」


ゼピュロス「索敵では速い方が便利なの!」


ボレアス「ならば妾は後方を見てやろう」


直也「結局仕事したいんだな」


ボレアス「当然じゃ!」


ゼピュロス「……まあ、後ろなら任せる」


ボレアス「最初からそう言えばよい」


ゼピュロス「なんであんたが偉そうなのよ」


それでも、ボレアスは満足げに後方へ回った。これまで空振りしてばかりだった彼女の申し出が、今度は、あっさりと受け入れられていた。


◆◆◆


しばらく、ただ歩き続けた。街道の両脇には草原が広がり、時折荷車とすれ違う。穏やかな午後だった。


やがて、前方からゼピュロスが戻ってくるのが見えた。いつもの軽い足取りではなく、どこか怪訝そうな表情をしている。


ゼピュロス「マスター」


直也「どうした」


ゼピュロス「ちょっと来て」


直也「何かいたか」


ゼピュロス「いたっていうか……」


彼女は、言葉を探すように少し黙った。


ゼピュロス「道が2本ある」


直也「分岐だろ」


ゼピュロス「私だってそれくらい分かるわよ」


ポン太が地図を広げる。ゼピュロスが、その一点を指差した。


ゼピュロス「ここ」


地図には、道は1本しか描かれていない。


ポン太「……1本だな」


直也「古い地図だからだろ」


ゼピュロス「じゃあ見てみれば?」


◆◆◆


俺たちは、前方へと足を進めた。


確かに、道は2本あった。片方は、これまで歩いてきたのと同じ、見慣れた街道。もう一方にも、しっかりと踏み固められた跡があった。


直也「……本当にあるな」


ポン太「地図にはねぇ」


リィナ「新しくできた道でしょうか」


ボレアスが、腕を組んで、その二本の道を堂々と眺めている。


直也「どう思う」


ボレアス「分からぬ」


直也「堂々と言うな」


ボレアス「知らぬものを知ったふりする方が愚かじゃろう」


ゼピュロス「そこだけ妙に正論なのよね」


ボレアス「妾は常に正しい」


直也「最後の一言で台無しだよ」


軽口が途切れる。


俺は改めて、目の前を見た。


道は、確かに二つあった。


◆◆◆(旅人の真似事)◆◆◆

ここまでお読みいただきありがとうございます。

次回更新予定:10月2日(金)になります。


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