第六十話 二つの魂
しばらく誰も口を開かなかった。
大蛇摩耶。
龍姫。
夜叉丸。
そして禍津喰羅。
遥か昔の出来事を聞き終えたばかりの部屋には、まだ重い空気が残っている。
そんな中。
春花が静かに口を開いた。
「ですが」
皆が春花を見る。
「このまま蒼空様の中にいる摩耶様を放置するのは危険です」
『…………』
摩耶が黙る。
蒼空が小さく頷いた。
「俺もそう思う」
『蒼空君まで……』
「だってまた何か思いついたら勝手にやりそうだし」
『しませんよ!』
「本当に?」
『…………』
少し間。
『たぶん』
「ほら」
皆が苦笑する。
ミヅチは腕を組んだ。
「じゃがどうする?」
「二つに分かれた魂は、大龍王様ですら戻せなかったのじゃぞ」
「それについてですが」
春花が答える。
「あの時、印旛大龍王様が仰っていました」
「何と?」
「あの瘴気さえなければ、と」
ミヅチの表情が変わった。
「そういえば……」
銀花も思い出したように頷く。
「あの時は夜叉丸様がすでに奈落へ封印されたあとでした」
春花も続ける。
「禍津喰羅の瘴気は神の力だけでは完全に浄化できない」
「大龍王様も」
銀花が静かに言う。
「金桜眼と銀桜眼が頼りだと仰っていましたね」
晴真が目を瞬かせる。
「ということは?」
「今なら」
春花が蒼空を見る。
「蒼空様の中にあった瘴気は晴真様と道満様が取り除きました」
そして紫苑を見る。
「二つの魂を一つへ戻せるかもしれません」
「本当?」
晴真の顔が明るくなる。
だが銀花は少し考え込んだ。
「一つ問題があります」
「問題?」
「二つを一つへ戻すということは」
紫苑と蒼空を見る。
「どちらか一方から摩耶様の魂の欠片がなくなるということです」
部屋が静かになる。
「転生前の魂は、お二人の性格や能力にも多少影響を与えています」
道満が頷く。
「魂を移せば、その影響も変わる可能性があるということですね」
「はい」
すると蒼空が手を上げた。
「あの」
「どうしました?」
「俺ってさ」
少し考える。
「摩耶さんの影響、ほとんど受けてなかったんじゃない?」
「なぜそう思う?」
ミヅチが尋ねる。
「だって摩耶さんの魂」
自分の腹を指す。
「瘴気のせいで俺の魂と馴染めてなかったんでしょ?」
「…………」
春花と銀花が顔を見合わせる。
「確かに」
春花が頷いた。
「その可能性は高いですね」
銀花も続ける。
「逆に言えば、蒼空様の中にある摩耶様を紫苑様へ戻した場合」
皆の視線が紫苑へ集まる。
「紫苑様が――」
少し言いづらそうにする。
「あっちの摩耶様の影響まで受ける可能性があります」
『あっちって何ですか!』
摩耶が抗議する。
誰も答えない。
紫苑は少し考えていた。
そして。
「私が引き受けます」
玄が振り返る。
「紫苑?」
紫玄も紫苑を見る。
「いいのか?」
「はい」
紫苑は蒼空を見る。
その表情は穏やかだった。
「初めて蒼空を見た時から」
蒼空が顔を上げる。
「この子を守らなければって」
「…………」
「ずっと思っていました」
蒼空が少し困ったように笑う。
「紫苑さん……」
「蒼空」
紫苑も笑った。
「あなたは今まで十分大変な思いをしてきたでしょう」
常に流れ込む情報。
終わらない疲労。
感情を表へ出せなかった日々。
「だからこれからは」
「好きなように生きてほしい」
「摩耶様の魂は私が引き受けます」
「…………」
蒼空はしばらく黙っていた。
その時。
『あの……』
摩耶の声。
『私』
皆が意識を向ける。
『完全に厄介者扱いされてませんか?』
蒼空が即答した。
「自覚なかったんですか?」
『酷いです!』
部屋に苦笑が広がった。
◇
晴真が首を傾げる。
「でもどうやって魂を一つにするの?」
春花と銀花が顔を見合わせた。
晴真が続ける。
「印旛大龍王様にお願いするの?」
すると。
晴真の肩で桜花が元気よく手を上げた。
「晴真様がやればいいじゃないですか!」
「僕!?」
「はい!」
桜花は満面の笑み。
「いつもみたいにやりすぎちゃえばいいのです!」
「どういう意味!?」
ミヅチが顎へ手を当てる。
「まあ晴真ならやりかねんのう」
「ミヅチさんまで!」
沙羅も頷いた。
「そうだな」
「沙羅さん!?」
チヨヒメもあっさり言う。
「駄目だったら」
摩耶へ意識を向ける。
「あっちの摩耶だけ消してしまえばよい」
『えっ!?』
「チヨヒメ様」
珠代が困ったように笑う。
「そんなことを言ってはいけませんよ」
『そうですよ!』
「本当のことでも」
『本当のことでも!?』
チヨヒメが笑った。
「冗談じゃ」
道満がぼそっと言う。
「冗談に聞こえない……」
凛も隣で頷く。
「うん」
『皆さん酷くありませんか!?』
晴真が慌てて手を振る。
「ちょっと待って!」
皆が晴真を見る。
「なんか僕がやる流れになってるけど」
自分を指差す。
「そんなことやったことないからね!」
「大丈夫じゃ」
クシナダが笑う。
「何事も挑戦じゃ」
「人の魂で!?」
「当たって砕けろというではないか」
「砕けたらダメだよ!」
クシナダが豪快に笑った。
「ははは!」
「まあ砕けるのは摩耶の魂じゃがな」
『笑い事ではありません!』
一葉。
二葉。
三葉まで珍しく頷いている。
「何事もやってみなければ」
「分かりませんから」
「頑張ってください」
「三人まで!?」
銀花が困ったように皆を見る。
「皆様」
そして晴真へ微笑む。
「晴真様が緊張してしまいます」
「銀花さん……」
晴真が少し安心する。
銀花は優しく言った。
「晴真様」
「はい」
「失敗しても大丈夫ですから」
「大丈夫じゃないよ!?」
『大丈夫ではありません!』
晴真と摩耶の声が重なる。
凛が周りを見る。
「なんか皆さん」
「はい?」
「ちょっと失敗してほしそうに見えるんですけど」
「そんなことはありません」
春花が真顔で答える。
「人の魂がかかっていますから」
「…………」
しかし。
春花。
銀花。
ミヅチ。
クシナダ。
何人かの目が微妙に泳いでいる。
『絶対何か思っていますよね!?』
摩耶が泣きそうになる。
『酷いです……』
紫苑がさすがに不安になった。
「あの」
春花を見る。
「本当に大丈夫ですよね?」
「…………」
春花が少し考える。
「たぶん」
「たぶん!?」
紫玄が立ち上がる。
「待ってくれ」
皆が見る。
「そんな不確かなことを紫苑と蒼空にさせるわけにはいかない」
「伯父上の言う通りです」
道満も頷く。
だが春花が紫玄を見る。
「ですが紫玄様」
「何です?」
「このままあちらの摩耶様を放置すれば」
『あちら!?』
「また蒼空様に何をしでかすか分かりません」
「…………」
紫玄が止まった。
蒼空も真顔で頷く。
「それは怖い」
『蒼空君!』
紫玄は腕を組む。
「うーむ……」
父親として非常に悩ましいらしい。
正臣が晴真の肩を叩いた。
「晴真」
「はい?」
「頑張れ」
「先生……」
「お前ならきっと大丈夫だ」
玄も頷く。
「俺もそう思う」
晴真は二人を見る。
「先生たち」
「なんだ?」
「根拠は?」
「ない」
「特にないな」
「…………」
晴真は大きなため息をついた。
「もう……」
◇
「とりあえず」
晴真は気持ちを切り替える。
「やってみるとして」
紫苑と蒼空を見る。
「どうやればいいのかな?」
「まずは」
春花が答える。
「お二人の中にいる摩耶様を見つけるところからでしょうね」
「じゃあ霊気合わせ?」
「それが一番良いと思います」
晴真は紫苑を見る。
「紫苑先生」
「はい」
「背中に触れますね」
「ええ」
次に蒼空を見る。
「蒼空君も」
「分かった」
紫苑と蒼空が向かい合う。
その間に晴真が座る。
右手を紫苑へ
左手を蒼空へ
「なんか変な感じ」
凛が笑う。
「晴真君が二人を繋いでるみたい」
「本当だね」
晴真は目を閉じる。
「じゃあいきます」
ゆっくりと霊力を流す。
紫苑
蒼空
二人の霊脈へ触れる。
蒼空の方はすぐに分かった。
「こっちはいる」
昨日から何度も触れている。
思い込みの激しい摩耶の魂。
もう場所は分かっていた。
次に紫苑。
丹田へ向かって霊気を辿る。
だが――
「あれ?」
「どうしたの?」
紫苑が尋ねる。
「いや」
晴真は少し驚いていた。
「すぐ見つかった」
探したというより。
向こうから晴真の霊気へ近づいてきたような感覚。
穏やかで。
静かで。
暖かな霊気。
「こっちが本来の摩耶さん……」
二つの魂。
その両方へ晴真の霊気が繋がる。
「…………」
晴真は目を閉じたまま考える。
右。
紫苑。
左。
蒼空。
そして真ん中に自分。
「なんか」
皆が聞く。
「僕」
少し首を傾げる。
「USBケーブルにでもなった気分」
「ゆーえすびー?」
ミヅチが首を傾げる。
クシナダも。
「何じゃそれは」
沙羅も分からないらしい。
「何の話だ?」
凛だけが吹き出した。
「ふふっ」
「晴真君ったら」
「だって」
晴真が笑う。
「二人を繋いでるからさ」
凛は少し考える。
そして。
「だったら」
「ん?」
「データみたいに片方へ移動させちゃえばいいんじゃない?」
「…………」
晴真の目が開いた。
「それだよ凛ちゃん!」
「え?」
「それ!」
「本当に?」
「うん!」
道満が嫌な予感のする顔になる。
「晴真」
「何?」
「今ので分かったのか?」
「なんとなく!」
「一番怖い答えだな……」
◇
晴真は再び目を閉じた。
「摩耶さん」
二つの意識へ呼び掛ける。
「二人とも聞こえる?」
『はい』
『聞こえています』
二つの声。
片方は落ち着いている。
もう片方は少し騒がしい。
晴真が苦笑する。
「やっぱり全然違うね」
『そうでしょうか?』
『同じ私ですよ?』
「まあいいや」
晴真は自分の丹田へ意識を向ける。
「二人とも」
「一回僕の中に来れる?」
『晴真様の中へ?』
「うん」
『危険では?』
「分からない」
『分からない!?』
「でも僕を間にした方が繋ぎやすそうなんだ」
少し沈黙
そして
穏やかな摩耶が答える。
『分かりました』
もう一人も。
『やってみます』
「じゃあゆっくりね」
晴真は二つの魂へ霊気を伸ばした。
引っ張るのではない。
道を作る。
二人が進めるように。
すると――
ふわっ。
二つの霊気が動いた。
紫苑から
蒼空から
それぞれ晴真の中へ。
「っ……」
晴真の身体が僅かに震えた。
「晴真君?」
凛が心配そうに声を掛ける。
「大丈夫」
晴真は目を閉じたまま答える。
「ただ……」
胸へ手を当てる
「いっぱい入ってくる」
感情
記憶
喜び
悲しみ
責任
後悔
誰かを助けたいという願い。
夜叉丸への恋
龍姫への尊敬
嫉妬
そんな感情を抱いた自分への嫌悪
禍津喰羅に騙された後悔
夜叉丸を苦しめてしまった罪悪感
二人を救いたかった願い
そして
ずっと
自分を責め続けてきた心
晴真の目から一筋
涙が流れた。
「晴真!」
道満が声を掛ける。
「大丈夫だよ」
晴真は小さく笑う。
そして
二つの摩耶へ。
「二人とも」
優しく言った。
「大変だったね」
『…………』
『…………』
二つの魂が揺れる。
晴真は続ける。
「ずっと苦しかったんだね」
「でも」
「もういいんじゃないかな」
二つの魂
本来なら一つだったもの。
長い年月
別々に存在していた。
それが
晴真の暖かな霊気の中で
初めて向かい合う。
『あなたは……』
片方が言う。
『私』
もう片方も答える。
『あなたも私』
そして
ゆっくり
二つの霊気が近づく
晴真は何もしなかった。
ただ
二人が進む道だけを作る。
重なった。
その瞬間――
パァァァ……
金色の霊気の中で。
二つの魂が一つになった。
◇
『…………』
静かな気配。
先ほどまで二つあった摩耶の声が。
一つになっている。
『晴真様』
「うん」
『ありがとうございます』
晴真は笑った。
「元に戻った?」
『はい』
少し穏やかな声。
『ようやく』
『元に戻れました』
「良かった」
摩耶はしばらく黙っていた。
そして。
『あの子は』
皆が聞く。
『私の弱い心が生み出した』
『もう一つの私でした』
責任
疲労
嫉妬
自己嫌悪
それらから心を守るため。
自分が背負えなかった感情を引き受けるために生まれたもう一つの側面。
『ずっと』
『あの子を別の存在だと思っていました』
『でも違ったのですね』
「うん」
晴真が静かに答える。
『あの子も私』
『逃げたかった私も』
『誰かを妬んだ私も』
『思い込んで暴走した私も』
『全部』
少し間。
『私だった』
「…………」
『一つになることで』
『ようやく受け入れられた気がします』
晴真の中にあった摩耶の霊気が。
穏やかになる。
そして。
『晴真様』
「何?」
『あなたは』
少し懐かしそうな感覚。
『龍姫様とよく似ていますね』
「僕が?」
『はい』
『とても暖かい』
晴真は少し照れる。
「そうかな」
『いつの日か』
摩耶の声が真剣になる。
『あなたが龍姫様を』
少し間を置く。
『そして夜叉丸様を超えるほどの陰陽師になった時』
『お願いがあります』
晴真は黙って聞く。
『どうか』
『お二人をお助けください』
「…………」
晴真はすぐには返事をしなかった。
できるかどうか分からない。
簡単に約束できることでもない。
それでも。
「うん」
静かに頷く。
「方法を見つける」
『ありがとうございます』
そして摩耶の意識が。
道満へ向く。
『道満様』
「俺ですか?」
『はい』
次に凛。
『凛様』
「はい」
『晴真様』
三人を感じる。
『あなた方三人なら』
『いつかきっと』
『私たちの時代にできなかったことを成し遂げられる』
晴真。
道満。
凛。
三人が顔を見合わせる。
摩耶はさらに続けた。
『そして』
蒼空へ。
『蒼空さんのことを』
『よろしくお願いします』
「蒼空君を?」
『はい』
『あの子もきっと』
少し優しく笑ったような感覚。
『あなた方の助けになるでしょう』
蒼空が少し照れた顔になる。
「勝手に決めないでよ」
『ふふっ』
初めて。
摩耶が自然に笑った。
『それでは』
紫苑へ意識を向ける。
『私は紫苑の中へ戻ります』
『これからは』
『紫苑と蒼空』
『二人を静かに見守ります』
蒼空が念を押す。
「本当に静かにね」
『はい』
「蒼蛇眼勝手に使わない?」
『使えません』
「本当に?」
『もうあなたの中にいないので』
「そうなんだ 良かった」
皆が笑った。
◇
摩耶の魂が晴真から離れる。
ゆっくりと。
紫苑へ。
そして。
胸の奥へ溶け込んでいった。
「…………」
紫苑が目を閉じる。
しばらくして。
ゆっくり開く。
「どう?」
玄がすぐに尋ねる。
「何か変わったか?」
「うーん……」
紫苑は自分の手を見る。
「特には」
蒼空も自分の身体を確かめていた。
「俺も」
目を開く。
周囲を見る。
蒼蛇眼は勝手に発動しない。
「大丈夫そう」
晴真も金桜眼で二人を見る。
「たぶん」
「たぶん?」
紫玄が不安そうな顔をする。
晴真は慌てる。
「いや!」
「ちゃんと馴染んでます!」
「紫苑先生の中に摩耶さんの魂が綺麗に溶け込んでる」
「蒼空君の方にも変な瘴気はないよ」
「そうか……」
紫玄が安堵する。
玄も大きく息を吐いた。
「良かった」
紫苑が横を見る。
「なんで玄がそんなに安心してるのよ」
「え?」
「私のことなのに」
「いや」
玄は少し困る。
「心配するだろ普通」
紫苑がじっと見る。
「ふーん」
「何だその顔は」
沙羅と正臣が顔を見合わせる。
「…………」
「…………」
そして同時に苦笑した。
その横では――
ミヅチ。
チヨヒメ。
クシナダ。
珠代。
一葉。
二葉。
三葉。
なぜか少し残念そうな顔をしていた。
晴真が気づく。
「……みんな?」
「なんじゃ」
「なんで残念そうなの?」
「別に」
ミヅチが目を逸らす。
チヨヒメも。
「何もないぞ」
クシナダまで。
「無事なら何よりじゃ」
明らかに何か期待していた顔。
晴真が呆れる。
「もしかして失敗すると思ってた?」
「まさか」
「絶対思ってたよね!?」
春花が苦笑する。
「まあ何はともあれ」
紫苑を見る。
「二つの摩耶様は、一つの魂へ戻った」
「しかも思い込みの激しかった側は」
少し考える。
「別人格として残るのではなく」
「本来の摩耶様の中へ吸収された形なのでしょう」
晴真も頷いた。
「僕もそんな感じがしました」
「なら安心ですね」
銀花が微笑む。
「紫苑様への影響も」
晴真は紫苑を金桜眼で見る。
「そんなに大きくないと思います」
少し考えて。
「たぶん」
紫苑が苦笑する。
「最後のたぶんがちょっと怖いわね」
「ごめんなさい」
その時。
晴真の肩で桜花が嬉しそうに笑った。
「晴真様」
「何?」
「またやっちゃいましたね」
「…………」
晴真が振り返る。
「桜花がやれって言ったんでしょ!」
「でも実際にやったのは晴真様です」
「ずるい!」
「ふふっ」
「桜花ー!」
部屋に笑い声が広がった。
つい先ほどまで。
大昔の悲しい出来事を語っていた場所。
そこにようやく。
いつもの明るい空気が戻っていた。
二つに分かれていた大蛇摩耶の魂は。
長い年月を経て。
ようやく一つへ戻った。
そして。
紫苑。
蒼空。
二人もまた。
過去に縛られるのではなく。
自分自身の人生を歩き始める。
晴真はそんな二人を見ながら笑った。
「良かったね、蒼空君」
「うん」
蒼空も笑う。
「やっと静かになった」
「そこなんだ」
「そこが一番大事だよ」
「あはは」
皆がまた笑った。
西御門家で起きた。
蒼蛇眼を巡る出来事。
それはこうして――
一つの区切りを迎えた。




