第四十章: 見ることと理解することの違い。
ゴブリンたちが、押し寄せた。
組織的な攻撃ではなかった。本能に駆られた、緑の体の波のように。粗末な槍を携え、その先端を尖らせた者もいた。石を投げつける者もいた。その狙いは、荒く、しかし、決意に満ちていた。彼らは、Pākranazの木々の周りに集まり、私たちと果実の間に、壁を形成した。
カエデの刀は、既に抜かれ、その体は、防御の構えに移っていた。**「私の後ろに」**
人形が、前に進み出た。その獅子の兜が、ゆっくりと向きを変え、黄金の目は、押し寄せる波をスキャンしていた。それは、攻撃しなかった。ただ、私とゴブリンたちの間に、それ自身を位置づけた。鎧と存在の、沈黙の壁。
最初のゴブリンが、私たちに到達した。カエデは、滑らかな動きで、その槍をそらした。刃の腹を使って、切り倒すのではなく、脇に押しのけた。別の者が、後に続いた。そして、また別の者。
人形は、その甲冑の前腕で、投げられた石を防いだ。衝撃が、開けた場所に響いた。
私は、Gペンを召喚した。攻撃するためではない。**障壁**を創り出すため。素早い円。インクの線が、私たちと突進するゴブリンたちの間に立ち上り、私たちに空間を買った。
一匹の若いゴブリンが、よろめいた。石が、その脚に当たり、それは、激しく倒れ、痛みで叫んだ。他のゴブリンたちは、ためらった。
その時、深い声が、木立に響いた。
**「十分だ」**
全員が、凍りついた。
年老いたホブゴブリンが、ゆっくりと開けた場所へと歩いてきた。その毛皮は、灰色に変わり、彼は、彫刻された木の杖に、もたれかかっていた。他のゴブリンたちとは違い、彼は、簡素な人間の作った服を着ていた。革のエプロン。古い作業用手袋。明らかに何年も使われてきた、擦り切れた鞄。
彼は、私たちとゴブリンたちの間に、止まった。その目は、場面の上を動いた。倒れたゴブリン。散らばった石。Pākranazの木々。
私は、Gペンを下ろした。カエデは、刀を下ろさなかった。
ホブゴブリンは、ため息をついた。**「毎年だ。同じことの繰り返し」**
私は、凝視した。彼は、共通語を話した。その声は、疲れていたが、鋭かった。人間の間で、彼らの言語と習慣を学ぶのに十分なほど、長く生きてきた者の声。
彼は、私を見た。**「あなたは、ここに来る他の者たちとは、違う」**
どう答えればいいのか、わからなかった。
人形の黄金の目が、ホブゴブリンの視線と合った。どちらも、動かなかった。
年老いたホブゴブリンの言葉が、空気の中に漂った。
**「これ以上、戦いは、ない」**
カエデは、明らかに驚いていた。その刀は、まだ抜かれていたが、その姿勢は、準備から、不確かさへと変わっていた。**「……喋るホブゴブリン?」**
年老いたゴブリンは、微笑んだ。鋭い笑みではない。脅すような歯の見せ方でもない。疲れた、知っている者の微笑み。
**「全員が、森に留まるわけではない」**
彼は、彫刻された杖で、手を振った。
**「二種類のホブゴブリンがいる。森のホブゴブリン。彼らは、部族と共に留まる。木立を守る。村を導く」** 彼は、間を置いた。**「そして、町のホブゴブリンがいる。私たちは、人間の間で暮らす。建築工として、運搬人として、採石場で、埠頭で、材木業者として、働く」**
彼は、自分の手を見下ろした。硬く厚く、擦り切れた。何十年も労働してきた者の手。
**「年老いた時……ある者は、故郷に戻ることを選ぶ」**
彼は、Pākranazの木々の方を見た。その声は、低くなった。怒り、とは言えない何かで、重く。
**「毎年……より多くの冒険者が来る。彼らは、全てを収穫する」** 彼は、優しく、落ちたPākranazを拾い上げ、まるで壊れやすいものであるかのように、抱えた。**「冬が来ると……私の子供たちは、飢える」**
沈黙。
カエデは、刀を下ろした。ゴブリンたちは、動くのを止めていた。森は、静かになった。
年長者は、私を見た。その目は、古く、疲れていた。あまりに多くの収穫期が飢えで終わるのを見てきた者の目。
私は、彼の手の中のPākranazを見た。彼の背後に立つ若いゴブリンたちを見た。その籠は、まだ半分空っぽだ。私たちの間に静かに立つ、人形を見た。
何と言えばいいのか、わからなかった。何が正しいことなのか、わからなかった。
しかし、今日は果実を一つも取らないことは、わかっていた。
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年長者は、私たちを招いた。
囚人としてではなく。客として。
カエデは、ためらった。その手は、まだ刀の柄に置かれたまま。彼女は、私を見た。問いかけて。私は、うなずいた。
私たちは、後に続いた。
道は、森の奥深くへと曲がりくねっていた。Pākranazの木々の木立を通り過ぎ、私が以前に見たことのない森の一部へと。下草は、疎らになった。木々の覆いは、開けた。そして、**ゴブリンの村**が、私たちの前に現れた。
それは、私を驚かせた。
子供たちが、中央の焚き火の近くで遊んでいた。棒で追いかけ合っている。家族たちが、小さなかまどで、料理をしていた。焼き根菜の香りが、空気に満ちている。生きた木々から建てられた簡素な家々が、私たちの周りに立ち上がっていた。建てられたというより、成長した構造物。その壁は、まだ葉をつけた枝で、編まれている。
年老いたゴブリンたちは、日陰に座り、樹皮の帯から籠を編んでいた。その指は、世代の訓練されたたやすさで、動いていた。かつて遊んでいたゲームの「モンスターのキャンプ」を、思い出させるものは、何もなかった。
それは、別の村のように感じられた。
ただ、より貧しい。
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私たちは、年長者の小屋へと導かれ、中に招かれた。それは、質素だった。編まれた壁。中央の焚き火台。乾燥した薬草と彫刻された道具が並べられた棚。年長者は、擦り切れた座布団に座り、私たちも、それに倣った。
人形は、入り口のすぐ内側に立っていた。その黄金の目は、静かな警戒心で、空間をスキャンしていた。
若いゴブリンたちは、敬意を払った距離に集まり、恐怖よりも好奇心で、私たちを見ていた。
年長者は、しばらく私たちを観察した。それから、彼は話した。
**「あなたたちは、何年ぶりかに、この小屋に座った冒険者だ」**
カエデが、私を見た。彼女の不確かさを感じることができた。次に来るものに応じる準備。
**「わかっています」** 私は言った。**「長い時間がかかって、すみません」**
年長者の目が、細められた。笑みではないが、それに近いもの。**「あなたは、他人の行動に責任はない」**
**「そうかもしれません。でも、変えようとすることは、できます」** 私は付け加えた。
**「昔は、人間は、私たちが十分な食料を蓄えた後にだけ、収穫していた。皆、生き延びた」** 彼は、森に向かって手をかざした。**「そして、より多くの冒険者がやって来た。ギルドの依頼が増えた。競争が、激しくなった」**
彼は、間を置いた。**「誰も尋ねなかった。彼らは、ただ、奪った」**
カエデの表情が、変わった。彼女は、聞いていた。しかし、その目の奥で、認識が形作られているのが、見えた。
**「ギルドは、おそらく、知らなかった」** 彼女は、静かに言った。
年長者は、うなずいた。**「彼らは、依頼だけを見る。村は、見ない」**
話す前に、注意深く考えた。
**「何も、約束はできません」**
年長者は、うなずいた。**「わかっている。あなたは、ただの一人の冒険者だ」**
**「しかし」** 私は、続けた。**「ギルドマスターに話すことは、約束できます」** 私は、カエデを見た。彼女は、うなずいた。私が何を求めているのか、理解して。
彼は、前に身を乗り出した。その杖は、膝の上に横たえられて。**「あなたは、ギルドマスターに話すと言った。彼らが、耳を傾けると、思うのか?」**
私は、ギルドのことを思った。依頼板。信頼と忍耐の物語を語るバッジ。私に最初の報酬をくれた受付係。銅級の階級を得たという、単純な事実。
**「わかりません」** 私は、正直に言った。**「でも、試すことはできます」**
年長者は、ゆっくりとうなずいた。**「それは、ほとんどの者が差し出したものよりも、多い」**
彼は、鞄に手を入れ、小さな物を取り出した。木で彫られた**通行証**。何年もの使用で、滑らかに磨り減っている。彼は、それを私に差し出した。
**「これを受け取ってくれ」**
私は、それを受け取った。木は、温かく、滑らかで、私の知らない象徴が、刻まれていた。
**「これは、何ですか?」**
**「通行の証だ」** 彼は言った。**「もし、いつか私たちの村に戻る必要があれば、あなたは歓迎される。若いゴブリンたちは、それを認識し、攻撃しないだろう」**
指を、その周りに閉じた。**「ありがとうございます」**
年長者の視線は、人形へと動いた。それは、入り口から動いていなかったが、その黄金の目は、彼に固定されていた。
**「あなたの伴侶」** 彼は言った。**「それは、ゴーレムではない。コンストラクトでもない。私は、両方を見てきた。これは、別の何かだ」**
私は、人形を見た。その獅子の兜は、焚き火の光で輝いていた。その黄金の目は、静かに燃えていた。
**「それが何なのか、まだ、学んでいるところです」** 私は言った。
年長者は、うなずいた。**「最良の伴侶は、決して完全には理解できないものだ」**
私は、戸口の方を見た。
ヴィルヘルムと変わらない年齢の小さなゴブリンが、中を覗いていた。自分よりも大きい、半分満たされた籠を抱えて。
彼は、年長者を見て、微笑んだ。
それから、また、消えた。
彼は、立ち、会話が終わったことを示した。カエデは、私の隣で立ち上がった。私は、通行証を帯にしまった。
私たちは、村の端まで歩いた。若いゴブリンたちは、私たちが通り過ぎるのを見ていた。その目は、好奇心に満ちていたが、もはや敵意はなかった。子供たちは、手を振った。いつ、彼らに再会するのか、わからなかった。しかし、再会したいと思った。
**「おそらく、収穫期は、規制できるでしょう。おそらく、収穫量の制限を導入できるでしょう。おそらく……」** 私は、間を置いた。**「おそらく、別の方法がある」**
年長者は、微笑んだ。初めて、その疲れた目に、希望と呼べるかもしれない何かが、宿った。
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私たちは、村の端に立っていた。去る準備ができて。若いゴブリンたちは、自分の仕事に戻っていた。子供たちは、遊びに戻っていた。村は、静かで、平和的で、普通だった。
私は、止まった。向きを変えた。
**「一つ、尋ねてもいいですか?」**
年長者は、頭をかしげた。
**「なぜ、私たちに話しかけようとしたのですか? 大抵の冒険者は、戦っていたでしょう」**
彼は、長い間、黙っていた。その視線は、私を通り過ぎ、森の方へと動いた。まるで、私には見えない何かを見ているかのように。
**「なぜなら、私は、以前にも何度も試みてきたからだ」** 彼は言った。**「毎年。毎年、彼らは、私が話し終える前に、武器を抜いた」** 彼は、微笑んだ。悲しく、疲れて。**「結局、誰も耳を傾けないと、信じるのをやめた」**
目を伏せた。それから、尋ねた。**「では、なぜ、私たちだったのですか?」**
年長者は、私を研究した。私の顔ではなく、**私の目**を。
**「なぜなら、あなたを見た時」** 彼は、優しく言った。**「私は、怪物を見ている者を見なかった。**理解しようとしている者**を見た」**
沈黙。
カエデでさえ、何も言わなかった。
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私たちは、町へと歩いて戻った。森は、私たちの周りで静かだった。葉が、そよ風の中で、柔らかくざわめいている。人形は、私の隣を歩いた。その黄金の目は、木々をスキャンしていた。
カエデが、ついに話した。**「あなたは……大抵の冒険者は、あの戦いを終わらせていただろう」**
私は、後ろの森を見た。Pākranazの木立は、もう見えなかった。しかし、その存在を、まだ感じることができた。年長者の言葉の重みを。
**「かもしれない」** 私は言った。
残響視のことを思った。侵入者のこと。精霊たちのこと。妖精王の教えのこと。誰もが、何かを負っている。誰もが、物語を持っている。
風が、私たちの背後で、Pākranazの木立の葉をざわめかせた。森は、平和に感じられた。
ギルドマスターは、交渉を受け入れるのか...
次回、同じ時間に、同じ場所で。




