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小説を書いたことないので、AIになろう系小説を書かせてみた 〜気まぐれAIのカフェイン転生が、俺の人生を変えた件〜  作者: U2U


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第12話(3)黒い扉と、凍った返答 ―― 整列する氷片と、無音の取っ手

◆◆◆


最深部の黒い扉の前は、物理的な温度以上に「空間の圧」が冷たかった。

俺たちは、重厚な防寒外套にギチギチと動きを制限されながら、本点検の作業を開始した。

仕事内容自体は、拍子抜けするほど地味なものだった。

扉の取っ手まわりにこびりついた霜を取り除き、壁に刻まれたルーンの縁を清掃する。

床に張り付いた氷を剥がし、周囲の保管棚の微妙なズレをミリ単位で修正し、最後に封じ具の配置をカタログ通りに確認する。

ただの清掃と整理整頓だ。

だが、ここはミルメリアの最深部。普通の掃除で終わるはずがなかった。


直也「……おい、なんだこれ。霜を払った先から、音が消えていくぞ」


俺は渡されたスクレーパーで、黒い扉の取っ手付近の霜を削り落としていた。

氷が削れる音が響くはずなのに、削った直後の空間から、不自然なほど音が吸い込まれていく。

スクレーパーが金属に当たる感触はあるが、音が全くしない。

自分の呼吸音さえも、耳元に届く前に消滅しているような感覚だ。


直也「冷たいだけじゃなくて、性格が細かいな。几帳面すぎるだろ」


無音のまま手を動かすのは、想像以上に精神を消耗する。


リィナ「直也さん、こっちも変です……。床の氷を剥がそうとしているんですが、割れた氷の破片が、全部同じ三角形になって並んでいきます」


少し離れた場所で、リィナが小さなハンマーを片手に困惑していた。

彼女が割った床の氷の破片は、まるで意思を持っているかのように、等間隔に、しかも寸分違わぬ正三角形に整列していくのだ。

割るたびに破片が散るが、空中でピタッと止まり、幾何学模様を描くように着地する。


直也「氷の破片まで定規で測ったように並ぶのかよ」


リィナ「これではお掃除になりません。集めようとしても、ほうきの先から逃げて、また同じ三角形を作ろうとするんです……。寒いというより、まっすぐすぎて息が詰まりそうですね」


リィナが胸元を押さえて苦しそうに呟く。


ゼピュロス「ちょっとマスター!私まで気持ち悪くなってきた!ここ、風まで並ばせようとしてるんだけど!」


俺の腰の鞘から、ゼピュロスの悲鳴のような声が響く。


直也「風が並ぶってどういうことだ?」


ゼピュロス「空気が全部同じ大きさの四角いブロックみたいに分割されて、順番通りにしか動かしてくれないの!こんなの風じゃないわ!」


魔剣の力を削ぐほどの強烈な「整列」の法則。

触れた場所から異常が濃くなっていくのが肌で分かる。


直也「ポン太、保管棚のズレを直す作業も一筋縄じゃいかないみたいだな」


俺は保管棚のズレを直そうと試みた。

棚に置かれた分厚い金属製の箱が、指定されたラインから一センチほどはみ出している。

それを両手で押し込み、ラインにぴったりと合わせた。

そう思って手を離した瞬間。


ズズッ。


金属箱が、自ら意思を持っているかのように、元の「一センチはみ出した位置」へとゆっくり戻ってきたのだ。


直也「……は?お前、なんで戻るんだよ。そこははみ出してるだろ」


もう一度押し込む。手を離す。また戻る。


ポン太「へへっ、旦那。そいつは現状維持の魔法が強すぎるんだよ。この保管庫自体が、変化を極端に嫌がってる。外した金具だって、ほら見な」


ポン太が扉の封じ具のピンを一つ引き抜いた。

すると、抜かれたピンが空中に浮かび上がり、元の穴へとスッと収まった。


ポン太「触れた場所から異常が濃くなる。これが最深部の正しさの圧力ってやつさ。俺っちみたいな裏を歩くタヌキには、息が詰まるぜ」


直也「ALMA、この現象、お前のデータベースに似たようなものはあるか?」


俺は肩越しに浮かぶ光球に問いかけた。

ALMAは青白い光を明滅させながら、少しだけ処理の間を置いた。


ALMA『……既存の分類では説明できません。これは空間の因果律そのものを特定のパターンに固定化しようとする干渉です。点検という行為がもたらす微小な変化すらも、この空間はノイズとして認識し、自動修正を試みています』


直也「つまり、俺たちがやっている掃除そのものを、空間が拒絶してるってことか」


ALMA『肯定。環境と作業者の間で、物理法則の定義権を巡る対立が発生しています』


直也「ただの掃除が、世界のルールとの綱引きになってるわけだ。本当に面倒くさいな……」


俺たちはため息をつきながら、作業を続行した。

外した金具が戻るなら、戻る前に素早く点検箇所を確認してネジを締める。

割れた氷が整列するなら、整列し終わる前のわずかな隙を突いて強制的に回収する。

霜を削って音が消えるなら、無音の恐怖に耐えながら削り続ける。


防寒外套の強制力と、空間自体の異常。

二つの圧力に挟まれながら、俺たちの体力と精神力はじわじわと削られていった。

誰も喋らなくなり、ただ黙々と不毛な作業を続ける。

静けさだけが、俺たちの周りに重く降り積もっていく。


そして、黒い扉は、微動だにせず俺たちの無様な作業を見下ろしている。

触れれば触れるほど、何かがこちらを観察しているような気配が色濃くなっていく。


異常の濃度は、確実に限界点へと近づいていた。



◆◆◆(整列する氷片と、無音の取っ手)◆◆◆

ここまでお読みいただきありがとうございます。

次回更新予定:5月26日(火)

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