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小説を書いたことないので、AIになろう系小説を書かせてみた 〜気まぐれAIのカフェイン転生が、俺の人生を変えた件〜  作者: U2U
第二部 捨てられたものたち

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第13話(6)氷の監視者と、ほどけない鎖 ―― 条件の欠片

◆◆◆


静けさが、少しだけ違う質になっていた。圧迫するような静けさではなく、何かを待っているような静けさ。

最初に保管庫へ入った時みたいな「拒絶」一色ではない。こちらの出方を見ている、そういう沈黙だ。


俺は一歩前に出た。


直也「ボレアス」


ボレアス「……何じゃ」


直也「お前をここから動かすのに、何が必要だ」


ゼピュロス「ちょっと、マスター。いきなりそこ聞くの?」


直也「いきなりじゃない。ここまで聞いたら、次はそこだろ」


ボレアス「唐突じゃな」


直也「急ぎじゃないが、聞いておきたい。鎖を雑に解くわけにはいかないのは分かった。でも、ちゃんと順序を踏めば動けるんだろ」


ボレアス「……なぜ、妾を動かすことが前提になっておる」


直也「放って帰れないからだ。それだけだよ」


ポン太「旦那、それをそんな即答で言うから面倒ごとを拾うんだよな」


直也「知ってる。でも拾っちまった以上、仕方ないだろ」


ボレアスはしばらく俺を見ていた。品定めするような目だが、さっきより少しだけ温度が違う気がした。

やがて、ほんのわずかに息を吐く。


ボレアス「……貴様は、損な性格をしておるな」


直也「よく言われる」


ゼピュロス「私もそう思う!」


リィナ「でも、それで助かる人もいます」


ポン太「俺っちは損な性格で飯を食うのは勘弁してほしいけどな」


ボレアス「ふん。……条件がないわけではない。ただし、雑に進めれば均衡が崩れる。順序がある。いくつかの封じを整えた上でなければ、妾をここから切り離すことはできぬ」


直也「その封じの整え方は?」


ボレアス「今は教えぬ」


直也「なんで」


ボレアス「貴様らに、まだその資格があるかどうか分からぬからじゃ。この静けさの核に触れる者には、それ相応の覚悟と理解が必要だということじゃ。雑な手で触れれば、お前たちが死ぬ。妾は困らぬが、お前たちには困るだろう」


その言い方が妙に引っかかった。

「妾は困らぬ」。

そう言いながら、完全に他人事として切っていない。俺たちが困ることは、ちゃんと前提に入れている。口では突き放すくせに、線の引き方が妙に几帳面だ。


直也「その言い方、こっちのことを気にしてるやつの言い方だぞ」


ボレアス「気のせいじゃ」


ゼピュロス「今のは絶対に気にしてた!」


ボレアス「黙れ微風」


ゼピュロス「また微風って言った!」


ポン太「へへっ、仲良くなってきたじゃねぇか」


全員「なってない!」


珍しく、俺まで一緒に叫んでいた。


ポン太「旦那、つまりまだ宿題があるってことだぜ。条件を知るには、もう少し信用を積む必要があるってやつだ」


直也「また段階制か。この世界、何もかも段階制だな」


ポン太「当たり前だろ。自由ってのは、積み上げた分だけ手に入るんだよ」


ゼピュロス「めんどくさい! ……でも、次は来るわよ。絶対」


最後の一言は、ボレアスに向けて言っていた。宣言のような、あるいは約束のような、そういう言い方だった。


ボレアスは答えなかった。ただ、その極寒の瞳がゼピュロスをしばらく見つめ、やがて静かに逸らされた。

来るなとは言わない。

その沈黙自体が、答えみたいなものだった。


ALMA『整理。現時点で確認できた情報は三点です。一点目、鎖の解除には順序と条件がある。二点目、雑に進めると均衡崩壊の危険がある。三点目、条件の詳細はボレアスがまだ開示していない。……直也さん、次に必要なのは信用の蓄積と、封じの構造把握です』


直也「お前が珍しくまとめてくれると、逆に怖いんだよ」


ALMA『肯定。……私も少し、焦っています』


直也「焦り?」


ALMA『……言い間違いです。処理の最適化です』


直也「今のは聞き捨てにできないぞ、ALMA」


ALMAは何も答えなかった。青白い光球が、かすかに揺れていた。

ゼピュロスもボレアスも一瞬だけそちらを見たが、誰も何も言わない。言葉にしてしまうと、何かが早すぎるのを本能的に分かっているみたいだった。


俺は最後にもう一度、ボレアスを見た。氷の玉座に縛られた、高飛車で冷たい銀髪の少女。でも、さっきのリィナの問いに一拍だけ揺れた瞳。俺たちを下賎だの微風だの言いながら、雑に触れれば死ぬと警告する声。


直也「また来るから」


ボレアス「……来ても、構わぬ」


一言だけ。だが、来るなとは言わなかった。


俺たちは外套に姿勢を強制されながら、重い石段を登り始めた。背後では、保管庫の静けさが再び均一に戻っていく。だが俺の耳には、あの一言だけが残っていた。


来ても、構わぬ。


面倒くさい。間違いなく、面倒くさい。

それでも、次の一歩はもう見えていた。あの鎖の条件を知ること。封じの構造を読み解くこと。そして、ボレアスが「自らの意志でここに在る」と言い張る、その言葉の本当の意味を掴むこと。


俺たちが階段の中腹まで戻ったところで、ポン太がふと振り向きもせず言った。


ポン太「旦那。正面の窓口で調べようとか考えるなよ。ああいうのは、裏を歩く方が早い」


直也「……また嫌な予感しかしない前振りを入れてきたな」


ポン太「へへっ。次はもっと面倒くさいぜ」


俺はため息をついた。

でも、そのため息は、さっきまでより少しだけ軽かった。


◆◆◆(条件の欠片)◆◆◆

◆◆◆(第13話ここまで)◆◆◆



第13話をお読みいただきありがとうございます。

ボレアスとの対話は、ここからが本番です。

次回第14話では、彼女の鎖をどう扱うべきなのか、直也たちが調べ始めます。

すぐに救う、すぐに仲間になる、という話ではなく、

まずは「なぜそこにいるのか」「どうすれば動けるのか」を探る回になります。

リィナの生活魔法も、少し違う形で活躍します。


次回更新日:6月26日(金)

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