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まなびや4
「あとで生徒会室まで来てくれるかなっ?」
「え? なんで?」
「なん……っ!? なんでって、こっちが訊きたいよ! なんで、そんな不思議そうな顔──!」
「やー……? 身に覚えが」
廊下の向こうから当該の教室前へ、珠衣が勢いよく駆け込んできた。
その形相は、まさしく手配犯を見つけた鬼刑事のそれだったけど、望月は動じない。
「しょうがないなぁ。 アレでしょ? タマちゃんは。 かくれんぼがしたいんだろ?」
「いやいや! なに言ってるの!? こっちは遊びじゃない!」
「タマちゃんも子どもだなぁ?」
果てには、“あっはっは”などと、取って付けたような高笑いを加えて、珠衣の心情に、だくだくと油を注ぐ始末である。
「穂葉ー! 手伝ってぇー!?」
「え? かくれんぼ?」
「いいじゃん、かくれんぼ!」
その模様は、賑やかを通り越して、少しばかりうるさかったのかも知れないけれど。
今日も穏やかな一日になるであろうことを、柔らかく知らしめるものだった。
いつも通りな友人たち。
それを苦笑しながら、やんわりと見守る穂葉。
授業開始前の教室内。 それぞれ思い思いの場所で、談笑に耽るクラスメートたち。
それら、身辺を取り巻く日常の直中で、“ここは、自分の居場所なのだろう”と。
史は、安息に通ずる感応を覚えるのだった。




