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神祇 ─じんぎ─  作者: 高石童話本舗
さがしものと
54/1823

ろじうらで6

「……ひょっとして、迷子?」


「………………」


なるべく(おだ)やかな口調を()りながら、試行錯誤する。


「………………」


「えっと……」


「………………」


「その……」


それでも、やはり少女は応えない。


ばかりか、ひとまずの興味さえ、(つゆ)とも(いだ)こうとはしてくれない。


「んー……」


「………………」


どうも(らち)の明きそうにない現状に、いよいよ困り果てた。


次ぐべきセリフを、小難しい(うな)り声に切り替える。


「あ……」


そこで、右手に提げたレジ袋の存在を思い出した。


慌てて腕時計を確認する。


「ヤバ……っ!」


もう少しで、昼休みが終わる。


急いで戻って、どうにか(すべ)り込み。 ギリギリか。


「もしよかったら──」


“そこの学校まで、一緒に来てくれる?”


「あれ……?」


そういった申し出が、史の口を離れることは無かった。


ふたたび上向(うわむ)けた視線の先に、少女の姿はすでに無く。


ただ、人気のない路地裏の向こうに、高校の棟舎(とうしゃ)を望むのみだった。

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