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小説を書いたことないので、AIになろう系小説を書かせてみた 〜気まぐれAIのカフェイン転生が、俺の人生を変えた件〜  作者: U2U


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第10話(2)仮通行札と、開けちゃいけない扉 ―― 紙吹雪の包囲網

◆◆◆


中央物流港、第3搬入口。

そこは、俺が想像していた「活気ある港の倉庫」とは程遠い、静謐なまでの管理区域だった。

立ち並ぶ巨大なコンテナはミリ単位の狂いもなく整列し、コンクリートの床はゴミ一つなく、等間隔に並んだ天井灯が「正しい照度」で無機質な空間を照らし出している。

行き交う作業員たちは全員が同じ速度で歩き、同じ角度で荷物を持ち上げ、すれ違うたびに同じ角度で会釈を交わしていた。


俺たちの目の前に現れたのは、これまた一分の隙もない制服を着た「現場監督」だった。

彼は俺が差し出した長い依頼書を確認すると、これまた辞書のような厚みの「作業マニュアル」を俺たちの前に積み上げた。


監督「ようこそ。作業開始前に、こちらの『親切な安全作業手順書』を熟読してください。全150ページです。読み上げは1ページにつき30秒、正確な発声で行ってください。それ自体が正しい準備運動になります」


直也「読むだけで1時間以上かかるな。俺たちは今日中に稼ぎたいんだ。要約してくれれば、すぐにでも取り掛かる」


監督「要約という概念は、この現場には存在しません。すべての手順が等しく重要であり、すべての動作が正解である必要があります。……まずは服装のチェックです。その泥だらけの靴は、当倉庫の『清浄基準』に抵触します。不快な汚れです」


監督は俺の靴を指差して、短く、そして鋭く言い放った。

その目は、汚れそのものに道徳的な嫌悪を抱いているようだった。


リィナ「あ、あの! それなら私にお任せください! すぐに『お掃除』の魔法で、ピカピカの鏡面仕上げにしますから!」


リィナが意気揚々と杖を構えた、その瞬間。

彼女の手元が、透明な鎖に縛られたかのようにピタリと止まった。


ALMA『申請を却下。目的、作業前清掃。……直也さん、本件依頼の規約第14条を確認してください。「作業は支給された道具を用い、肉体的労苦を伴うこと。苦労こそが誠実さの証明である」と明記されています。魔法によるショートカットは、契約不履行とみなされるリスクがあります』


リィナ「ええっ!? 肉体的労苦……そんなの、わざわざ疲れなさいって言ってるみたいです!」


直也「……スローライフを申請制にする世界だ、苦労まで義務化されてても驚かないよ。ALMA、せめて俺たちの足元だけでも、これ以上汚さない程度のロック解除はできないか?」


ALMA『……再考。不純物の飛散防止という観点から、局所的な「吸着防止」のみを承認。ただし、既存の泥は手作業で落としてください。それが、この世界の求める「正しい労働の美学」です』


直也「お前、本当に管理職に向いてるよ。嫌なタイプの。……リィナちゃん、悪いな。今日は魔法抜きで、文字通り泥にまみれるしかないみたいだ」


リィナ「うぅ……わかりました。頑張ります、直也さん。お掃除は……手でやるのも、お掃除ですから!」


リィナは半泣きになりながら、支給された薄汚れたボロ布を手に取った。

彼女が膝をついて、俺の靴や自分の服についた泥をゴシゴシと擦り始める。

かつて王宮の図書室を魔法一つで浄化した少女が、今は冷たい石畳の上で、必死に泥と格闘している。

この落差は、ギャグを通り越して少しばかり不憫だった。


ゼピュロス「あはは! この街、何でも人力でやらせたがるんだね! 親切っていうより、ただの嫌がらせじゃん!」


直也「ゼピュロス、お前もだぞ。ほら、この箒を持って没収品の霜取りを手伝え。風で吹っ飛ばすのは厳禁だ。1ミリも風を起こすなよ」


ゼピュロス「やーだね! 私は風の魔剣様だよ? なんでこんな木の棒を振り回さなきゃいけないのさ。親切って、要するに『面倒』の言い換えでしょ? バカバカしいったらありゃしない!」


直也「……お前、たまに核心を突くよな。確かに、この街の親切は手間を増やすための装置だ。だが、今はその手間をこなさないと、仮通行札が手に入らないんだよ。いいから働け」


俺はゼピュロスの不満を無視し、重い木箱を運び始めた。

中身は没収された「不純物」たちだ。

歪んだ形の工芸品、色が不揃いな布、そして、香りの強すぎるハーブ。

どれもが表の街では「間違い」とされたものばかり。

それらを整然とした棚へ、番号順に、一ミリのズレもなく並べていく。

腕がパンパンになり、腰が悲鳴を上げ始める。

スローライフをするための金を稼ぐために、これほど過酷な労働に従事する。

本末転倒という言葉を、俺は今ほど痛感したことはなかった。


そんな中、事件は起きた。

作業開始から2時間。ゼピュロスの忍耐は、ストローの細さほども残っていなかった。


ゼピュロス「あー、もう飽きた! こんなの、風で一気に運んじゃえばいいんだよ! サービスだよ、サービス! マスター、感謝してよね!」


直也「おい、待て! ゼピュロス、やめろ――!」


俺の制止が空気を裂くよりも早く、ゼピュロスが指を鳴らした。

彼女が起こした突風は、没収品の霜を吹き飛ばすだけでなく、現場監督のデスクの上に山積みされていた「未処理の搬入書類」を直撃した。


パサササササササッ!!


空を舞う、数千枚の白い紙。

それは、雪のように、あるいは呪わしい紙吹雪のように、整然とした倉庫内を無秩序に埋め尽くしていった。

監督が何時間もかけて書き上げたばかりの、あの「正しい」記録たちが、空中でバラバラに引き裂かれ、舞い落ちる。


直也「……終わった。俺の仮通行札が、紙吹雪になって飛んでいく」


俺が呆然と呟いた瞬間、倉庫の奥から、あの現場監督が「音もなく」滑るように近づいてきた。

彼の顔からは笑顔が消えていたが、口調だけは、相変わらず恐ろしいほどに「丁寧」で、かつ短く刻まれていた。


監督「お客様、大変困ります。手順外の挙動です。不適切な風力です」

監督「書類は正しい位置を求めています。現在は不快な滞空状態です」

監督「落下角は90度が理想です。今の舞い方は乱暴すぎます」

監督「掃除は手作業です。風の使用は規約第14条に違反します」

監督「安心してください。これは任意ですが、今すぐ全ての文字を復元してください」


直也「無理に決まってるだろ! 空中でバラバラになった紙の文字をどうやって復元するんだよ! パズルじゃねぇんだぞ!」


監督「不可能です、という言葉は、私たちの辞書には存在しません」

監督「努力は正しい姿勢で行ってください。まずは膝を揃えてください」

監督「謝罪は45度です。角度が不明な場合は、測定器を呼びます」


直也「測定すな! ……おい、ゼピュロス、お前のせいだぞ! どうにかしろ!」


ゼピュロス「えー? 綺麗じゃん、紙吹雪! お祝いだよ、マスターの初仕事の成功祝い!」


直也「成功してねぇよ! 葬式だよ! ……おい、ポン太、何とかしろ!」


監督の背後から、さらに数人の、同じ制服を着た男たちが現れた。

彼らは全員が右手に「親切な誘導棒」を持ち、左手に「警告の手続き書」を携えていた。

その動きは、一分の狂いもない。


監督「手続き違反を確認しました。速やかに身分を提示してください」

監督「抵抗は危険です。あなたの筋肉に不必要な負荷がかかります」

監督「逃走は非効率です。正解の出口は、係員の背後にあります」

監督「呼吸は落ち着いて。吸って2秒、吐いて4秒です。繰り返してください」


直也「……任意の圧が強いんよ! 吸って2秒とか決めるな! おい、ポン太、逃げ道はあるのか!」


俺が叫ぶと、物陰で死んだふりをしていたポン太が、ようやく尻尾を振って顔を出した。


ポン太「げぇっ!? 旦那、何やらかしてんだ! あいつらは中核区画の『衛生警備隊』だぞ! 捕まったら、頭の中まで漂白剤でピカピカに洗われちまう!」


直也「洗われなくていい! ……行くぞ、リィナちゃん、ゼピュロス! 仕事はクビだ、逃げるぞ!」


監督「逃走ルートの構築は認められません。正解の身柄拘束はこちらです」

監督「足幅は肩幅です。測定の用意が整いました」

監督「安心してください。拘束は親切な手順で行われます」


直也「だから測定すなと言ってるだろ! 肩幅なんて自分で決めるわ!」


倉庫の重厚なシャッターが、ゆっくりと、しかし確実な速度で閉じられようとしていた。

「正しさ」という名の檻が、不気味な静寂を伴って俺たちを飲み込もうと迫っていた。


◆◆◆ 紙吹雪の包囲網 ◆◆◆

次回の更新日04月03日(金)第10話(3)仮通行札と、開けちゃいけない扉 ―― 勝利未満の通行権になります。


よろしくお願いします!

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