だんらん
翌日のこと。
「ねえ……。 生徒会の人から聞いたんだけどね? 最近、学校にお化けが出るらしいよ……?」
通学路の道すがら、穂葉の隣を歩む珠衣が、そんなことを言い出した。
「あ? なんて? なん言った?」
二名の後ろにつく形で、最前のキャピキャピしたやり取りを、何とはなしに聞き流していた史が、ふと訊き直す。
本日の空模様は、絵に描いたような曇天である。
さしづめ、本州に広くかかる梅雨前線の、面目躍如といったところか。
昨日の息抜きを経て、やはり現在はこういった時季なのだと、改めて思い知らされる空模様だった。
いつ泣涕を開始するとも知れない頭上。
そこへ、具な注意を払っていても尚、聞き捨てならない語句が、耳に飛び込んできた。
「お化けだよ!お化け!!」
「お化けなぁ……?」
力強く宣うクラスメートの傍らで、穂葉が満面を蒼白させる。
「お、お化けって……、あのお化けです?」
「うん。 あのお化けです………」
「な……っ!?」
そんな反応を楽しむような素振りで、柳の葉がこすれるように、情感をこめて応じる珠衣。
すると───
「なぁぁぁぁぁぁっ!!!?」
野太い絶叫が、暗雲の低迷する町並みに、渾々(こんこん)と反響した。
家族のことながら、普段の声音からは、想像もつかないような噪音である。
「お化け……っ! お、お化けはダメですよっ!?」
「ダメじゃないです……。 ホント出るんだから、仕方がないんですよ?」
「まぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!?」
“巫女”という役目柄、そういった話には、常人よりも耐性があるように思われがちな穂葉である。
けれども、その実は見ての通りだ。




