ろじうらで4
「その着物、よく似合ってる。 たしか、平安時代の頃だっけ? そういう衣装が流行したの」
「………………」
“人間ではないもの”と表すことの出来る存在は、その大抵が、ひと目で史の正体に気付く場合が一般的である。
とは言え───
“あ、天國さまぁ! ははぁーっ!!”
などと、格別に改まった態度をとられるのは、あまり居心地の良いものではない。
神という存在は、単に人々の頭上に居座るだけではいけない。
こういった存在に対する場合も同様。
頭ごなしに抑えつけるような真似は、本来するべきものじゃないと思っている。
“天國大神”という神名が持つ畏ろしさであったり、烈しい武力を背景とするのは、下品の下品。
情理を欠いた、下種のやり口だ。
何より、無闇に敵を作るのは好ましくない。
自分も、穂葉も。
こうして現世に降りた以上は、人々と変わらず、“人間”として生きる日々にこそ、意味がある。
「よかったら、名前教えてくれないかね?」
「………………」
日頃から、“神の御業・役目”などと、自分たちの行いを指して、大仰な金看板こそ打ち立ててはいる。
けれども、その実は、こういった小さな行いだ。
日常の中で、十種の生活をひっそりと支え、励ます。
そういった極小の働きを、神という立場から・巫女という立場から、行っているに過ぎなかった。
「どこから来たの? 家は……、住んでる所は、この近所?」
「………………」
ともすれば、職務質問にありがちな、押しの強さは封印。
差し障りのない会話で、少女の緊張が解れるよう努める。
少しでも態度を軟化してもらえるよう、言葉づかいに気をつけて、何気ない会話を振ることにする。




