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小説を書いたことないので、AIになろう系小説を書かせてみた 〜気まぐれAIのカフェイン転生が、俺の人生を変えた件〜  作者: U2U


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第12話(2)黒い扉と、凍った返答 ―― 正しき姿勢の拘束具

◆◆◆


許可証地獄から解放されたのも束の間、俺たちを待っていたのは更なる苦行だった。

地下深くの更衣室には、前回俺たちを激しく苦しめた「正しき姿勢を導く防寒外套」が、より重厚感を増して鎮座していた。


係員「今回は最深部の本点検です。したがって、外套も『本点検仕様』へとアップグレードされております」


係員が自慢げに差し出した外套は、見た目からして分厚く、銀色の刺繍がびっしりと施されていた。


直也「……具体的に何が変わったんだ?」


係員「より厳密な管理です。姿勢固定レベル4、歩幅固定レベル5。さらに、首の角度補正機能と、不要な発声を抑制する無言推奨モードが搭載されています。極寒環境下でのカロリー消費を最小限に抑え、完璧な点検作業を約束します」


直也「約束してるのは俺たちの完全なロボット化だろ。これ以上縛る気か」


係員「すべては皆様の安全のためです。さあ、正しい着用を」


渋々外套に腕を通した瞬間、背筋に冷たい電流が走り、ガチッと背骨が固定された。

前回よりも締め付けが強い。少し背中を丸めようとすると、強制的に顎を引かされ、視線を斜め下十五度に固定される。

おまけに口を開いて喋ろうとすると、首元の襟が僅かに締まり、チクッとした刺激を送ってくる。


リィナ「あぅ……。直也さん、これ、前回よりも関節が……カクカクします」


隣を見ると、リィナがブリキのおもちゃのようにぎこちない動きで歩いていた。

彼女は真面目に外套の指示に従おうとするため、本来の動きと強制力が喧嘩して余計に身動きが取れなくなっている。


直也「リィナちゃん、無理に合わせようとしなくていい。適度に力を抜かないと筋肉痛で倒れるぞ」


リィナ「は、はい……。でも、歩幅がズレると背中の刺繍がビリビリって怒るんです……」


ゼピュロス「あはは!二人とも変な歩き方!マスター、カエルみたい!」


腰の鞘から、ゼピュロスの無神経な笑い声が響く。


直也「笑い事じゃない。……そういやお前、最近は普通に剣の形で大人しく収まってるんだな。前みたいに飛び回らないのか?」


ゼピュロス「だってその方が楽だもん。飛び回るのは面白い時だけで十分よ。戦う時は、最初から剣の方が早いでしょ?」


直也「……便利だけど、そういう仕様変更は事前に共有しとけよ。冷気に当てられて大人しくなったのかと思ってたぞ」


普段こそ好き勝手に人の姿で飛び回るくせに、潜る時と戦う時だけは、ゼピュロスは最初から剣の形に収まっていることが多い。自由奔放なくせに、こういう切り替えだけは妙に早い。


ゼピュロス「私がそんなやわなわけないでしょ!それにしても、その布切れ偉そうね。マスターに指図するなんて生意気。燃やしてやろうか?」


直也「燃やしたら俺が凍死するからやめろ」


ポン太「へへっ、燃やしても凍死しても金がかかるぜ、旦那」


ポン太がただのぬいぐるみに擬態しながら器用に歩いている。

こいつは毛皮があるから外套を着なくて済んでいる。


ポン太「規則に逆らえば罰金、従っても機材の損耗費が引かれる。どっちに転んでもお上の懐が潤う仕組みさ。これが管理社会の基本だぜ」


直也「お前、そういう嫌な現実を突きつけるの得意だよな。怒りで体温上げようとしてるなら逆効果だぞ。余計に胃が痛くなってきた」


ALMA『報告。直也さんのストレス係数が急上昇しています。心拍数を安定させるため、私の発光色を青白く調整し、視覚的安寧を確保しました』


フワッと、ALMAの光が寒々しい青白色に変わった。

ただでさえ冷気が漂い始めている地下通路で、さらに寒気を催す色だ。


直也「寒くないやつの気遣いが一番腹立つんだよ!もっと暖色系にしろ!」


ALMA『暖色は活動意欲を過剰に刺激し、無駄なカロリー消費を招きます。外套の意図に反するため、却下します』


直也「お前もシステム側かよ!」


俺たちは文句を言い合いながら、果てしなく続く階段を降りていった。

歩幅は揃えられ、首の角度も固定されている。喋るたびに首元がチクチクと刺激される。

それでも、口だけは絶えず動き続けていた。


ポン太「旦那、静かにしな。前方に巡回だ。外套の無言推奨モードを無視して大声出してると、また長い説教が始まるぜ」


ポン太の警告で、俺たちは慌てて口を噤んだ。

踊り場に立つ青い制服の巡回係は、俺たちの「正しい姿勢」を一瞥すると、手帳に何かを書き込み、無言で道を空けた。


直也(……本当に息が詰まる)


だが、その息苦しさの中で、俺は妙な安心感も覚えていた。

この拘束着を着て理不尽な規則に縛られながらも、隣にはリィナがいて、腰にはゼピュロスがいて、足元にはポン太がいる。

そして、頭の上ではALMAが的外れな気遣いをしている。


どんなに世界が俺たちを「均一な正解」に押し込めようとしても、この雑多な関係性だけは均一化されない。

それだけが、この冷たい地下へ向かうための唯一の熱源だった。


直也(……さて、行くか)


強制的に伸ばされた背筋のまま、深呼吸をする。

肺を満たす空気が、一段と冷たさを増している。

ここから先は、本当の最深部。あの黒い扉が待つ本点検だ。



◆◆◆(正しき姿勢の拘束具)◆◆◆

ここまでお読みいただきありがとうございます。

次回更新予定:5月22日(金)

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