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小説を書いたことないので、AIになろう系小説を書かせてみた 〜気まぐれAIのカフェイン転生が、俺の人生を変えた件〜  作者: U2U
第二部 捨てられたものたち

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第14話(2)裏台帳と、凍った名前 ―― 正しい記録と、何も教えない窓口

◆◆◆


中央行政案内センターの巨大な扉をくぐると、相変わらずの白磁の床と、無駄のない照明が出迎えてきた。

あの貼り付けたような笑顔の係員たちが、今日も等間隔に並んで業務をこなしている。許可証地獄、防寒外套の更衣、特別点検の手続き。何度足を運んでも、この建物の空気だけは少しも馴染まない。靴音さえも、この床の上では妙に他人行儀に響く気がした。


直也「……改めて見ても、息が詰まる場所だな」


リィナ「はい……。なんだか、来るたびに肺の中まで覗かれている気がします」


俺たちは正面の窓口へ向かった。

今日の用件は単純だ。最深部の封じについて、知れることは知っておきたい。ポン太が「無駄だ」と言うのは分かっている。だが、無駄かどうかは試してから言うべきだろう。会社員時代も、結局「やるだけやってからじゃないと諦められない」性分だった。それが評価されたことは一度もなかったが。


窓口に座っていたのは、いつもと同じような、一分の隙もない制服の係員だった。


直也「最深部の封じ構造について、確認したいことがあるんだが」


係員「お問い合わせありがとうございます」


係員は、にこやかに、しかし驚くほど何も中身のない返事を返してきた。


係員「最深部は適切に管理されています」


直也「いや、それは分かってる。具体的にどう管理されてるかを知りたいんだ」


係員「封じは正しく機能しています」


直也「だから、その『正しく』の中身を聞いてるんだよ」


係員「不安を感じる必要はございません」


直也「不安を感じてるんじゃなくて、情報を求めてるんだ」


係員「詳細は非開示ですが、それは利用者様の安全のためです」


直也「安全のために情報を隠すって、もう何も信用できない理屈だな」


係員「知らないことにより守られる安心もございます」


それきり、係員はにこやかな笑顔を崩さなかった。何を聞いても、用意された定型句が滑らかに返ってくるだけだ。会話をしているはずなのに、誰とも話していない感覚があった。まるで壁に向かって質問を投げ、壁の方が礼儀正しく跳ね返してくるような、そんな徒労感だけが積もっていく。


直也「……情報を隠すなら隠すでいいんだよ。『あなたのために教えません』みたいな顔をするな」


俺は小さく舌打ちした。


ALMA『直也さん、参考情報を提示します』


頭上の光球が、淡く明滅しながら声を発した。


ALMA『閲覧可能な記録内に、ボレアスという名称は存在しません』


直也「でも、あいつは自分で名乗ったぞ」


ALMA『はい。したがって、記録が不完全です』


直也「お前が『記録が不完全』って言うと、妙に怖いんだよ」


ALMAは一拍だけ間を置いた。


ALMA『……補足。記録が不完全なのではなく、意図的に整えられている可能性があります』


直也「整えられている、か。便利な言い方だな」


俺は窓口の向こうに掲示された区画図を見やった。等間隔に並ぶ線、寸分の狂いもない区画の境界。保管庫の末端区画と、最深部へ続くらしい導線は確かに記載されている。だが、そこにボレアスを指す固有の名前は、どこにも見当たらなかった。場所は存在するのに、そこにいる者の名前だけが、まるで最初から書かれなかったかのように抜け落ちている。空白のはずなのに、その空白だけが妙に几帳面に整えられているのが、かえって不気味だった。


直也(……存在はあるのに、名前がない)


それは、単に情報が抜けているという感覚とは違った。誰かが意図的に、その存在を「呼べないもの」にしてしまったような、薄気味の悪い違和感だった。


直也(あいつが聞いたら、鼻で笑うか、本気で怒るか、どっちかだろうな。あの高飛車な態度には、似合わない扱いだ)


リィナ「直也さん……?」


リィナが俺の顔を覗き込んできた。考え込んでいたことに気づき、俺は首を振った。


直也「いや、なんでもない。とにかく、ここからは何も出てこないってことだけは分かった」


窓口の係員は、相変わらず微動だにしない笑顔のまま、次の言葉を待っているようだった。これ以上ここにいても、同じ定型句を別の言い回しで聞かされるだけだろう。


俺は踵を返した。


少し離れたところで、ポン太が壁にもたれて待っていた。最初から、こうなることが分かっていたような顔をしている。


ポン太「ほらな。綺麗な記録には何も残ってねぇ」


直也「ああ、見事に何も分からなかったよ。お前の言う通りだ」


ポン太「あそこの記録は、全部『正しく整えられた』綺麗な書類だ。本当のことほど、綺麗に抜かれてる」


ポン太「ここから先は、俺っちの領分だ」


ポン太がにやりと笑い、行政センターの裏手へ続く通路の方向を顎で示した。


直也「料金は?」


ポン太「もちろん別だ」


直也「聞くんじゃなかった」


ポン太「自由ってのは高いんだよ、旦那」


俺は深く息を吐いた。

正面が壁なら、裏を見るしかない。

今日も結局、まっすぐな道では何も手に入らないらしい。


◆◆◆(正しい記録と、何も教えない窓口)◆◆◆

次回更新日:7月3日(金)

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