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第九十五話 私たちの道


 ドォォォォン!!


水虎の奔流が


千尋の作った結界へ激突する


「ぐっ……!」


「千尋!」


「まだ大丈夫!」


千尋が


歯を食いしばる


霊力で形成された


複数の《結界柱》


その柱と柱を――


美鈴が繋ぐ


「もう一本!」


ブゥン!!


美鈴が


新たな《結界柱》を形成


千尋の結界へ接続


ミシミシと軋んでいた結界面が


一気に安定する


「よし!」


美鈴が


周囲を見る


四組


角来桜華たちは


完全に水虎へ追い詰められている


一人は


霊馬から降り


肩を押さえている


もう一人も


息が上がっていた


このまま戦わせるのは――


危険


「みんな!」


美鈴が叫ぶ


「まず四組を逃がすよ!」


「どっちへ!?」


秀が聞く


「迂回路!」


美鈴が


すぐ答える


「私たちで水虎を引きつける!」


「四組が回り込める道を作る!」


「了解!」


五人が――


一斉に動く


◇


「秀!」


「学!」


「水虎の左右!」


「分かった!」


二人が


霊馬を走らせる


右――


秀


左――


学


それぞれが


霊力を放つ


ブゥン!!


一本


二本


水虎を挟むように


《結界柱》が形成される


秀が


札を放つ


「《火球の術》!」


火球が


《結界柱》へ入る


次の瞬間――


ドンッ!!


柱から


水虎へ


火球が射出


だが――


ジュッ!!


「なっ!?」


水虎の身体へ触れた瞬間


火球が――


消えた


「効いてない!」


学も


別方向から術を放つ


だが――


同じ


水虎の身体へ触れた途端


術が形を失う


その時――


「無駄よ!」


桜華が叫ぶ


美鈴が


振り返る


「え!?」


「そいつ!」


桜華が


悔しそうに水虎を見る


「斬撃も効かない!」


「打撃も!」


「身体が水だから」


「当たってもすぐ元に戻る!」


さらに――


「術まで」


「身体に触れたらかき消される!」


「…………」


美鈴が


水虎を見る


一拍


「えっ」


苦笑


「無理じゃん」


「だから言ったでしょ!」


千尋が


桜華へ怒鳴る


「こんなのと戦うなって!」


「…………」


桜華が


言葉に詰まる


だが――


美鈴は


すぐ切り替えた


「倒さなくていい!」


「え?」


「私たちの目的は」


水虎を見る


「四組を逃がすこと!」


そして


樹へ


「樹!」


「迂回路までの道!」


「任せろ!」


樹が


四組のいる場所から


迂回路へ視線を走らせる


その間には――


水虎


このままでは


横を抜けられない


なら――


水虎を


反対側へ動かす


「秀!」


「右から攻撃!」


「学は左を塞いで!」


「了解!」


秀が


右側へ新たな《結界柱》


そこへ術を入れる


ドンッ!


ドンッ!!


火球そのものは


効かない


だが――


「グルルル……!」


水虎が


秀を見る


「こっちだ!」


秀が


さらに柱から術を放つ


水虎が


一歩――


右へ


「今!」


学が


左側へ


二本の《結界柱》を形成


美鈴が


即座に繋ぐ


ブゥン!!


結界面


水虎の左側を塞ぐ


攻撃ではない


傷つける必要もない


ただ――


水虎が進める方向を


限定する


「樹!」


「できた!」


その間に


樹が


四組から迂回路へ続く方向へ


《結界柱》を次々と形成


一本


二本


三本――


それぞれを


美鈴が繋ぐ


結界が


壁になる


水虎と四組の間を


完全に分断


一本の――


安全な通路


「桜華!」


美鈴が叫ぶ


「今!」


「みんな連れて迂回路へ!」


「…………!」


桜華が


動かない


まだ――


水虎を見ている


千尋が


怒鳴った


「桜華!」


「チームメイトの様子を見なさい!!」


「っ!」


桜華が


振り返る


息を切らしている仲間


足を痛めた者


恐怖を押し殺している者


それでも――


自分についてきてくれた


四人


「…………」


桜華の顔から


意地が消えた


千尋が叫ぶ


「早く!」


「あなたが連れて行くの!」


「リーダーなんでしょ!!」


桜華が


唇を噛む


そして――


「……ごめんなさい」


小さく


それでも


はっきり言った


仲間たちが


桜華を見る


「行くわよ!」


「はい!」


四組が


迂回路へ向かう


水虎が


それに気づく


「グォォォォ!!」


身体を


四組へ向けようとする


「行かせない!」


美鈴が


《結界柱》を形成


さらに――


千尋


「こっち!」


ドンッ!!


新たな結界面


水虎の進路を塞ぐ


水虎が


反対へ回る


そこへ――


樹


「こっちも!」


ブゥン!!


また


結界


一枚で


閉じ込めるのではない


水虎が動くたび


その先へ柱を作る


右へ行けば


右を塞ぐ


左へ行けば


左を塞ぐ


前へ出れば


前へ新しい境界を作る


五人で


次々と――


水虎の進める場所を


変えていく


「グォォォォ!!」


水虎が


苛立ったように結界へ体当たり


バァン!!


「壊された!」


「いい!」


美鈴が叫ぶ


「また作る!」


千尋が


次


樹が


その次


秀と学が


左右から注意を引く


美鈴が


全てを繋ぎ直す


壊されても――


また作る


突破されても――


次を置く


巨大な水虎が


五人の作る境界に翻弄され


少しずつ


四組から遠ざかっていく


そして――


「美鈴!」


千尋が


迂回路を見る


四組


全員が入った


「抜けた!」


美鈴が


水虎を見る


「よし!」


大きく息を吸う


そして――


「さっさと行けぇ!!」


遠くの桜華が


一度だけ振り返る


美鈴たちを見る


何か言おうとして――


結局


頭を下げた


そのまま


仲間たちを連れて走っていく


◇


「さて……」


美鈴が


水虎を見る


「みんな」


「どうする?」


少し困ったように笑う


「これ」


「倒せるかな?」


「難しいだろ」


秀が即答


学も


「斬撃も打撃も術も駄目なんだろ?」


「俺たちじゃ厳しい」


千尋が


迂回路を見る


「もう一回」


「迂回路に向かおう」


「そうだね……」


美鈴も頷く


せっかく戻った


その分――


かなり時間を失っている


すでに


二組


三組


五組は


先へ行った


四組も


今


迂回路へ入った


完全に――


最後尾


「急がないと」


美鈴が


馬首を返そうとした


その時――


「あのさ」


樹


「ん?」


「俺」


「気づいたんだけど」


美鈴が


振り返る


「何?」


少し期待


「名案でも浮かんだ?」


樹が


にやっと笑う


「名案って言えば――」


「超名案」


「何々?」


千尋まで


身を乗り出す


樹が


後ろを指差した


「みんな」


「後ろ見て」


「後ろ?」


五人が


振り返る


そこには――


水虎


いや


正確には


水虎が


先ほどまで守っていた場所


そして――


その奥


一本の道


「…………」


秀が


目を見開く


「マジか!」


学も


「本当に!?」


千尋の顔が


一気に明るくなる


「やったー!」


「近道じゃん!」


水虎を


四組から引き離した結果――


塞がれていた近道の入口が


完全に開いていた


「…………」


美鈴が


その道を見る


そして


四人を見る


「みんな」


「どうする?」


「行く?」


樹が


逆に聞く


「行かないの?」


「だって!」


美鈴が


道を指差す


「ここ」


「誰も通ったことない道なんだよね!?」


正確には――


挑んだ者はいる


だが


水虎を突破できず


その先まで進めた者がいない


つまり


この道の先が


どうなっているのか――


誰も知らない


「そうか」


秀が


真顔になる


「途中で」


「道がなくなってるかもしれない」


学も


嫌な想像


「もっと強い妖がいたり……」


「やめてよ!」


千尋が


学を叩く


「でも」


樹が


迂回路を見る


「普通に迂回したら」


「俺たちビリだよ」


「…………」


全員


黙る


美鈴が


もう一度


未知の道を見る


そして――


笑った


「そうね」


手綱を握る


「行こう!」


四人が


頷く


「おう!」


五頭が


近道へ向かう


その途中


秀が笑った


「まあ」


「途中で道がなくなっててもさ」


「晴真なら――」


少し声色を真似る


「道がないなら」


「作ればいいじゃん!」


「って言いそうだよな」


「絶対言いそう!」


千尋が笑う


学も


「しかも本人」


「何の疑問も持たずに言うよな」


「言う言う!」


五人が


笑いながら――


誰も進んだことのない道へ


飛び込んでいった


◇


その頃――


第四走の待機地点


「へくしっ!」


晴真が


盛大なくしゃみ


隣の道満が


ちらり


「風邪か?」


「ううん」


晴真が


鼻を擦る


「なんだろうね!」


「ならいいが」


道満は


再びコースを見る


その後ろ


桔梗


茜


菜穂も


第三走班が現れるのを待っていた


「美鈴ちゃんたち」


晴真が


遠くを見る


「まだかなぁ」


◇


未知の近道


最初は――


走りやすかった


木々の間を


一本の細い道が抜けている


「本当に近道だ!」


樹が笑う


「これなら取り返せる!」


だが――


進むほど


道幅が狭くなる


左右から


木々が迫る


枝が


頭上を覆う


「気をつけて!」


美鈴が


身体を伏せる


バサッ!!


枝が


髪を掠める


さらに――


地面も荒れ始めた


石


木の根


小さな段差


霊馬が


一歩一歩


足場を選びながら進む


「速度落として!」


「転んだら終わりだから!」


五人は


焦らない


速さより――


確実に


少しずつ


前へ


やがて


道幅は


霊馬一頭が


ようやく通れるほどになった


一列


美鈴


千尋


秀


学


樹


順番に進む


「なんか……」


樹が


嫌そうに前を見る


「嫌な予感してきた」


「言わないで!」


千尋が即答


そして――


森を抜ける


「…………」


五人


同時に


止まった


目の前


大量の土砂


倒木


岩


崩れた斜面が――


道を完全に塞いでいる


「…………」


樹が


天を仰ぐ


「マジかぁぁぁ……」


美鈴も


言葉が出ない


「ここまで来て……」


秀が


周囲を見る


「戻る?」


学が


位置を確認する


「でも」


「地図的には」


土砂の向こうを見る


「ここを越えたら」


「もう第四走の受け渡し場所まで」


「そんなに遠くないはず」


「じゃあ」


秀が


札を取り出す


「術でぶっ飛ばすか!」


「待って!」


美鈴が止める


「駄目!」


「どうして?」


「ここ」


上を見る


崩れた斜面


土砂の上には


まだ不安定な岩


倒木


「下手に吹き飛ばしたら」


「余計崩れるかもしれない」


「確かに……」


全員


考える


正面突破は危険


戻れば――


完全に遅れる


「…………」


千尋が


土砂を見る


その中


倒れた木が


何本も重なっている


その下に――


僅かな隙間


「ねえ」


「ん?」


千尋が


しゃがみ込む


「ここ」


指差す


「隙間あるよ」


美鈴も


覗き込む


人間一人なら


這えば入れるかもしれない


だが


霊馬は――


絶対に無理


「これ……」


美鈴が


倒木を見る


そして――


何かに気づいた


「ねえ」


四人を見る


「《結界柱》」


「ここに使えないかな?」


「え?」


「縦じゃなくて」


美鈴が


両手を横へ広げる


「横」


倒木と


地面の隙間へ――


横向きの《結界柱》を形成する


「それを」


「少しずつ大きくしたら――」


樹が


目を見開く


「倒木を持ち上げられる?」


「やってみよう!」


◇


「まず小さく!」


美鈴が


霊力を放つ


土砂と倒木の間


僅かな隙間へ――


細い霊力


それを


境界で包み


一本の形へ固定


ブゥン――


横向きの


《結界柱》


「入った!」


「ここから!」


美鈴が


慎重に霊力を流す


柱の内側


閉じ込めた霊力を増やし


同時に――


境界そのものを広げていく


ミシ……


横向きの《結界柱》が


少しずつ


太くなる


ミシミシ――


倒木が


僅かに浮いた


「動いた!」


「もう一本!」


千尋が


反対側へ形成


二本の柱を


横向きに差し込む


「秀!」


「学!」


「崩れそうなところ!」


「了解!」


二人も


左右へ《結界柱》


今度は


押し広げるためではない


崩れそうな土砂と倒木を――


支える


「樹!」


「奥!」


「任せろ!」


さらに一本


美鈴が


全てを繋ぐ


柱を


ただ立てるのではない


横へする


支えにする


隙間を広げる


崩落を止める


結界術なのだから――


形は


一つである必要などない


「少しずつ!」


「一気にやったら崩れる!」


美鈴の額に


汗


一本を広げ


一本で支え


次の一本を奥へ


また――


広げる


ミシッ


ミシミシミシ――


倒木が


ゆっくり持ち上がる


「いける!」


やがて――


霊馬が


頭を低くすれば


通れるほどの空間


「できた!」


「一頭ずつ!」


まず


美鈴


霊馬の首を撫でる


「怖いけど」


「お願い」


ゆっくり――


潜る


《結界柱》が


頭上の倒木を支えている


土が


ぱらぱら落ちる


「大丈夫!」


一頭


二頭


三頭――


全員が


通過


最後


樹が抜ける


「抜けた!!」


五人が


一斉に振り返る


誰も怪我をしていない


霊馬も無事


「やったぁ!!」


千尋が


思わず拳を上げる


美鈴も笑う


「行こう!」


「ここからなら――」


前を見る


森の先


光


五人が


一気に飛び出す


そして――


「うわ……!」


目の前


長い


一直線の下り坂


その遥か先――


第四走の待機地点


「見えた!!」


「晴真君たちだ!」


しかも――


横の迂回路


そこを走る


他組の第三走班


「俺たち!」


秀が叫ぶ


「前に出てるぞ!」


「近道成功!!」


◇


「えっ!?」


迂回路


神門蘭が


目を疑う


隣を走る


紫穂も――


「嘘……」


森から


一年一組の五人が飛び出してきた


「近道を――」


蘭が驚く


「抜けてきたの!?」


だが


すぐに札を抜く


「行かせない!」


紫穂も


同時に札を構える


ヒュンッ!!


火球


風刃


次々と――


美鈴たちへ


「来るよ!」


美鈴が


霊馬を傾ける


ドンッ!!


火球が


横を通過


「美鈴!」


秀が叫ぶ


「行けぇ!!」


「ここは俺たちが止める!」


学


樹


千尋


四人が――


美鈴から離れる


「でも!」


「襷持ってるのは美鈴でしょ!」


千尋が笑う


「行って!」


「……分かった!」


美鈴が


前へ


一気に加速


その後ろ――


四人


「最後まで!」


「俺たちのやり方で行くぞ!」


ブゥン!!


千尋


一本


樹


一本


秀


一本


学


一本


四本の《結界柱》が


後続の進路へ


次々と形成される


一本が


壁を作り


一本が


道を狭め


一本が


術を蓄え


一本が――


逃げ道を限定する


「またこれ!?」


蘭が


霊馬を横へ振る


その横


紫穂が――


じっと


《結界柱》を見ている


「…………」


霊力の流れ


境界の作り方


内部へ霊力を閉じ込める条件


そして――


柱という形


「なるほど」


紫穂が


ぽつり


秀が


嫌な顔


「おい」


「何だ?」


学が見る


「アイツ」


「なんか嫌な顔してる」


次の瞬間――


紫穂が


両手を広げる


ブゥン!!


一本


「え?」


二本


三本――


そして


四本


紫穂の周囲へ


同時に


《結界柱》が形成された


「…………」


秀


学


二人


同時


「アイツも――」


「向こう側の人間だな!!」


「どういう意味ですか!?」


紫穂が叫ぶ


秀が


にやっと笑う


「でも!」


「形だけ真似してもな!」


学も


四本を見る


「四本同時に!」


「扱えるかな!?」


「――っ!」


紫穂が


四本を接続しようとする


だが


一本


二本


三本――


四本目


霊力の流れが


僅かに乱れる


ブゥン……


一本が消えた


「くっ!」


「ほら!」


「簡単じゃないだろ!」


秀と学が笑う


紫穂の眉が


ぴくっ


「……もう一回」


「え?」


「絶対やります!」


「やっぱそっち側だ!!」


◇


その頃――


美鈴は


一人


坂を駆け下りていた


「晴真君!!」


前方


第四走班


晴真が


声に気づく


「美鈴ちゃん!」


「来た!」


道満


桔梗


茜


菜穂


全員が


一斉に動く


だが――


後方


「逃がしません!」


蘭


結界柱を


次々と突破しながら


追ってくる


札を――


複数


一斉に放つ


「複合札術――」


水が


一気に膨れ上がる


一頭


二頭


三頭――


複数の水龍


《水龍乱舞》!!


ゴォォォォ!!


水龍たちが


結界柱へ襲いかかる


ドンッ!!


一本破壊


二本目


バァン!!


三本目も――


破壊


「うわ!」


樹が叫ぶ


「蘭、強っ!」


だが――


四人も


ただ壊されるのを


見ていない


「だったら!」


千尋が


さらに形成


一本


秀が


その先


学が


さらに横


樹が


蘭の進路へ――


「置きまくれ!!」


ブゥン!


ブゥン!


ブゥン!!


道のあちらこちらに


《結界柱》


規則性すらない


右


左


中央


斜め


「ちょっと!!」


蘭が叫ぶ


「邪魔です!!」


「邪魔するためにやってるんだよ!」


「嫌がらせだ!!」


「堂々と言わないでください!!」


水龍が


また一本破壊


だが


その間に――


美鈴との差が


僅かに開く


「美鈴!」


千尋が叫ぶ


「行けぇぇ!!」


美鈴が


振り返らない


「うん!!」


霊馬の首筋へ


身体を伏せる


「お願い!」


最後の直線


さらに――


加速


晴真も


霊馬を走らせ始める


「美鈴ちゃん!」


美鈴が


襷へ手をかける


「晴真君!!」


二頭が――


並ぶ


美鈴が


襷を外す


手を伸ばす


晴真も


手を伸ばす


パシッ!!


襷が――


繋がった


「頼んだよ!!」


晴真が


襷を握り締める


満面の笑み


「あとは任せて!」


その横


道満も


美鈴を見る


「任せろ!」


「…………」


美鈴が


二人の顔を見る


晴真


道満


その二人を見た瞬間――


不思議なくらい


安心した


ああ


きっと――


大丈夫


「お願い!」


その横を――


桔梗


茜


菜穂が


駆け抜けていく


「美鈴!」


「お疲れ!」


「後は任せて!」


美鈴が


ようやく肩の力を抜いた


「本当に――」


笑う


「疲れたよ……!」


第四走班


晴真


道満


桔梗


茜


菜穂


五人が――


一気に前へ駆けていく


◇


「美鈴ー!」


後ろから


声


振り返る


千尋


秀


学


樹


四人が


ようやく到着した


「みんな!」


五人が


集まる


一瞬


顔を見合わせ――


「…………」


秀が


笑う


「俺たち」


「めちゃくちゃ頑張ったよな?」


「頑張った!」


千尋が


即答


学も


「水虎から戻った時」


「正直もう駄目だと思った」


樹が笑う


「俺の超名案がなかったら」


「まだ迂回路走ってたけどな!」


「はいはい!」


美鈴が笑う


「でも」


五人を見る


水虎から


四組を助けた


一度は最後尾になった


誰も進んだことのない近道へ入った


道が崩れていても――


《結界柱》で


自分たちの道を作った


そして


最後には――


襷を繋いだ


「私たち」


美鈴が


拳を出す


「よく頑張った!」


千尋が


拳を重ねる


「うん!」


秀


「最高だった!」


学


「もう一回やれって言われたら嫌だけど!」


樹


「それは俺も!」


五人


笑う


「やったぁぁぁ!!」


拳を合わせ――


大いに喜ぶ


第三走


速さでもない


圧倒的な力でもない


誰か一人の才能でもない


五人で考え


五人で支え


五人で道を作る


それが――


江原美鈴たちが見つけた


自分たちなりの戦い方


そして


その想いを乗せた襷は――


第四走


桜晴真の手へ


確かに


繋がった

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