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小説を書いたことないので、AIになろう系小説を書かせてみた 〜気まぐれAIのカフェイン転生が、俺の人生を変えた件〜  作者: U2U


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第10話(4)仮通行札と、開けちゃいけない扉 ―― 冷気の境界線

◆◆◆


「……ひっ、ひっ……ひっくしょい!」


俺のくしゃみが、冷え切った倉庫内に不自然なほど高く響き渡った。

吐く息は白を通り越して、もはや凍りついた結晶が混じっているのではないかと思えるほどに冷たい。

物流港の通路からシャッター一枚隔てただけで、世界はマイナス15度の極寒へと変貌していた。


直也「な、なぁ……。いくら没収品を保管するためとはいえ、冷やしすぎだろ。冷蔵庫の中に放り込まれた肉の気分だぞ、俺は」


俺は自分の肩を抱き、ガチガチと鳴る奥歯を必死に抑えながら言った。

床も壁も、うっすらと霜が降りて白く輝いている。

天井から吊るされた「正しい照明」だけが、その冷酷な景色を青白く照らしていた。


ALMA『肯定。周辺の熱エネルギーが不自然に消失しています。直也さん、震えは非効率な筋収縮です。脇を締め、体熱の放出を最小限に抑える「正しい防寒姿勢」を推奨します。……ロ、記録。この気温低下は、物理的な冷却装置によるものではなく、内部に保管された「高密度な情報の残滓」が引き起こしている現象と推測されます』


直也「理屈はいいから、早くここを出よう。……リィナちゃん、大丈夫か?」


リィナ「は、はい……。なんだか、空気がピンと張り詰めていて、吸い込むだけで肺が凍っちゃいそうです。でも、この寒さ……なんだか、悲しい匂いがします」


リィナは杖を胸元で抱きしめ、霧の向こうにある「奥」を見つめていた。

彼女の感受性は、時としてALMAの解析よりも鋭く世界の「綻び」を捉えることがある。


そんな中、いつもなら軽口を叩くはずのゼピュロスが、妙に静かだった。

俺の傍らで浮遊しているはずの彼女は、いつの間にか俺の背中の陰に隠れるようにして、短く身を縮めている。


直也「ゼピュロス? お前、どうしたんだ。いつもの威勢はどうした」


ゼピュロス「……べ、別に。寒いだけだよ、マスター。私、風の魔剣様だけどさ、こういう『動かない冷たさ』って嫌いなんだよね。……なんか、胸がザワザワするし」


ゼピュロスは俺の服の端をギュッと掴んだ。

その手は、魔剣の精霊であるはずなのに、驚くほど冷たく、そして微かに震えていた。

彼女の不機嫌は、単なる寒さへの不満ではなく、もっと根源的な忌避感に近いものに見えた。


ポン太「……旦那、あんまり深入りすんじゃねぇぞ。あそこの奥にある黒い扉は、この街でも『開けちゃいけない扉』として有名なんだ」


いつの間にか俺たちの影に紛れ込んでいたポン太が、首をすくめながら囁いた。

彼は霜で白くなった髭を気にしながら、倉庫の奥に鎮座する、ひときわ巨大で不気味な鉄の扉を指差した。


ポン太「あの中には、この世界が『あってはならない』と判断した、強烈すぎる不純物が詰まってやがる。……ここ数日、あそこからの冷気漏れがひどくてな。警備隊の連中も、中に入りたがらねぇのさ」


直也「……冷気漏れ? じゃあ、この異常な寒さは、あの扉の向こうから来てるのか」


その時、霧の向こうから「カツ、カツ」と、この倉庫の静寂にそぐわない整然とした足音が近づいてきた。

現れたのは、衛生警備隊と同じ制服を着ているが、その胸元に「保管管理責任者」という金文字のバッジをつけた、痩せ細った男だった。

男は俺たちの前に立つと、冷気など感じていないかのような無機質な動作で一礼した。


管理者「いらっしゃいませ。迷い込んだ不純物の方々ですね。まずは確認です」

管理者「鼻水は不潔です。速やかに正しい方法で処理してください」

管理者「震えは周囲の振動係数を乱します。1分以内に停止してください」


直也「無理な注文をつけるな。こっちは警備隊に追いかけられて、たまたまここに逃げ込んだだけだ。すぐに立ち去るから見逃してくれ」


管理者「立ち去る? それは非効率な提案です。現在、当保管区画では緊急の『確認作業』が停滞しています。奥の扉……通称・極寒保管庫の付近で、熱力学の正解が失われているのです」


管理者は、あの開けちゃいけない扉の方を向いて、短く、そして鋭く続けた。


管理者「扉の金具が凍りつき、点検員の進入を拒絶しています。これは重大な手続き違反です。……そこで、不純物であるあなた方に、特別な『親切』を提供しましょう。あの扉の付近の霜を取り、安全を確認してください。それが、あなた方の『正解の逃げ道』になります」


ポン太「げぇっ!? 旦那、ダメだ! あそこの点検なんて、命がいくつあっても足りねぇ! あそこは料金が跳ね上がるどころの騒ぎじゃねぇぞ!」


ポン太が露骨に嫌がり、俺の腕を引いて戻ろうとする。

だが、管理者は懐から一枚の、青く光る札を取り出して見せた。


管理者「完了の暁には、仮通行札の本発行手続きを優先します。さらに、確認作業の報酬として銅貨も支払います。これがあれば、中核区画での滞在と、次の手続きへの接続が可能になります。……いかがですか?」


直也「仮通行札と報酬、か。つまり、今日の稼ぎと明日の足場をまとめて渡すってことだな」


さらに、管理者がふと言葉を漏らした。


管理者「……ちなみに、あの奥からは不快な匂いも漏れています。焦げたような、苦い、不純な匂いです。それが、冷気と共に漂い出し、作業員の論理思考を妨害しているのです」


直也「……匂い?」


俺は鼻をすませた。

確かに、冷たく澄んだ空気の底に、一筋の香りが混じっている。

それは、昨日、内壁ゲートの裏側で感じたのと同じ、焙煎された豆が放つ、深い深い「黒」の香り。


直也「……コーヒーか」


ゼピュロス「マスター……? まさか、今ここでやる気?」


ゼピュロスが不安げに俺を見上げた。

彼女の髪が、微かに凍りついて白くなっている。

俺は彼女の頭に手を置き、その冷たさを確かめるように軽く撫でた。


直也「いや、今日はここで飛び込まない。仮通行札もまだないし、こいつは『次の案件』だ。金になる。コーヒーの手がかりもある。だったら、逃げるより先に、条件を握っておく」


ポン太「旦那……その判断は正しいが、安くは済まねぇぞ。あそこは『信用2段目』が必要な場所だ。今の契約のままじゃ、俺っちも命綱までは出せねぇ」


直也「分かってるよ。だから条件を聞く。場所はあの極寒保管庫。仕事は扉まわりの霜取りと安全確認。代償は追加料金と契約更新。……そういうことだな、ポン太」


ポン太「へへっ、そういうことだ。ようやく旦那も、この街の裏の歩き方が分かってきたじゃねぇか」


管理者「論理的な確認です。では本件は、明日以降の正式依頼として仮登録しておきます。今夜のところは、搬入口での未了作業に対する出来高分を清算し、簡易の仮通行札を発行します」


直也「簡易でいい。今日はもう、手続きと寒気だけで腹いっぱいだ」


黒い扉の向こうから、さらに冷酷な、しかしどこか誰かを呼んでいるような冷気が、ゆっくりと這い出してきた。

俺はその気配を真正面から睨み返した。


直也「逃げ道じゃない。次の行き先だ。……覚えとけよ、開けちゃいけない扉」


◆◆◆ 冷気の境界線 ◆◆◆

次回の更新日04月10日(金)第10話(5)仮通行札と、開けちゃいけない扉 ―― 仮登録の重量

になります。

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