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神祇 ─じんぎ─  作者: 高石童話本舗
あらかじめ
21/1823

あの頃の21


「うぁ? スゲー…………」


「うん…………」


良くも悪くも、力で悪を屈服させるのがヒーローの役目であるなら、彼女はいったい何なのだろう?


いまだに、よく考えることがある。


彼女と出逢って、私たちが最初に受けた印象は、先述の通りだ。


うす気味わるく、(おそ)ろしい。


()くの如く、ヒーローのそれからは、程遠いものだった。



「………………」


現状を見る。


好晴のもと、ザリガメと(たわむ)れる活発な少女。


その姿は、溌剌(はつらつ)な年頃の私たちから見ても、ひどく(まぶ)しいものだった。


(わざわい)を転じて福となす。


この場合、意味に多少の違いこそあれ、彼女の生き様には、そういった語義が含まれているような気がしてならないのだ。


とかく、かつての世界には、シリアスな事物が溢れていた。


人の生き死に。


犯罪に災害。


金銭の問題。


これらの問題を克服するべく、人は人に、勤勉たれと教えた。


お笑いだ。


シリアスな物事に、いくらシリアスの先槍を繰り出そうとも、これを(こく)することは出来ない。


愚直なシリアスよりも、安直なコミカル。


それを実践する彼女の生き様は、ときに滅茶苦茶なものだったけれど、私たちの生活に、多分な福の()を招き入れてくれるものだった。



彼女の名前は、天野穂葉。


地獄の良家を出自とする生粋(きっすい)の鬼姫であり、私たちの良き親友である。


最後に、現在のザリガメについて、少しだけ触れておきたく思う。


彼は現在、ほのっちのペットという立場に納まっている。


なんでも、散歩をさせるのが大変らしく、とんでもない大食らいのため、困っちゃいますよー……と、楽しそうなボヤキが、耳に真新しい。

後書 ─あとがき─


まずは、ご一読くださいまして、誠にありがとうございます。


本編の体裁ですが、方向性として、肩の凝らない娯楽作を目指しております。


あとは、やはり空気感でしょうか。

その場面・場面に漂う空気であったり、匂いのようなものを、大切に描写していけたらよいなと、そう思っております。


風の色や香りなどを、こまやかに表すことのできる言語は、日本語をおいて他にはないと信じています。


また、“和歌”を副題に据える本作ですから、本編の文章中に、掛詞(かけことば)を散りばめております。

それを読み解いて頂くのも、一興かも知れません。


では、また第二話でお会いできますように。


ありがとうございました。

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