かいだん4
「なんでって何!? なんでって何さ!!?」
「え? なにって……。 生徒会に怒られるような覚えは──」
「……もういいよ。 そっちがその気なら!」
「うん?」
その対抗策として、珠衣が講じた手段は、とっておきの物だった。
平和的な解決法を提案したにも関わらず、この期に及んでも尚、シラをきり続けるなら仕方がない。
「ぬぃっ!!!」
「む……?」
実力行使という、情理の欠片もない方策に打って出るしか、残された道はなかったワケだ。
するどい挙動で、鬼手が犯人の元へ伸びる。
「ぬー……」
「なんだこれ?」
片方の腕を、目の前でプラプラと振ってみせる望月。
それをギュッと握りしめる珠衣も同様。 つられてプラプラする自身の腕部の向こうへ、並々ならぬ眼光を突き刺してみせた。
精いっぱい、目つきを悪くした。
本人としては、“鬼刑事”だとか。 手段を選ばない“悪役”を好演しているつもりなのだろう。
けれど、どう好意的に表しても、単に目をシパシパさせているだけにしか見えない。
「目にゴミでも入った?」
「入ってないよっ!」
「う゛ぅ゛……」
それでも、いまだに怯える穂葉の“なでなで”を怠らないあたりは、さすがだと思う。
鬼刑事とは、往々にして、義理人情に深いものだった。
「それで……、えっと? どこまで話したっけ?」
「“女子生徒が廊下に出た”っていう下り」
「あぁ! そだった」
「う゛ぅ゛~……」
併せて、仇敵の要望にも律儀に応じてやるあたり、さすがは、まっすぐな性格の珠衣である。
「その人が廊下に出るとね……?」
ともあれ、彼女が再び語り始めた“怪談話”の内容は、以下のようなものだった。




