エルスベス:帰郷. 第二部.
私の足が焦げた土に触れるとすぐに、戦場は沈黙した。
彼らの視線を感じる。数十の目が。盗賊たち。武装し、血に染まり、空から降りてきた少女を凝視している。一拍の間、誰も動かない。
その時……
彼らが、突撃する。
空気が変わった。
**インク壺**だ。
どこからともなく。盗賊と私の間の空中に、まさにそこに。黒い磁器。狭い縁。浮いている。
そして、以前と同じように、壺は**解放した**。
滑らかで暗いインクの流れが、星明かりの青を帯びて、縁から注ぎ出された。一滴ではない。慎重な流れでもない。大地が開くのを待っていた泉からの水のように、着実に、自信を持って注がれた。
インクは、私の方へと曲がった。それがどこにいるか、知っていた。私の姿勢、形、肩の構えを知っていた。
それは、私の周りに集まった。
待機状態の鎧が、再び現れた。漂い、無重力で、星の粒子が深い青の中に浮かんでいる。以前と同じ。同じ存在感。同じ流れ。同じ静かな意識。
最初の盗賊が、私に到達する。その刀が、私の肩に向かって弧を描く。
インクが、**硬化する**。
衝撃点に、正確に。それは、層状の鋼になる。暗く、光り輝く。**袖**のように。刃が、それにぶつかり、滑り落ちる。盗賊の目が見開かれる。
私は、彼に立て直す時間を与えない。
インクは、私が動くにつれて、液体の形に戻る。次の打撃に備えて。常に見張っている。常に守っている。
彼らの顔が見える。
村人たちは、呆然とし、恐怖し、驚嘆している。その目は見開かれている。口を開けている。ある者は、手に持っていたものや、子供の手を、離してしまっている。
私は、生涯知ってきた、これらの人々を凝視する。決して遊ぶことのなかった子供たちを。
私は、**変わった**。
そして、彼らは、それを認識している。
しかし、私は、それでも戦う。
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私は、紙の上のインクのように、混沌の中を動く。流動的で、意図的で、至る所に自分の痕跡を残す。
盗賊が、左から私に向かって突進する。私の手が、空中に描く。氷の刃が、どこからともなく現れ、彼の刃に間に合うように、ちょうど固まる。氷対鋼。私は、押す。彼は、よろめいて後退する。
別の者が、右から来る。別の魔法陣を描く。氷の盾、それは、暗い花のようにインクから現れ、彼の斧が私の肋骨に達する前に、それをそらす。インクは、打撃を吸収する。硬化する。守る。
その時……
**さらに、魔法陣が。**
私は、それらを計画しない。考えない。それらは、ただ**起こる**。本能によって描かれ、意識的な思考よりも深い何かによって、駆り立てられて。
一つの陣が、突撃する盗賊たちの集団の下で、燃え上がる。氷が、地面から噴出し、彼らの足をその場に凍らせる。彼らは、叫ぶ。脚を登る霜と格闘しながら。
別の陣が、火で燃え上がる。私は、手を前方に突き出す。炎の壁が、盗賊たちと逃げる村人たちの間で、立ち上がる。彼らは、後ずさる。ためらう。そのためらいが、彼らに代償をもたらす。
風が、私の呼びかけに応える。標的に当たるはずだった矢は、吹き飛ばされ、土へと向きを変えられる。それらが、無害に地面に突き刺さる音が聞こえる。
土が、逃げる者たちを捕らえる。彼らの下の地面が、変化し、柔らかくなり、彼らの脚を膝まで飲み込む。彼らは、もがく。逃げられない。
私は、止まらない。
止まれない。
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私の人形が、私の隣で戦う。命令なしに動く、沈黙の伴侶。それは、私の背中に向けられた攻撃を防ぐ。それは、盗賊の脚の間をすり抜け、彼が刃を掲げたまさにその時、彼を転ばせる。それは、負傷した村人を、落下する梁の道から引きずり出す。
言葉もなく、私たちは、一つの心を共有しているかのように、動く。
いつそれが始まったのか、わからない。どうやって機能するのか、わからない。しかし、人形と私は、**繋がっている**。同じインクの糸。同じ全体の一片。
それは、守る。私は、攻撃する。
一緒に、私たちは、残りの盗賊たちを圧倒する。
彼らは、倒れる。散る。崩れる。
生き残った者たちは、森へと逃げる。負傷者、武器、誇りを捨てて。私は、彼らが去るのを見る。私の手は、上げられ、陣は半分形成され、打撃を与える準備ができている。
私は、それを下ろす。
**十分だ。**
村は、救われた。
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インク壺が、再び現れ、インクは、私の体からそれへと流れ戻った。そして、それは、消えた。
私は、村の広場に立つ。戦いの余波に囲まれて。
煙が、燃える家々から立ち上る。負傷者が、助けを求めて叫ぶ。死者は、倒れた場所に横たわる。
しかし、生きている者たちは、まだここにいる。
そして、私は、まだ立っている。
私は、自分の手を見る。母の血が、まだ胸に押し当てた手紙を染めている。父の鍛冶場は、まだ遠くで燃えている。ロリクの川の石は、肌に温かい。
私は、**帰ってきた**。
そして、私は、遅すぎなかった。
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初めて、多くの村人が、恐怖ではなく、**感謝**の気持ちで私を見る。
広場を歩く時、その目に、それを見る。かつて私を避けるために道を渡ったパン屋の妻は、今や両手を合わせ、頭を下げる。私を呪われたと言った老人は、今や、孫娘を救ってくれたことに泣きながら感謝する。「変わった少女」から遠くにいるよう教えられた子供たちは、今や、私の方へ走ってくる。その小さな手は、まるで私が聖なるものであるかのように、私の衣に触れようと伸ばす。
ある者は、謝罪する。その声は、恥辱で荒い。
*「私たちは、理解していなかった」*
*「あなたのことを、間違っていた」*
*「許してください」*
何と言えばいいのか、わからない。だから、ただうなずく。
ある者は、お辞儀をする。深く。形式的に。まるで私が高貴な女性か、訪問中の高官であるかのように。それは、間違っているように感じられる。私は、ただのエルスベスだ。絵を描いた少女。彼らが囁いた少女。
他の者は、ただ微笑む。温かく。開かれて。まるで、何年もの距離が、決してなかったかのように。
しかし、**全ての人が変わるわけではない**。
気づく。群衆の端に留まる者たち。目を合わせない者たち。手の後ろで囁く者たち。
少数は、まだ囁く。私は危険だと。
妖精王に祝福された子供は、災いしかもたらさないと。
私の力は、盗賊よりも悪いものを引き寄せると。
私は、離れているべきだったと。
彼らの言葉が聞こえる。風が、それらを迷い葉のように、私に運ぶ。
私は、気づく……
しかし、何も言わない。
意味がない。ある傷は、他のものより治るのに時間がかかる。ある恐怖は、理性よりも深い。
私は、彼らに囁かせておく。
他に集中すべきことがある。
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家で、母は、ためらわない。
私がドアをくぐる瞬間、彼女はそこにいる。その腕は、私の息を奪うほどの激しさで、私を包み込む。彼女は、まるで私が消えてしまうかもしれないかのように、私を抱く。まるで私が、まだ尖塔へと去った小さな少女であるかのように。小さく、不確かで。
彼女の涙が、私の頬に触れるのを感じる。自分自身の涙が、それに応えて湧き上がるのを感じる。
彼女は、話さない。必要ない。
父が、彼女の後ろに立つ。その手は、硬く厚く、震えている。彼は、多くを見すぎた目で、私を見る。火を。血を。混沌を。そして、鍛冶場の煙のように荒い声で、彼は話す。
**「おかえり」**
二つの言葉。不器用に。正直に。彼が私に言ったことのない、それ以上に。
私は、うなずく。声が出ない。
ヴィルヘルムが、飛び込んでくる。まだ煤で覆われている。すぐに、私が逃した全てのことを興奮して話し始める。厩舎の新しい子馬。煙突に巣を作った奇妙な鳥。父が、五年も漏れていた屋根を、ついに修理した方法。
彼は、話し、話す。沈黙を埋め、私たちの間の空間を埋める。
その夕方、私たちは、静かな食事を共にする。
食卓は、私の覚えているよりも小さい。パンは、より簡素だ。しかし、それで十分だ。
大げさな演説もない。
涙の宣言もない。
ただ、ようやく一緒にいられる、という温かさ。
子供の頃以来、初めて……
私は、本当に**家**にいるように感じる。
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翌朝、私は父とヴィルヘルムに付き添って、鍛冶場へ行く。
ドアをくぐると、見慣れた熱気が私を包む。金属と石炭の匂い。鋼に対するハンマーのリズム。それは、変わっていない。決して変わらないだろう。
私は、かつて小さな少女として、静かに見つめていた、あの同じ隅に座る。
ただ、今度は……
父は、私を無視しない。
彼は、ハンマーの一打一打の合間に、ちらりと私を見る。小さなうなずき。誇りのようなものの、一瞬の揺らめき。
彼は、私の意見さえ求める。
**「エルスベス、この刃は、釣り合っていると思うか?」**
瞬きする。彼を凝視する。彼は、真剣だ。
前に進む。刃を見る。重さ、長さ、手に持った時の感触を考える。
**「先端が、少し重いかもしれません」** 私は、静かに言う。**「ほんの少し、削ってみては?」**
彼は、私の言葉を考慮する。うなる。そして、それに応じて作業を調整する。
**雰囲気は、完全に変わっている。**
私は、もはや隅の見えない少女ではない。私は、もはや期待外れではない。私は、もはや重荷ではない。
私は、**彼の娘**だ。そして、彼は、**聞いている**。
---
彼らが働くのを見ていると……
私の**残響視**が、目覚める。
それは、私に映像を見せない。目の前に絵を描かない。それは、全く視覚ではない。それは、**感覚**。純粋で、濾過されていない感覚が、ダムを破る水のように、私を押し寄せる。
**鍛冶場が、変わる。**
千のハンマーの打撃の重みを感じる。振動が、骨を通り抜ける。それぞれが、明確で、重い。私のものではない腕の疲労を感じる。倒れる限界を超えて働いてきた肩の痛み。全ての繊維が休息を叫んでも、決して止まらなかった筋肉の燃えている感覚。
そして、その疲労の下に……
**父を感じる。**
村の他の者たちが眠りについた後も、金床の上でうつむいていた、その仕草。働き続け、提供し続け、打ちのめそうとする運命と戦い続けた、その仕草。決して文句を言わなかった、その仕草。ただ……耐えた、その仕草。
彼の**愛**を感じる。あまりに深く埋もれていて、彼自身もおそらく決して認識しなかっただろう。しかし、それは、そこにある。全ての打撃の中に。全ての汗の滴の中に。水膨れだらけの手と、空っぽのポケットで帰ってきて、私が負担になったことを、決して責めなかった、あの全ての夜に。
鍛冶場が、きらめき、私は、**母**を感じる。
もはや縫い目が持たなくなるまで、衣服を繕った、彼女の手。眠れずに天井を見つめ、理解できない娘を心配して過ごした、夜々。その力が彼女を怖がらせた娘。その奇妙さが彼女を際立たせた娘。その存在そのものが囁きと視線を招いた娘。
しかし、彼女は、決して止まらなかった。決して諦めなかった。恐怖を通して、困惑を通して、私が見ることができなかった全ての年を通して、彼女は私を愛した。
彼女の愛を、胸に広がる温かさのように感じる。静かに。着実に。壊れない。
そして……
**ヴィルヘルム。**
誰よりも懸命に訓練した、その仕草。誰も見ていないと思った時、私を守った、その仕草。私を呪われたと呼ぶいじめっ子たちと戦った、その仕草。私と世界の間に立ち、決して感謝を求めなかった、その仕草。
彼の**決意**を感じる。私が何かを一人で直面させるまいとする、彼の激しく、頑固な拒絶。
感情が、四方八方から私に押し寄せる。全てのハンマーの打撃が、感情を残す。全ての汗の滴が、物語を運ぶ。空気そのものが、彼らの犠牲の重みで、濃い。
私は、その全てを感じる。
そして、初めて……
私は、本当に**理解する**。
私の存在が取った代償。私の家族が払った代償。たとえそれを示す方法を知らなくても、決して揺るがなかった愛。
それが、私の胸に落ち着くのを感じる。重く、温かく。自分が運んでいることさえ知らなかった重荷が、突然、可視化される。
私は、静かに微笑む。
鍛冶場が戻る。父は、まだ働いている。ヴィルヘルムは、まだ話している。
しかし、今、私は、彼らを違う目で見る。
私は、彼らの**全て**を見る。
そして、私は、**感謝**している。
---
後で、母が、私にパンと野菜を買うように頼む。
私は、活気ある市場を嬉々として歩く。日差しは、顔に温かい。新鮮な香草と焼き菓子の香りが、空気に満ちる。人々が、私が通り過ぎる時に、声をかける。挨拶、笑顔、親しみのあるうなずき。一人の子供が、父親の肩の上から、私に手を振る。私も、手を振り返す。
それは、ほとんど普通に感じられる。
まるで、私は、ただ用事を済ませる少女であるかのように。まるで、戦いが決してなかったかのように。まるで、私が決して去らなかったかのように。
その時……
私の**残響振動**が、作動する。
奇妙な脈動が、私の体を通り抜ける。それは、胸から始まり、外側へと放射し、骨を通して震えを送る。周りの世界が、変化するように見える。色が、縁でにじむ。
**何かが、おかしい。**
**非常に、おかしい。**
パンが、私の手から落ちる。野菜が、石畳の上に散らばる。拾うために、立ち止まらない。
走る。
振動が、私を村の外へと導く。
最後の家を通り過ぎる。木々が密生し、日差しがほとんど届かない森の中へ。
どこへ行くのか、疑問には思わない。ただ、従う。
脈動は、私を、岩々の間に隠された放棄された洞窟へと導く。入り口は、狭く、ほとんど見えず、苔と這う蔓で覆われている。私は、気づかずに、百回通り過ぎていただろう。
しかし、振動が、私を前に引く。
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残りの盗賊たちを倒した後、私は、何か奇妙なことに気づく。
洞窟の壁は、**自然**ではない。
誰かが、遠い昔に、それらを彫った。指で表面をなぞり、その跡を感じる。粗く、不揃いで、適切な道具を持たない手で作られた。まるで、時が完全に消し去る前に、何かを保存しようとしていたかのように。
私の残響振動は……異なって感じられる。
ここの土は、より古い。より重い。それは、嵐の前の圧力のように、私の感覚に押し付けられる重みを運ぶ。
息を吸う。より深く足を踏み入れる。
深く進むほど、絵画は、より古くなる。
美しくない。洗練されていない。それらは、**原始的**だ。木炭と、赤い黄土と、白い粘土。子供たちでさえ、ほとんど描けただろう。
それらは、空に向かって伸びる山々を描いている。谷を曲がりくねって流れる川。暗い天井に散らばった星々。注意深く、震える手で描かれた、土の下の円。
村人たちは、おそらく、それらが古代の神話だと思っていただろう。
それ以上ではない。
焚き火のそばで語る物語。子供たちへの警告。誰も説明できないものへの説明。
しかし、私がそれらを見ると、私は、もっと何かの重みを感じる。
一つの壁は、**巨大な蛇**を示している。
その体は、山々の下に巻き付いている。その背中は、森を支える。その尾は、海の下へと消える。絵画が終わる場所で、黄土でさえ埋めることのできなかった闇に、飲み込まれて。
小さな人間の姿が、その前にひざまずいている。
ある者は、祈っている。その手は、上げられ、その顔は、私には完全には読めない表情で、上を向いている。
ある者は、逃げている。その体は、細く伸び、芸術家の手によって、逃走の最中で凍結されている。
ある者は、ただ見ている。動かずに立っている。待っている。
私は、蛇を凝視する。何かが、名付けられない方法で、見覚えがあるように感じられる。
**「これは、全て、何を意味するんだろう……彼らは、何か古代の存在を崇拝しているのだろうか」**
その考えが、私の心を漂う。
私は、それ以上、考えない。
さらに歩く。
別の部屋。
別の絵画。
今度は、蛇ではない。
**亀。**
その甲羅は、山々を運ぶ。その息は、川となる。星々が、その背中に落ち、古代の顔料の中で、かすかに輝きながら、そこに留まる。
再び……
異なる人々。異なる時代。異なる解釈。
私は、亀を調べる。同じ崇敬。同じ恐怖。同じ、含むことのできない何かを、捉えようとする必死。
**「奇妙だ……」** 私は、自分自身に呟く。**「なぜ、異なる生き物を描いたんだろう?」**
この部屋には、ほとんど絵画がない。
ただ……
**数千……**
の、小さな**点**。
白。金。青。
暗いキャンバスに散らばった星のように。
それらは、壁、天井、床を覆う。それらは、螺旋し、群がり、ほとんど理解できるが、完全には掴めないパターンで、流れる。
その全ての中心に……
**一つの、巨大な円。**
体も、生き物もない。蛇や亀、あるいは私が認識できる形もない。
**明るい光。**
まるで、それを描いた者が……
もはや、自分が見たものを、記述できなかったかのように。
私は、星々に囲まれて、部屋の中心に立つ。
壁に手を置く。
一つの心臓の鼓動の間……
点が、脈打っているように見える。
物理的には、ではない。
**理解**において。
感じる。以前に感じた、あの同じ眠っている存在。より強くではない。より近くでもない。ただ……**ここ**に。待っている。認識している。
私の下の地面が、震える。点が、かすかにきらめき、一瞬、私は、古代の芸術家たちが見たものを見る。
何か、広大なもの。何か、理解を超えたもの。
そして、それは、消える。
手を引っ込める。心臓は、激しく打っている。
---
慎重に入る。振動は、一歩ごとに、より強くなる。
内部では、残響振動が、石の壁、トンネル、隠された部屋の背後に隠された存在を明らかにする。私は、それらを感じる。暗闇の中で動く、数十の人影。
**盗賊たち。**
待っている。別の攻撃の準備をしている。
私は、ためらわない。
次々と、彼らを倒す。
彼らは、隠された通路から溢れ出る。武器を掲げ、怒りで歪んだ顔で。彼らは、私を予期していない。私が何者であるか、知らない。
私は、彼らに見せる。
インクが、私の手から流れる。刃が、何もないところから形成される。私の人形が、彼らの足の間を駆け巡り、転ばせ、気を散らせ、守る。
彼らは、倒れる。
一人、また一人と。
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隠れ家の奥深くで、**首領**が待っている。
彼は、他の者たちとは違う。彼らが必死で荒々しいのに対し、彼は、**穏やか**だ。その目は、確かだ。その手は、震えない。
**決闘が、始まる。**
それは、村での戦いよりも、長く、はるかに困難だった。彼は、熟練している。経験豊富だ。彼は、私が動く前に、私の動きを読む。彼は、正確に、私の攻撃に対抗する。
私たちは、両方とも、傷を負う。彼の刃が、私の腕を刺す痛みを感じる。彼は、肋骨への一撃で、よろめく。
彼が戦うのを見ていると……
私の**残響視**が、再び作動する。
別の物語の断片が、私の目の前で閃く。
怪物ではない。魔王ではない。**貪欲だけ**ではない。
これらの人々が盗賊になったのは、**全く別の力**によって、家を追われたからだ。
それが見える。一瞬のイメージ。燃える村。逃げる家族。泣く子供たち。難民が、襲撃者に変わる。必死で、打ちのめされて。
その認識が、私を揺さぶる。
彼らは、**悪**ではない。彼らは、**生存者**だ。彼らは、残された唯一の道を選んだ。
しかし、私は、彼らが無実の人々に害を加え続けることを、許すわけにはいかない。
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戦いは、**最高潮**に達する。
私たちは、互いに周りを回る。息は、荒い。彼の刃は、確かだ。彼の目は、穏やかだ。彼は、絶望的な者のように戦わない。彼は、既に全てを失い、何も怖がるものがない者のように、戦う。
**「自分が、彼らを救っていると思っているのか?」** 彼は、私の打撃をかわしながら、唸る。**「彼らが、お前に感謝すると思うのか? 彼らは、お前を恐れる。いつまでも、恐れる。お前は、彼らの救世主ではない。お前は、**怪物**だ」**
彼の言葉は、彼の刃よりも深く、突き刺さる。
私は、前に押し出す。インクが、手から流れる。刃が、形成される。振るう。彼は、受け流す。衝撃が、腕を震わせる。
**「自分を見ろ」** 彼は、低く、嘲笑するように続ける。**「自分が何になったか、見ろ。お前は、もう人間じゃない。お前は、**武器**だ。**道具**だ。そして、彼らがお前を必要としなくなった時……」**
彼は、左にフェイントし、右に打つ。かろうじて、間に合う。
**「……彼らは、お前を再び、追い出すだろう」**
感じる。
言葉が、破片のように、私の胸に潜り込む。それらは、私が塞いだと思っていた亀裂を見つける。治ったと思っていた傷を、こじ開ける。
それらは、私に思い出させる。全ての囁きを。全ての背を向ける者を。村の広場に一人立ち、彼らが私が消えることを望んでいると知っていた、全ての瞬間を。
視界が、ぼやける。腕の周りのインクが、急に動く。速すぎる。荒すぎる。それは、波打ち、蠢く。もはや、私の制御下にはない。私の感情の炉は、溶けており、私は、火にあまりに多くの燃料を注いでいる。
**「お前は、私の言うことを証明している」** 彼は、私の制御が滑るのを見ながら、ほとんど微笑んで言う。**「感じるか? お前の中の、あの力? それは、**飢えている**。全てを飲み込もうとしている。お前も含めて」**
私は、打ち出す。インクの波が、私の手から爆発する。彼は、かろうじてかわすが、私は、考えていない。狙ってもいない。私は、雑音の中に、迷っている。
**彼は、正しい。**
その考えが、私を押し流す。彼は、全てについて、正しい。
元素の力が、肌の下で動くのを感じる。器が、震える。相反する元素が、互いに押し合い、私は、それらを引き離すには、弱すぎる。肌が、これから起こることの警告で、ピリピリする。村で感じた、あの同じ感覚。**ひび割れ**。**分裂**。自分自身を引き裂くところだった、あの瞬間。
私は、**制御を失っている。**
私は、全てを**破壊**しようとしている。
その時……
**「エルスベス」**
声。
静かに。確かに。揺るぎなく。
**「エルスベス」**
その声を知っている。生涯、知ってきた。私を歌って眠らせた声。愚かな時、叱った声。怖がっている時、暗闇の中で私の名前をささやいた声。
**母。**
彼女の顔が、心に浮かぶ。今の彼女のままではない。涙に濡れ、必死ではない。私が小さかった時のまま。私のベッドのそばに座って。髪を梳いて。春の雨と収穫の月についての歌を、口ずさんで。
その目は、その時、優しかった。まだ、私を恐れることを、学んでいなかった。
**「エルスベス。私のところに、戻っておいで」**
それを、胸に置かれた手のように感じる。優しく押す。私を、縁から引き離す。
インクが、遅くなる。元素の力が、静まる。混沌が、後退する。そして、その場所に……
**明澄。**
私は、怪物ではない。私は、武器ではない。私は、彼が言うようなものではない。
私は、**エルスベス**だ。村を去った少女。釣り合いを学んだ少女。愛する人々を守るために、家に帰ってきた少女。
私の目が、焦点を結ぶ。手の中のインクの刃を、より強く握る。
盗賊の首領は、私の中の変化を見る。その嘲笑うような笑みが、揺らぐ。初めて、彼の目に不確かさを見る。
私は、彼に立て直す時間を与えない。
**打つ。**
私の刃が、彼の刃とぶつかる。彼の握りが、震える。より強く押す。圧力が、強すぎる。彼の刀が、手から飛び、石の床にカラリと落ちる。
彼は、よろめく。膝をつく。
しかし、私の中に勝利はない。ただの**疲弊**。ただの**理解**。
インクを、溶かす。一歩下がる。
**「あなたは、私のことを間違っていた」** 私は、静かに言う。
彼は、答えない。
---
敗れた首領が、最後の必死の一撃を加える……
彼の刃が、妖精王がくれた**指輪**を砕く。
**沈黙。**
砕けた破片が、地面に落ちる。涙のように、石の床に散らばる。
すぐに、それを感じる。
**保護は、消えた。**
これが何を意味するか、理解している。
もし私が村に留まれば、私に引き寄せられる元素の精たちが、戻ってくるだろう。彼らは、再び私の存在を感知する。集まるだろう。彼らは……
私は、それを許すわけにはいかない。
救ったばかりの人々に、危険をもたらすわけにはいかない。
---
夜明け前に、私は、静かに家族に別れを告げる。
母は、私をしっかりと抱きしめる。彼女は、長い間、離さない。ついに彼女が離した時、その目は濡れているが、その微笑みは、確かだ。
父は、手を私の肩に置く。彼は、話さない。必要ない。
ヴィルヘルムは、私を抱きしめ、ささやく。**「また、早く帰ってきてね」**
涙がある。
笑顔がある。
誰も、私に留まるようにとは言わない。
なぜなら、彼らは**理解**しているから。
私は、再び去る。
歩き去りながら、最後にもう一度、振り返る。
村は、まだ立っている。煙は、晴れた。太陽が、屋根の上に昇っている。
今度は……
それは、もはや、私が追い出されているように、感じられない。
私は、ついに私を受け入れてくれた人々を守るために、去っている。




