どうするんです? 3
もちろん、悪意なんてあるわけが無い。
単に、食事時における、家族団らんの延長線上だ。
「で……っ!?」
しかし、穂葉に対しては、覿面すぎる効果をもった言葉だった。
「出るって、なにがです……?」
肩をビクリとやった彼女は、次いで左手を、テーブル上に“すすす……”
滞りなく滑らせて、手近に待機させていたニンニクを、ふたたび握り直した。
「や……、なんも。 忘れて? ほれ、この辺りには外灯も多いし、たぶん大丈夫でしょ? たぶん……」
「………………」
数秒ほど固まった後。
「………………」
ノロノロと項垂れた穂葉は、なにやらブツブツと、ひとり言をくり始めた。
ここまで効果があると、ひどく申し訳ないことをした気分になる。
そういった想いから、慌てて取りつくろいを述べようとした史は、何やら不穏なものを感じ、肝を冷やした。
「いや……、あのさ?」
「………………」
それでも、自分でまいた種だ。
ちゃんと、家族をフォローしなければ。
「や、ごめん! ホントごめんな? 冗談冗談!」
「“出る”って……、まさか、悪党とか……?」
「なぁ? 穂葉?」
「……いえ。 そういう人は、いまの世の中にはもういませんし。 仮に出たとしても───」
「………………」
何やら、背中に氷など放り込まれたような感覚だ。
俄かに戦慄した史は、左右の手に、それぞれお茶碗とお箸を構えたまま硬直し、当面の風雨が過ぎ去るのを、静かに待つことにした。




