まなびや3
想像してみて欲しい。
時間割に準じて、次の授業“体育”が行われる校庭へと、友達とダベりながら向かう。
「ヘイ! シューゴー! シューゴー! ミンナゲンキ?」
「……誰あれ?」
そこには、ジャージを着こなしたマサイの勇者が、はじける笑顔で待ち構えているわけだ。
体育の特別コーチというポストを得て。 それはもう、やる気に満ち溢れた態度で。
誰も文句など言えるわけが無い。
というより、あまりに事態がぶっ飛び過ぎている為、妥当な文句を見つけることが出来なかった。
彼が校庭にいるということは、きちんと校長の認可を経ているという事実に他ならず。
非力な学生諸氏は、この事態に、黙って従うしか無かったのだった。
「アッハッハッ! オソイヨ!? メッチャオソイヨ!!!」
「やべえ! トムソン先生めっちゃ速ぇ!!」
ともあれ。 彼(トムソン先生)の人となりは、実に爽やかな、スポーツマン然とした好印象である。 今でも尚、生徒たちから慕われている。
あと、やはり走るのがめっちゃ速い。
ともすると、この人事に、これといって悪い点は見いだせず。
オファーを仕掛けた望月本人も、称賛されて然るべきか?
決してそんなことは無い。
「あっ! 望月さん!! 」
「あっ? なんだ、タマちゃんじゃないかー。 いつもいつも、何をそんなに慌ててるん?」
「慌ててないよっ! 急いでるだけ!」
「なんで?」
「すぐ逃げるから!!」
たとえ校長が認めた事とはいえ、独自の組織体・機動性を有する生徒会が、黙ってはいなかった。
考えてもみれば、当然である。
生徒会とは、まずは我が校のことを──、我が校に通う学生のことを、第一に考えている。
そうして、より良い学校生活を提案・具現化する組織である。
自由な校風を主張する我が校にあって、一本まっすぐに筋の通った集団である。
そんな彼らが、校内における一生徒の傍若無人な振る舞いを、おとなしく見過ごすわけが無かった。




