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ろじうらで5
「よかったら、お茶でも行かない? この近所にさ? おいしいコーヒーを出す──」
そこで、ハタと気づいた。
“なんか、ナンパみたいだ……”
こんな所、珠衣にでも見られたら、何を言われるか知れたものじゃない。
巨大な尾ヒレを何枚もかさね着した噂話が、ただちに学校中を駆け巡る。
「や……、ごめ! 変な意味じゃない。 なんて言うか───」
「………………」
そういった、自戒を秘めた史の言葉にも、やはり少女は応えない。
相変わらず、どこまでも眠たげな眼差しを、ふわふわと呈するのみだった。
「なぁ……?」
「………………」
問題なのは、とくに緊張していないという事だ。
その様子から、すでに態度を軟化させているという事だ。
この少女は、万物に対するのと同様。 史に対し、あまりにも興味が無さすぎるのだった。
「………………」
“会話のキャッチボール”としては、返球をひとつも放ることはせず。
ただ、無機物を見るような眼で、ふわふわと史を捉え続けるのみだった。




