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小説を書いたことないので、AIになろう系小説を書かせてみた 〜気まぐれAIのカフェイン転生が、俺の人生を変えた件〜  作者: U2U


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第13話(3)氷の監視者と、ほどけない鎖 ―― 跳ね返る静けさ

◆◆◆


「妾じゃなきゃいけない理由」が宙に浮いたまま、最深部の空気はまた静かに凍り直した。

答えを急いでも無駄だ。ここで押し込めば、ボレアスはまた口を閉ざす。

だったら、せめて一つだけでも確かめるしかない。


直也「……まあ、その答えを今すぐ聞き出すつもりはない。ただ、一つだけ試していいか」


ボレアス「何を」


直也「鎖だ」


俺は防寒外套の締め付けに抗いながら立ち上がった。外套は即座に抵抗したが、今回は意地で押し通す。腰が悲鳴を上げたが、足は動いた。

リィナが心配そうに身を乗り出す。

ゼピュロスは鞘の中で露骨に嫌そうな気配を出した。


ゼピュロス「やめなさいよ。マスター、そういう『一回触れば分かるだろ』で悪化させるタイプでしょ」


直也「悪化するかどうかも含めて情報だ」


ゼピュロス「最悪の現場判断!」


ポン太「でも嫌いじゃねぇぜ、その雑さ」


ボレアス「触れるな」


その一言は短かった。だが、命令というより警告に近かった。


直也「触れたらどうなる?」


ボレアス「愚かな問いじゃ。触れれば分かる。ただし、後悔しても知らぬ」


直也「後悔するかどうかは、触れてから決める」


俺は氷の玉座へと一歩近づいた。

ボレアスの周囲を縛る氷の鎖は、近くで見ると思った以上に複雑な形をしていた。ただの氷ではない。光の反射の仕方が違う。内部に別の輝きが混ざっている。凍った水ではなく、何かの機構と空間そのものを一緒に固めたみたいな、妙に重たい質感だった。


ボレアス「触れるでないと言うた」


その声は低かった。だが俺は止まらなかった。

指先が鎖の表面に触れた瞬間。


ズン、と。空気全体が、一枚の板になったような感覚があった。


直也「……っ!」


全身を包んでいた防寒外套が、まるで電流が走ったように激しく収縮した。背骨が強引に折られ、足が床に縫い付けられる。さっきまで俺たちの苦労で整えた保管棚の金属箱が一斉に音を立て、元の位置へと滑り戻っていく。壁のルーンが青白く点灯し、整列する圧力が一気に増幅した。


床の氷が波のようにせり上がり、俺の足首に絡みつく。工具箱の蓋が勝手に閉まり、開けたはずの封じ具のピンが空中を滑って元の穴へと戻っていく。さっきまで点検の結果として「ずれた」ものが、全部まとめて「正しい位置」へ押し返されている。


リィナ「直也さん!」


ゼピュロス「もう! マスターのバカ! だから言ったじゃない!」


鞘から飛び出したゼピュロスが、刀身から突風を解き放った。圧縮された風が、増幅した静けさの圧力を強引に散らす。完全には打ち消せないが、俺の身体を縛っていた力が少しだけ緩んだ。


ゼピュロス「止まれ止まれ止まれ! 四角く並べば全部正しいと思うなっての!」


翠色の風が、床を這う氷のうねりを細かく裂く。完全に破壊するのではなく、流れを乱して回転を与えるような風だ。ボレアスの「止める」力に対して、ゼピュロスはとにかく「動かす」ことで対抗している。


直也「……助かった。ゼピュロス、ありがとう」


ゼピュロス「礼を言う前に謝りなさいよ! 嫌だって言ったのに!」


リィナ「直也さん、じっとしててください!」


リィナが杖を振る。『お掃除』で砕けた氷片を一気に掃き集め、俺の足元だけは滑らない床へと整え直す。氷の蔦みたいな拘束がほどけ、ようやく膝が自由になる。


ポン太「旦那、分かったか? そいつはただの拘束じゃねぇ。触れた瞬間に、保管庫そのものが『均衡の乱れ』として反応しやがる」


直也「……ああ。分かったことがある」


俺は乱れた息を整えながら、鎖を見た。触れた瞬間に、周囲の整列異常が跳ね返ってきた。つまり、あの鎖は単にボレアスを縛っているんじゃない。鎖そのものが、この空間の止まりすぎた静けさと繋がっている。


直也「あの鎖、ボレアスを縛ってるんじゃなくて……空間の均衡と、ボレアスを繋いでるんだな」


ボレアス「……愚かにしては、察しが良い」


ゼピュロス「褒め方が最悪すぎる」


ボレアス「褒めてはおらぬ。事実を言っただけじゃ」


ゼピュロス「そこが感じ悪いのよ!」


ボレアス「感じの良さで静けさは保てぬ」


ゼピュロス「誰もそこまで求めてない!」


そのやり取りが妙におかしくて、俺は一瞬だけ笑いそうになった。腰と膝は限界だし、保管庫は相変わらず狂ってるのに、会話だけは人間臭い。


直也「つまり、雑に引き剥がすのは論外ってことか」


ボレアス「今さら気づいたか。だから愚かだと言うた」


直也「そこは『危ないからやめておけ』でよくないか?」


ボレアス「貴様のような者は、その程度の言葉では止まらぬ顔をしておる」


直也「……それは、まあ、そうかもしれない」


ポン太「へへっ。自覚があってなお触るのが旦那の悪い癖だな」


リィナ「でも、そのせいで分かったこともありました」


リィナが小さく言った。

そうだ。痛いし面倒だし無駄に危なかったが、あの鎖がただの拘束ではないってことは、触って初めて見えた。


この保管庫の静けさは、ボレアスを閉じ込めているんじゃない。

ボレアスを軸にして、自分を成立させている。

だったら、助けるってのは単に「鎖を壊す」ことじゃない。もっと厄介な話になる。


面倒くさい。だが、輪郭は少しだけ見えてきた。


◆◆◆(跳ね返る静けさ)◆◆◆

ここまでお読みいただきありがとうございます。

次回更新予定:6月16日(火)


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