あの頃の21
「うぁ? スゲー…………」
「うん…………」
良くも悪くも、力で悪を屈服させるのがヒーローの役目であるなら、彼女はいったい何なのだろう?
いまだに、よく考えることがある。
彼女と出逢って、私たちが最初に受けた印象は、先述の通りだ。
うす気味わるく、畏ろしい。
斯くの如く、ヒーローのそれからは、程遠いものだった。
「………………」
現状を見る。
好晴のもと、ザリガメと戯れる活発な少女。
その姿は、溌剌な年頃の私たちから見ても、ひどく眩しいものだった。
禍を転じて福となす。
この場合、意味に多少の違いこそあれ、彼女の生き様には、そういった語義が含まれているような気がしてならないのだ。
とかく、かつての世界には、シリアスな事物が溢れていた。
人の生き死に。
犯罪に災害。
金銭の問題。
これらの問題を克服するべく、人は人に、勤勉たれと教えた。
お笑いだ。
シリアスな物事に、いくらシリアスの先槍を繰り出そうとも、これを克することは出来ない。
愚直なシリアスよりも、安直なコミカル。
それを実践する彼女の生き様は、ときに滅茶苦茶なものだったけれど、私たちの生活に、多分な福の香を招き入れてくれるものだった。
彼女の名前は、天野穂葉。
地獄の良家を出自とする生粋の鬼姫であり、私たちの良き親友である。
最後に、現在のザリガメについて、少しだけ触れておきたく思う。
彼は現在、ほのっちのペットという立場に納まっている。
なんでも、散歩をさせるのが大変らしく、とんでもない大食らいのため、困っちゃいますよー……と、楽しそうなボヤキが、耳に真新しい。
後書 ─あとがき─
まずは、ご一読くださいまして、誠にありがとうございます。
本編の体裁ですが、方向性として、肩の凝らない娯楽作を目指しております。
あとは、やはり空気感でしょうか。
その場面・場面に漂う空気であったり、匂いのようなものを、大切に描写していけたらよいなと、そう思っております。
風の色や香りなどを、こまやかに表すことのできる言語は、日本語をおいて他にはないと信じています。
また、“和歌”を副題に据える本作ですから、本編の文章中に、掛詞を散りばめております。
それを読み解いて頂くのも、一興かも知れません。
では、また第二話でお会いできますように。
ありがとうございました。




