第四十二章: 創造者の最初の友達。
帰路は、平和的だった。
薬草は、カエデの背負子にしっかりと収められていた。森は、私たちが必要なものを与え、私たちは、必要なものだけを採取した。日差しが、木々の覆いを通して、優しい斑点となって差し込み、前方の道を温めていた。
私は、まだ、動物たちが人形の周りに集まったことを考えていた。彼らが、ただ……現れた、その仕草。私には見えない何かに引き寄せられて。意図的であるように感じられる、その無畏さ。
ちらりと見た。人形は、静かに私の隣を歩いていた。そのボタンの目は、前方に固定されていた。鎧も、獅子の兜もない。ただ、魔道書に描いた、あの小さく、見慣れた姿。
カエデが、気づいた。**「さっきのことを、まだ考えているのね」**
うなずいた。**「動物たちが、人形を好きでいてくれるのが、ただ嬉しいんだ。彼らが、その周りに安らぎを見つけているってことだから」**
カエデは、微笑んだ。**「もしかしたら、あなたの人形は、ただ動物が好きなだけかもしれない」**
私は、再び人形を見た。それは、満足感を持っていた。自分が創り出したものが、単に機能するだけでなく、**正しい**という感覚。それが、予期していなかった方法で、世界に属しているということ。
その考えは、私の中に留まった。
---
道をさらに進むと、私たちは、三人の見覚えのある姿に、出会った。
森での、あの同じ三人の冒険者たち。彼らは、すぐに私たちに気づいた。剣士が、手を振り、その顔が、笑みに割れた。槍使いの肩が、弛んだ。最年少の魔術師の目が、輝いた。
彼らは、急いで私たちの方へ来た。
**「ねえ!」** 剣士が、叫んだ。その声は、明るく。**「また会えると思ってた!」**
彼らは、今度は、きちんと挨拶をした。自己紹介が行われた。戦いの後に学んだ名前を、今度は、道の穏やかさの中で、正しく聞いた。
魔術師は、アルブルナ。剣士は、アデルグント。槍使いは、アヴェルヒルダ。
アルブルナは、人形に近づいた。
彼女は、その前にしゃがみ込み、目の高さに合わせた。**「こんにちは」**
人形は、まっすぐ前を凝視していた。そのボタンの目は、光を捉えていたが、認識を示さなかった。
アルブルナは、再び試した。**「あなたは、私の命を救った」**
何もない。
彼女は、その顔の前で手を振った。テストして。何もない。
彼女は、笑った。その音は、明るく、無防備に。**「いつも、そんなに真面目なの?」**
人形は、まっすぐ前を凝視し続けた。その縫い目の口は、歪んだ笑みを保っていた。それは、動かなかった。
私は、微笑んだ。**「喋らないんだ」**
アルブルナの顔が、曇った。**「友達になれると思ったのに」**
人形は、頭をわずかに向けた。ほんの少し。かろうじて気づく程度。
アルブルナは、凍りついた。**「……今、私を見た?」**
私は、彼女の視線を追った。人形は、確かに動いていた。そのボタンの目は、今は、アルブルナの顔の方へ向けられていた。
**「おそらく」** 私は言った。
カエデは、沈黙のうちに、そのやり取りを見ていた。その表情は、読めなかった。
アルブルナは、立ち上がり、膝をはたいた。**「二人とも、町に戻るの?」**
カエデは、うなずいた。**「収集依頼を終えたところだ」**
**「私たちもだ」** アデルグントが言った。**「私たちは、まだまだ修行中で、主に銅級の依頼をこなしている」**
三人の冒険者たちは、彼らも町に戻るところだと説明した。
私たちは、一緒に町へ向かって歩いた。日差しは、温かかった。道は、楽だった。そして、久しぶりに、その仲間は、心地よかった。人形は、私の隣を歩き、そのボタンの目は、前方に固定されていた。
私は、それを見て、微笑んだ。
アルブルナが、突然、明るくなった。
**「一緒に夕食をとらない?」** 彼女は、仲間たちを見た。**「ちゃんとお礼をしなきゃ」**
アデルグントは、うなずいた。**「喜んで」**
アヴェルヒルダは、微笑んだ。**「それが、せめてもの私たちのできること」**
私は、ためらった。一緒に食事。
カエデが、私を見た。**「断る理由はない」**
私は、同意した。
日差しが、肩に温かく、人形が、静かに私の隣を歩く。アルブルナは、何度もそれを見て、まるでその注意を引こうとしているかのようだった。人形は、応答しなかった。
しかし、それは、逃げもしなかった。
---
ギルドホールは、賑わっていたが、私たちは、カウンターの空いている場所を見つけた。カエデが、薬草をその上に置き、受付係は、訓練された効率で、それらを調べた。
**「品質は、良いですね」** 彼女は言った。**「依頼完了です」**
彼女は、小さな硬貨の袋を、カウンターの上に置いた。
私は、それを手に取った。その重みは、今や見慣れたものだった。多くはない。しかし、それは、私たちのものだった。
カウンターから、向きを変えた。三人の冒険者たちは、ドアの近くで待っていた。その表情は、好奇心で輝いていた。
---
私たちは、一緒に町を歩いた。午後遅くの光が、建物の輪郭を柔らかくしていた。アルブルナは、私の隣を歩いた。その歩みは、軽く、その目は、頻繁に人形へと漂っていた。
**「あなたの魔法」** 彼女は言った。**「あんなのは、見たことがない。魔法を作るのに、あの道具を使うの?」**
他の二人も、身を乗り出した。その好奇心は、彼女と同じだった。
私は、その問いを考えた。**「道具です」** 私は言った。**「焦点です。円と印を描くと、それらが、必要なものになる」**
アデルグントは、首をかしげた。**「じゃあ、あなたは、魔術師なの?」**
私は、微笑んだ。**「まだ、学んでいるところです」**
アヴェルヒルダは、人形を指さした。**「それは、使い魔ですか?」**
私は、それを見下ろした。人形は、私の隣を歩き、そのボタンの目は、前方に固定されていた。**「わかりません。それは……別の何かです。私が、作りました」**
**「作りました?」** アルブルナの目が見開かれた。**「つまり、ゼロから?」**
**「絵からです」** 私は言った。**「魔道書が、私が描いたものを、具現化するんです」**
私たちが歩く間、質問は、続いた。どうやって鎧を作ったのか? なぜ、人形には、獅子の頭があるのか? なぜ、喋らないのか? どこで魔法を学んだのか?
私は、できる限り答えた。あることは、曖昧にした。あることは、語らずに置いた。妖精王。尖塔。長い訓練の日々。森で起こったこと。私に、そして、他の人々に。
しかし、私は、十分に答えた。三人の冒険者たちは、聞いた。その顔は、開かれ、その質問は、本物だった。
私たちは、三人が滞在している宿に着いた。アルブルナは、私に向き直った。
**「夕食は?」**
私は、カエデを見た。彼女は、うなずいた。
**「いいよ」** 私は言った。
---
宿は、温かかった。よく手入れされた暖炉と、休息に来た人々の存在から来る、あの種類の温かさ。私たちは、メインルームの喧騒から離れた、奥の方の大きなテーブルを見つけ、席に着いた。
三人の冒険者たちは、私たちの向かいに座った。カエデは、私の隣に。人形は、私の隣のベンチに座らされ、そのボタンの目は、前方に固定されていた。
アルブルナは、メニューをテーブルの向こうに滑らせた。**「今夜は、私たちのおごりだ」**
私は、すぐに断ろうとした。**「そんな、あなたたちは……」**
彼女は、遮った。その笑顔は、明るく、揺るぎなく。**「あなたは、私たちの命を救った。お願い」** 彼女は、メニューを指さした。**「好きなものを、注文して」**
カエデが、私を見た。私は、メニューを見下ろした。
目が、わずかに見開かれた。
慣れているよりも、はるかに多くの食べ物があった。焼き肉。濃厚なブロスのシチュー。焼きたてのパン。聞いたことのない野菜。注意深く作られたように見えるデザート。
私は、食べ物が簡素で、計量されていた村で育った。妖精界では、与えられたものを食べた。このような選択肢を、与えられたことは、一度もなかった。
アルブルナが、前に身を乗り出した。**「何が、良さそう?」**
私は、メニューを凝視した。**「わからない」** 私は、認めた。**「選ばなければならなかったことは、一度もない」**
カエデが言った。**「好きなものを注文すればいい。次に、また別のものを試せる」**
私は、彼女を見た。**「次に?」**
彼女は、微笑んだ。**「次は、ある」**
私は、再びメニューを見た。言葉が、ぼやけた。あまりに多くの可能性。私は、シンプルなものを選んだ。シチュー、パン、そして一杯の茶。
アルブルナは、満足そうにうなずいた。**「良い選択だ」**
他の者たちも、注文した。
私は、これもまた、自分があるべき姿になることの一部だと思った。
---
三人の少女たちは、どうやって冒険者になったか話した。アルブルナの家族は、彼女に魔法の研究を勧めた。アデルグントは、刀の周りで育った。アヴェルヒルダは、常に槍が得意で、世界を見たかった。彼らは、最初の依頼、彼らの野望、そして、なぜ一緒に旅をするのかを話した。
アルブルナが、前に身を乗り出した。**「あなたは、どうなの?」**
私は、間を置いた。
妖精界のことを思った。妖精王のこと。まだ、別の人生のように感じられる村で、私を待っている家族のこと。前世のこと。第二の心臓のように運んでいる、あの記憶のこと。まだ埋められるのを待っている、白紙のページでいっぱいの魔道書のこと。
私は、それらのどれも、彼女たちに話すことはできなかった。
**「世界を見たい」** 私は言った。
それは、完全な真実ではなかった。しかし、嘘でもなかった。
アルブルナは、再び人形を見た。彼女の好奇心は、夕方を通して高まっていた。そして、ついに彼女は尋ねた。
**「一つ、聞いてもいい?」**
私は、彼女を見た。
**「なぜ、人形を作ったの?」**
私は、人形を見た。そのボタンの目は、灯りの光を捉えていた。その縫い目の口は、歪んだ笑みを保っていた。
かすかな微笑みが、私の顔にも浮かんだ。
**「なぜなら……」** 私は、間を置いた。**「……一人になりたくなかったから」**
アルブルナの表情が、変わった。彼女は、今は、人形を違う目で見た。好奇心としてではなく、謎としてではなく。彼女が理解する理由で作られた何かとして。
彼女は、手を伸ばし、そっと人形の腕に触れた。
**「ならば、ちゃんとお礼を言わないとね」**
人形は、沈黙したままだった。
しかし、それは、逃げなかった。
---
食べ物が、やってきた。
焼き肉、焼きたてのパン、バターで輝く野菜、湯気の立つシチューの器が、山盛りに積まれた皿。宿の温かさが、私たちを包み、暖炉が、静かにパチパチと音を立てていた。
雰囲気は、活気づいた。アルブルナは、最初にパンに手を伸ばし、一片をちぎって、アデルグントに渡した。アヴェルヒルダは、シチューを器に注いだ。その動きは、たやすく、慣れていた。カエデは、静かなうなずきで、自分の分を受け取った。
私は、彼らを見た。彼らは、多くの食事を共にしてきた者のたやすさで、互いの周りを動いていた。次にどの依頼を受けるか、議論していた。先週の失敗した任務について、笑っていた。
妖精界を出て以来、初めて、私は、新しい種類の家族に入ったように感じられた。
アルブルナは、人形の方を見た。それは、私の隣に座り、そのボタンの目は、前方に固定され、その縫い目の口は、歪んだ笑みを保っていた。私たちが座ってから、それは、一度も動いていなかった。
**「明日、私たちは、またギルドに行く」** アルブルナは、私に微笑んだ。**「もしかしたら、そこで会えるね」**
私も、微笑み返した。**「かもね」**
人形は、静かに、私の隣に座っていた。今回は、誰も、戦うようにとは言わなかった。誰も、誰かを守る必要はなかった。それは、ただ、人々の間に座り、テーブルを共有し、何か普通のことの一部になっていた。
会話は、続いた。食べ物は、食べられた。夜は、更けていった。
いつ、彼らに再会するのか、わからなかった。しかし、再会するだろうと思った。そして、それもまた、自分があるべき姿になることの一部だった。
彼らは皆、一緒に冒険に出るのか...
次回、同じ時間に、同じ場所で。




