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神祇 ─じんぎ─  作者: 高石童話本舗
あらかじめ
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19/1823

あの頃の19


「……あなた、寂しいんですよね? ひとりぼっちで」


このザリガメさんは、きっと遊びたかっただけ。


そりゃそうですよ。


(にぎ)やかな公園が、住処(すみか)の近くにあるんだもの。


遊びの輪に加わりたいって思うのは、当たり前ですよね。


池に近づく子どもを見ると、お友達になりたいなと思う。


池の近くにボールが飛んでくると、ついつい嬉しくなっちゃう。


でも、如何(いかん)せん異形なわけですよ。 力の加減だって知りません。


自分の姿をみた人は、みんなビックリ。


恐れおののいて、逃げて行っちゃいます。


よく解るんですよ……。 この子の気持ち。


“私のほうは、まだ人の形をしているだけマシ”だとか。 そんな風に、自分のことを棚に上げるつもりはありません。


この子と私は、まったく同じ立場なんですよね。



「よっ!」


指先から通じる(くし)びな糸をたぐり寄せ、“庖丁”を上手くキャッチする。


刃渡りはおよそ40cmと、小刀としての目新しさは特にないが、切先が大きく延べており、凄みがある。


それをくるりと下に向けて、足元に転がるコンクリの残骸に打ち当てる。


「ふんッ!!!」


そうして、酸鼻の絵巻物があしらわれた柄頭(つかがしら)に、ガツンと一撃。


刀身の緩みを、乱暴に正してやる。


この荒療治を経て、鬼の庖丁は、当面の生命線を取り戻した。


しばらくは、使用に耐えうる(はず)だ。

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