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小説を書いたことないので、AIになろう系小説を書かせてみた 〜気まぐれAIのカフェイン転生が、俺の人生を変えた件〜  作者: U2U
第二部 捨てられたものたち

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第14話(1)裏台帳と、凍った名前 ―― 仮札の宿と、筋肉痛の朝

◆◆◆


「……いてて」


目が覚めた瞬間、全身から悲鳴が上がった。

安宿の硬い寝台の上で、俺はまるで一晩中誰かに踏みつけられていたかのような痛みに襲われていた。腰、背中、膝、首。動かそうとする箇所すべてが、律儀に文句を言ってくる。


直也「異世界に来て、一番身体にダメージを与えてきたのが敵じゃなくて防寒着なの、納得いかないんだけど」


俺は天井を見上げたまま、独り言を漏らした。

影みたいな連中にも襲われたし、白い巨人みたいなものにも追い詰められた。衛生警備隊にだって全力で追いかけられた。だが、これほど全身を痛めつけてきたのは、あの「正しき姿勢を導く防寒外套」だけだ。背骨を強引に伸ばされ、顎を固定され、歩幅まで矯正された一日。筋肉という筋肉が、昨日の理不尽な圧力を覚えていた。


ALMA『おはようございます、直也さん。筋肉の硬直度は通常の3.8倍。これは防寒外套の姿勢補正機構による負荷の蓄積です』


直也「報告ご丁寧にどうも。で、これ、治す方法はないのか」


枕元に浮かぶ光球が、いつもの規則正しいリズムで明滅した。


ALMA『治療行為としての生活魔法使用には、簡易医療補助申請が必要です。所定の窓口にて、申請から承認まで、平均2日を要します』


直也「筋肉痛を治すのに申請がいる世界、滅びた方がいいと思う」


ALMA『記録します』


直也「記録するなよ」


俺は寝台から身を起こそうとして、案の定、腰に電気のような痛みが走った。声にならない呻きを漏らしながら、なんとか上半身を起こす。


リィナ「直也さん、大丈夫ですか……?」


隣の寝台で身支度をしていたリィナが、心配そうに駆け寄ってきた。彼女もまた、昨日の外套の強制から完全には解放されていないのか、動きがどこかぎこちない。


直也「大丈夫じゃないけど、死ぬほどではない、ってやつだ」


リィナ「あ、あの、お薬代わりにはなりませんけど……これ、温めておいたので」


リィナが差し出したのは、布巾を丁寧に折りたたんだものだった。ほんのりと熱が伝わってくる。暖炉の傍に置いておいてくれたのだろう。


直也「……ありがとう、リィナちゃん。こういうのが本当の親切だよ」


俺は布を受け取り、痛む腰のあたりにそっと押し当てた。じんわりとした熱が、強張った筋肉に染み込んでいく。魔法でもなんでもない、ただの優しさだ。それが、今の俺には何より効いた。


リィナ「生活魔法で、もう少し楽にできたらいいんですけど……」


リィナが杖をちらりと見て、申し訳なさそうに呟いた。


直也「いや、それはALMAが許可しないだろ。さっき聞いたばかりだ」


ALMA『肯定です。申請なき治療行為は、規約に抵触する可能性があります』


直也「お前、こういう時だけ規約に忠実だよな」


ALMAは何も答えなかった。光球は、いつも通りの明滅で、ただ静かに浮かんでいる。


腰の鞘の中で、ゼピュロスは珍しく静かだった。

いつもなら朝一番に騒がしい歌でも歌い出すところを、今朝は何も聞こえてこない。


直也「……ゼピュロス?」


ゼピュロス「……」


直也「珍しく静かだな」


ゼピュロス「別に」


短い返事。それきり、鞘の中からは何の反応もなかった。だが、何かを考え込んでいるような、妙な静けさが伝わってくる。


直也「ボレアスのこと、気にしてるのか?」


ゼピュロス「気にしてない。むしろムカついてる」


直也「それは気にしてるって言うんだよ」


ゼピュロス「うるさい」


それきり、鞘は再び沈黙した。会話を拒んでいるというより、まだ自分の中で何かを整理しきれていない、そんな沈黙だった。


支度を整え、1階の食堂へ降りると、テーブルの隅にポン太が座っていた。法被の襟を正しながら、朝食代わりの干し肉をかじっている。


ポン太「おはようさん、旦那。今朝の顔色、死人みたいだぜ」


直也「お前のせいでもあるんだぞ、ある意味」


ポン太「俺っちは何もしてねぇよ。あの外套を着せたのは行政の連中だ」


直也「お前が外套地獄に巻き込んだ事実は消えないんだよ」


ポン太がニヤリと笑い、それから真面目な顔に切り替えた。商売人の顔から、案内人の顔へ。


ポン太「で、旦那。今日はどうする。あのお姫様の鎖を調べたいなら、正面の窓口に行っても無駄だぜ」


直也「無駄、断言するんだな」


ポン太「保証してやるよ。あそこの記録は、全部『正しく整えられた』綺麗な書類だ。本当のことなんて一文字も書いてねぇ」


直也「じゃあ、どこを見ればいい」


ポン太「捨てられた紙だ」


ポン太は干し肉を飲み込み、声を一段低くした。


ポン太「書き損じ、控え、訂正前の記録。誰も見たがらない、汚れた紙の方に、本当のことが残ってる場合がある」


リィナ「汚れた紙……ですか」


リィナが小さく繰り返した。彼女の表情には、戸惑いと、何かを察したような色が混じっていた。


ポン太「ああ。正しい記録は嘘をつく。汚れた記録は、たまに本当のことを残す」


直也「……今回ばかりは、綺麗にしない方がよさそうだな」


俺は痛む腰を押さえながら、立ち上がった。

今日の目的は決まった。

ボレアスの封じに関する、裏の台帳を探すこと。


筋肉痛の身体で、これから何が待っているのか。

正直、まったく気が乗らない。だが、それでも足は止まらなかった。


◆◆◆(仮札の宿と、筋肉痛の朝)◆◆◆

次回更新日:6月30日(火)

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