表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説を書いたことないので、AIになろう系小説を書かせてみた 〜気まぐれAIのカフェイン転生が、俺の人生を変えた件〜  作者: U2U


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/53

第13話(4)氷の監視者と、ほどけない鎖 ―― 嚙み合わない同族感

◆◆◆


跳ね返った異常が収まり、保管庫に静けさが戻ってきた。さっきより一段重い静けさだ。俺が鎖に触れたことで、空間の警戒がわずかに上がったのかもしれない。


ゼピュロスが鞘の中から少女の姿で飛び出して、ボレアスの前に浮かんだ。さすがに今は暴風の刃ではなく、人の形を取った方が文句を言いやすいと判断したらしい。そういうところだけ器用だ。


ゼピュロス「ねぇ」


ボレアス「何じゃ」


ゼピュロス「あんた、さっきから私のことを欠陥品って言うけど、どこが欠陥品なのか、ちゃんと言ってみなさいよ。理詰めが得意なんでしょ」


ボレアスは一瞬だけ目を細めた。挑発に乗るほど安くはない、という顔だった。だが、ゼピュロスの目は本気だった。ムカついてるだけじゃない。言葉の意味を知りたがっている顔だ。


ボレアス「……風は本来、循環するものじゃ。吹いて、返って、また吹く。均衡の中で流れるものじゃ。だが貴様の風は、ただ吹き出すだけで戻らぬ。消費するだけで、整えない」


ゼピュロス「それの何が悪いの」


ボレアス「循環しない風は、いずれ枯れる。それとも、枯れることを恐れぬほど、貴様は根がないのか」


ゼピュロス「……」


珍しく、ゼピュロスが黙った。一秒か、二秒か。冗談で受け流さない沈黙だった。

そして、少しだけ低い声で返した。


ゼピュロス「あんたは逆だよね」


ボレアス「何?」


ゼピュロス「循環するために、ここで止まってる。戻るために、動けなくなってる。それって……結局、同じことじゃないの?」


今度はボレアスが黙った。

氷の瞳が、わずかに揺れた気がした。ほんの一瞬だけ。


ボレアス「同じではない」


ゼピュロス「どこが」


ボレアス「妾は理を選んだ。貴様は衝動に流されておる」


ゼピュロス「選んだって言い張ってるだけじゃん。そんな鎖だらけで」


ボレアス「貴様こそ、自由を掲げておるだけで、行き先を持たぬ」


ゼピュロス「行き先なんて、その時その時で決めればいいの!」


ボレアス「だから貴様は浅い」


ゼピュロス「だからあんたは固い!」


二人の声がぶつかる。意味は噛み合っていないのに、どこか妙に近い場所を殴り合っている会話だった。


俺は息を呑んだ。

ゼピュロスとボレアスは、真逆のことを言いながら、同じ問いの周りをぐるぐる回っている。枯れるか、止まるか。動きすぎるか、動けないか。属性も性格も方向も逆なのに、言葉の根の部分が妙に近い。


直也「……お前ら、初対面にしては距離感が変だな」


ゼピュロス「変じゃない!」


ボレアス「奇妙なことを言うな」


二人が同時に否定した。同時に、だ。


直也「はい、そこ。今、同時に答えたぞ。自覚はあるか」


二人が互いに視線を向け合い、そして同時に顔を逸らした。


ポン太「へへっ。旦那、今日一番の見物だな。タヌキ的には収穫あったぜ」


直也「笑ってないで何か言え」


ポン太「言うほど分かってねぇよ。ただ、ただの性格の悪い喧嘩にしちゃ、妙に芯を食ってるってだけだ」


リィナ「ゼピュロスちゃん、ちょっとだけさっきより静かですね」


ゼピュロス「静かじゃないし! 考えてただけ!」


リィナ「それを静かって言うんです」


ゼピュロス「うっ……」


ボレアスの口元が、ごくわずかに動いた。笑ったわけではない。だが、今のやり取りを退屈とは思っていない顔だった。


ALMA『……報告。ゼピュロスとボレアスの発話リズムおよび語彙選択に、予想外の共鳴パターンを検出しています。現状の分析フレームワークでは、この一致の根拠を説明できません。未整理の要素が増えています』


直也「また増えたのか」


ALMA『肯定。私は現在、効率的ではありません』


直也「それを自覚できる時点で十分怖い」


ALMA『記録します』


ゼピュロス「なによ、みんなして変な目で見ないでよ。あいつがいちいちムカつく言い方するからでしょ!」


ボレアス「事実を言うだけで腹を立てるなら、なおさら浅い」


ゼピュロス「ほら! 今の! そういうとこ!」


直也「……まあ、少なくとも一つ分かった」


ポン太「何がだい」


直也「お前ら、絶対に相性が悪い」


ゼピュロス「知ってる!」


ボレアス「今さらじゃ」


また同時だ。

本当に、面倒くさいほど噛み合っていないくせに、変なところだけ揃う二人だった。


◆◆◆(嚙み合わない同族感)◆◆◆

ここまでお読みいただきありがとうございます。

次回更新予定:6月19日(金)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ