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小説を書いたことないので、AIになろう系小説を書かせてみた 〜気まぐれAIのカフェイン転生が、俺の人生を変えた件〜  作者: U2U


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第12話(5)黒い扉と、凍った返答 ―― 恭順反応と、氷の玉座

◆◆◆


「……そこへ触れるでない」


黒い扉の向こう側――分厚い霜と氷柱に覆われた保管庫の最奥の空間が、霧が晴れるように姿を現した。

そこは、これまで見てきた無機質な通路とは次元が違っていた。

鏡のように磨き上げられた永久凍土の床。その中心で、彼女は巨大な氷の塊の上に静かに腰を下ろしていた。


長く透き通る銀糸の髪。肌は陶器のように白く、一切の血の気を失っている。

彼女自身もまた、幾重もの氷の鎖でその玉座に縫い付けられ、封じられているのだ。

だが、その瞳だけは違った。

極寒の刃のように鋭く、底知れない知性と高飛車なプライドを湛えて、俺たちを見据えていた。


直也「……お前が、この冷え方の大元か?」


俺が問いかけようとした、その瞬間。


ガチンッ!!


直也「……なっ、ぐおぉぉっ!?」


俺の全身を包んでいた「正しき姿勢を導く防寒外套」が凶悪な音を立てて急激に収縮した。

背骨を強引に前へと曲げられ、両膝が床の氷に激しく叩きつけられる。


リィナ「きゃあぁっ!?直也さん、お洋服が勝手に……!足が、折れちゃいそうです……っ!」


隣を見ると、リィナも全く同じように、外套の力で強制的に平伏させられていた。

ただの防寒具が、眼前の銀髪の少女を「最上位対象」として検知し、勝手に絶対的な恭順の姿勢を取らせようとしているのだ。


直也「これ絶対おかしいだろ!いくらなんでも権力に媚びすぎだ、この服!会社員時代でもここまで見事な土下座はしたことないぞ!」


首の角度補正機能が全力で俺の顎を引き、氷にキスさせようとする。

少しでも顔を上げようとすると、外套の襟元がギリッと締まり首を絞めてくる。


「無様な。身の程を弁えた衣服のようだが、中身がそれに全く追いついておらぬな」


玉座の少女が、氷のように冷ややかな声で俺を見下ろした。

システムのアナウンスではない。確固たる自我と自信を持った「人格」の響きだ。


「貴様らのような下賎な者が、この最奥に何用か。許可証などという紙切れ一枚で、わらわの静寂を妨げられるとでも思ったか」


ゼピュロス「ちょっと!あんた何様!?初対面ですっごく感じ悪いわね!」


腰の鞘から、ゼピュロスが怒りに任せて声を上げた。

翠色の突風が巻き起こり、俺たちを押さえつける外套の魔力を一時的に吹き飛ばす。

その反発力のおかげで、俺とリィナはどうにか膝立ちの姿勢まで持ち直した。


ゼピュロス「私たち、扉の掃除してあげようとしたのに、いきなり土下座させるとか頭おかしいんじゃないの!?大体、ここ風通しが悪すぎるのよ!」


だが、銀髪の少女は眉一つ動かさず、静かにゼピュロスを一瞥した。


「妾からすれば、その騒がしさ……愚かとしか言えぬな。風ばかり強くとも、中身の理が伴わねば無意味じゃ。順を乱すだけでは、全体を崩す害にしかならぬ」


ゼピュロス「はぁ!?理ってなによ!風は自由に吹くのが正解なの!あんたみたいに固まってる方が不自然なんだから!」


「自由と無軌道を履き違えるな、欠陥品。お前のようにただ吹き荒れるだけでは、埃を舞い上げる程度の価値しかない。だから貴様は、そのような中途半端な剣に収まることしかできぬのだ」


ゼピュロス「けっ、欠陥品!?マスター、こいつ一発殴っていい!?」


直也「やめろ馬鹿!お前が暴れたら俺の腰がへし折れる!」


俺は鞘の中で暴れ回るゼピュロスを必死に押さえ込んだ。

ただでさえ外套が土下座を強要してきているのに、体が前後に引っ張られて地獄の綱引き状態だ。


直也「……初対面から相性最悪だな……。胃が痛くなってきた」


自由で騒がしいゼピュロスと、静謐で高飛車な氷の少女。完全に水と油だ。


リィナ「……あの」


俺の後ろで、リィナが震える声で呟いた。

彼女は防寒外套の圧力に怯えながらも、銀髪の少女を真っ直ぐに見つめていた。


リィナ「直也さん。あの人、怒っているというより……」


直也「怒ってない?これだけ冷たく見下しておいてか?」


リィナ「はい……。なんだか、ずっと冷えたままで、心まで凍らせているみたいに……見えます。あの人の周りに、さっき感じた『寂しさ』が集まっているような……」


玉座の少女は、何も言わなかった。

ただ、その極寒の瞳が、ほんの一拍だけリィナの方を見た。

それだけだった。


ALMA『……状況、再定義。対象の観測データに重大な矛盾が発生。システム内の分類エラーを継続中』


頭上で明滅するALMAの光も、かつてないほど不規則に乱れていた。

どんな異常事態でも即座に最適解を弾き出してきたあいつが、完全に処理落ちしかけている。


ALMA『対象は環境の一部でありながら、独立した個としての自己同一性を保持しています。熱源探知、魔力波形、存在確率の演算、すべてがエラーを返します。直也さん、対象を整理するための枠組みを構築できません。……綺麗に整理しきれません』


あのALMAが、整理できないと認めた。

この少女は、単なる世界のバグでも防衛機構でもない。もっと根源的な存在だ。


「妾の前で己の無知を晒すか、奇妙な光よ。……そこな男。その騒がしい風と不出来な光を連れているのは、貴様か?」


少女が氷の玉座の上から俺を指差す。


直也「連れているというか、成り行きで腐れ縁になっただけだが。お前は……誰なんだ?」


「名乗るほどの価値が貴様らにあるかは、妾が決めることじゃ。今はただ、そのやかましい口を閉じよ」


直也「……感じ悪いのに、放って帰れない相手ってのが一番面倒なんだよ」


◆◆◆(恭順反応と、氷の玉座)◆◆◆

ここまでお読みいただきありがとうございます。

次回更新予定:6月2日(火)

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