あの頃の20
「ほら。 遊んであげますから───」
彼女のセリフを待たず、喜び勇んだザリガメが、私たちの頭上を越えて行った。
「うわぁ…………」
あとはもう、“しっちゃかめっちゃか”を絵に描いたような乱騒ぎである。
「お!? あなた、なかなか可愛いじゃないですか!」
「ショアァァ!!!」
「よく見ると。 ん!? なんて言ってるんです?」
「ショア!」
「は???」
「ショア! ショア!!!」
「だから! 分かんないっ言ってんでしょーよッ!!!」
自身に飛びかかってくる巨体を往なし、“庖丁”の刃をチャキリと峰に返す。
そんな、刀剣の泣き所を使って、特に甲殻が厚く備わっている部位へと、コツンと打撃をくれてやる。
「あなた達も! 混じりません……っ、か!? 楽しい! ですよ!?」
「や!? やめとく! やめときあす!!」
「そっかー………」
見たままに表せば、ちょうどカウガールか。
勇胆にもロデオをこなす女性さながら、ザリガメの背中にしがみつく彼女。
「ほら! これ、ボール! ボールの代わり!!」
「キシャ!! キシャッ!!!」
「ほらほら~? 欲しい? 欲しいです?」
「シャシャ! シャ!!」
「むりゃあぁぁッ!!! よし! 取ってきなさーい!」
「キシャアァァ!!!」
折しも、園内で寂れる夏枯れの古木。 それを“庖丁”でバッサリと伐り取り、遠くへブン投げる。




