第52話 お買い物にいこう⑤
翌朝、いつもよりはちょっと遅い時間に目が覚めた。
体を起こして軽く伸びをすると、モーリオンも起きて欠伸をする。
クワァァァァァァ・・・って感じな欠伸でめっちゃ可愛い!
おまけにネコみたいな体勢で伸びまでしてるの!
思わず抱き上げてギュウってしちゃった。
――おはよう。朝から抱きしめてもらうのは嬉しいが、"おはようのキス"ができないのは困るぞ――
「あぁ、ごめん。んじゃ、改めて、おはようモーリオン」
――おはよう、透流――
チュッてリップ音をたててバードキス。
あぁもう!
朝から幸せだなぁ。
モーリオンを抱きしめたまま再びベッドに横になる。
ほんと、まじ幸せ!
しばらくベッドの中でモーリオンとコロコロ。
そんな事をしていたらアリアンが体を起こした。
「・・・朝っぱらから暑苦しい、このバカップルめが」
「あ、アリアン、おはよう」
「うむ、おはよう。今日も元気そうだな、透流」
「アリアンもね。・・・しかし、髪の毛ぐしゃぐしゃだな」
綺麗な銀の髪の毛が見事に絡まりあって鳥の巣どころか遭難しそうだ。
「昨夜、眠気に負けてそのまま寝てしまったからの、仕方あるまい」
「あとで俺が結わいてあげるよ」
「透流がかや?」
「うん、俺うまいんだぞ。朱里の髪だって時々俺が結わいてたんだからな」
「ほう、では任せようかの」
「まかせたまへ」
でもその前に、顔を洗わなきゃね。
何故か俺達の部屋の床で折り重なるようにして寝ているラウルとセレンとガイさんとジルさんを踏み越え、あられもない格好で爆睡しているサラに、その姿をあまり視界に入れないようにしながらシーツを掛け直し、顔を洗いに洗面所へ行く。
ラウルとセレンが床で寝ているのにもなんだか慣れてきた感じ。
ガイさんとジルさんがいるのは・・・まぁ、考えないことにしよう。
一番下で枕になってるガイさんがちょっと苦しそうだけど。
何かうわごと言ってるから夢見は悪そうだ。
顔を洗って身繕いしてアリアンの髪に取り掛かる。
まずは丁寧に縺れを解いて・・・
アリアンがスカートのフリルの中のポケットから小さなブラシや十字架と髑髏の揺れるチャームが付いた銀色の飾り櫛を取り出した。
「リィンがくれたのじゃ」
アリアンは嬉しそうに言うけど・・・十字架と髑髏って・・・母さん、徹底しすぎ。
髪を留める物がその飾り櫛くらいしかないからそんなに凝った髪型にはできないけれどアリアンはご満悦だ。
今日はボンネットは被らないらしい。
「今日はまず雑貨屋さんに行こう。アリアンに似合う髪留めとかあるかもしれないしね」
「おお、買うてくれるのかや?」
「うん、まだもらったお小遣いあるからね。俺も頼んでた物できてるかもしれないし」
時間があったらダグさんのとこも覘いてみたいな。
「朝ご飯食べたら早速出かけよう」
「うむ、楽しみじゃ」
あぁそうだ、外出中に浩輔が来るといけないから伝言頼んどかなきゃね。
お昼には一回戻るべきかな?
雑貨屋に行くとおばさんは留守だったけど娘さんがいた。
そりゃもう、怖いくらいの満面の笑みで迎えてくれた。
「いらっしゃいませ!お待ちしておりました」
手薬煉引いて・・・という心の声が聞こえたような気がするのは気のせい?
「ふふふ、これを見てください!」
ジャーン!という効果音(幻聴)と共に娘さんが取り出したのは俺の人形・・・・・・
「おお!完成したのか!どれ、妾に見せてみよ」
アリアンが嬉々として両手を出し、娘さんが手渡す。
「ほほう、よくできておるな。おお!細部まで再現されて衣装もばっちりじゃ!」
「あの後エリンさんと一緒に徹夜で仕上げたんですの」
「徹夜とな!」
「つい夢中になってしまって」
「うむうむ、その気持ちわからんでもないぞよ」
「今はアリアン様のお人形に取り掛かっております。まだ途中ですが御覧になりますか?」
「いや、今はよそう。完成を楽しみにしておるぞよ」
「アリアン様のお可愛らしさを十分に表現して見せますわ!」
「うむ、期待しておるぞ!」
「お任せください!」
なんかもう、熱血しすぎ・・・・・・
二人は放っておいてアリアンの髪飾り探そう。
――アリアンの意見は聞かなくてもいいのか?――
「アリアンに任せたら高い物買わされそうだよ」
――ふむ・・・――
「貴重なお小遣いを一気に減らさないためにも安くてもいいデザインのものを探し出し、その中からアリアンに選ばせるんだ!」
――・・・透流、お前も熱血しておるぞ――
小間物が置かれている一角でアリアンに似合いそうな可愛い飾り櫛とリボンとカチューシャを見つけた。
もちろん今のゴスでロリーなドレスにも合いそうなデザインの物にしたよ・・・がんばって。
しかし、意外と安いじゃないか!
昨日、露店とかでアクセ見てたら結構高くて心配してたんだけど選んだもの全部買っても予定してた金額より安い。
リボン、もう1本買おうかな。
それらを持って戻るとおばさんが帰ってきていた。
俺を見るとニコニコ笑ってカウンターに注文してた残りの携帯糸電話を並べてくれた。
ラウルとセレンの分2個と、俺と浩輔と朱里で使う予定の物3個。
早速浩輔に渡せると思うと嬉しくなってくる。
これで離れてても連絡取れるからね。
あ、浩輔に四次元カバン作って渡さなきゃ!
カバンというよりポーチのほうがいいかな?
アリアンの髪飾りが安かったからポーチくらいなら十分買える。
・・・買える範囲のものにしておこう。
俺だって、欲しいものがあったら買いたいもん!
サブタイトル思いつかない・・・
とにかく続きです。
少しづつでもうpしていきます。
先に進めたいから!
誤字脱字等ございましたらご連絡ください。




