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第二十五話 忍びの意地


 実技場の両端。


一組と三組の忍びたちは、一度距離を取って向かい合っていた。


息を整えながら。


互いに次の手を探る。


隼人が額の汗を拭う。


「……やっぱ、やりづらいな」


綾女も静かに頷いた。


「そうだね」


迅は迅雷を肩に担ぎながら笑う。


「響、半端ねぇな」


「それに白夜も厄介だ」


隼人は先ほど凍らされた地面を見る。


「氷って電気通さないんだなぁ……」


「今さら?」


綾女がぼそり。


「いや、知識では知ってたけどよ!」


桔梗も三組側を見る。


「時雨も、いいところで忍術入れてくるし」


茜も続く。


「霞と旭のコンビも息ぴったりだよ」


「でもさぁ」


迅がにやっと笑う。


「なんか――楽しいな!」


「何言ってんだよ」


隼人は呆れたように返す。


だが。


その顔も――。


少し笑っていた。



三組側も同じだった。


響が大きく息を吐く。


「忍び同士の戦いって……」


苦笑する。


「ほんと探り合いだな」


「ああ」


時雨も頷く。


「隼人の洞察力、かなり厄介だ」


一組側を見る。


「あいつ、戦いながらこっちの癖まで見てる」


「しかも指揮も速い」


霞が言う。


「お頭って呼ばれてるらしいね」


旭が笑う。


「妙に似合ってる」


「確かに」


白夜も頷く。


「さて」


五人を見回す。


「次、どうする?」


「うーん……」


霞。


旭。


二人揃って唸る。


響はそんな仲間たちを見て――。


ふっと笑った。


「まあ」


「なるようになるさ」


「それ作戦じゃないでしょ」


霞が笑う。


「響らしいけど」


五人から笑いが漏れた。



一組側。


綾女が隼人を見る。


「どうするの?」


「…………」


隼人は少し考える。


そして――。


迅を見る。


「何だよ、お頭」


「迅」


「おう」


「お前の好きなやつで行くか」


迅の顔が。


ぱあっと輝いた。


「マジで!?」


その横で。


綾女。


茜。


桔梗。


三人が口を揃える。


「えー……」


「なんでだよ!」


「だって迅の好きなやつって」


茜が呆れる。


「だいたい正面突破じゃん」


「今回はちゃんと考えてる!」


「お頭がね」


桔梗が笑う。


「そこ言うな!」


隼人が迅へ指を向ける。


「ただし」


「お前の相手は響じゃない」


「え?」


迅が不満そうな顔をする。


「俺、響とやりてぇんだけど」


「多分お前は――白夜だ」


「なんで?」


「お前の雷でビリビリしてる刀」


隼人は迅雷を見る。


「真正面から受けられるの、あいつくらいだろ」


迅が白夜を見る。


「……なるほど」


「じゃあ響は?」


隼人がため息をつく。


「俺がやるしかないなぁ……」


「おお!」


迅が笑う。


「あれやるんだろ?」


「……それしかないだろ」


「久しぶりに見るな!」


迅の目が輝く。


「あれ、すげえからなぁ!」


隼人は綾女たちを見る。


「綾女」


「茜」


「桔梗」


「うん」


三人が頷く。


「俺、あれ使うとかなり疲れる」


「だから――」


「後は頼むぞ」


綾女が静かに答える。


「任せて」


「じゃ」


隼人が構えた。


「行くぞ!」



最初に飛び出したのは――。


やはり迅だった。


「迅雷――術式解放!」


バチバチバチッ!!


霊装武具の忍刀。


その刀身へ雷が走る。


青白い光が迅の顔を照らす。


「…………」


観覧席の刀也が見て。


ぽつり。


「ちょっと格好いいな」


紅葉も腕を組む。


「……悪くありませんわね」


与一が二人を見る。


太一も見る。


そして。


二人は同時に思った。


(この三人――)


(たぶん格好いいと思う感覚が似てるな)


「何だよ」


刀也が気づく。


「いや、別に」


「何でもない」



迅がさらに霊力を巡らせる。


「立身流――巡らせ!」


全身へ霊力。


その上から。


「風遁――疾風歩!」


ブワッ!!


風が足元へ集まる。


そして――。


「紫電迅雷!」


バシュン!!


姿が消えた。


狙いは――。


響。


「来る!」


響が構える。


だが。


その前へ。


白夜が滑り込んだ。


「やっぱお前か!」


迅が笑う。


白夜も手にした霊木へ霊力を流す。


「寒風流忍術――」


パキパキパキッ!


霊木の周囲へ氷が纏わりつく。


鋭い氷の刃。


「氷遁・氷華刃!」


ギィィン!!


雷の忍刀。


氷の刃。


激突。


「速ぇなぁ、お前!」


白夜はそう言いながらも――。


しっかり受けている。


迅はさらに斬り込む。


右。


左。


上。


下。


ガガガガガッ!!


「こっちは体術専門なんだからな!」


白夜が文句を言う。


「少しくらい手加減しろ!」


「手加減なんかしたら!」


迅が笑う。


「こっちがやられるわ!」


「それもそうだ!」


再び刃がぶつかる。


観覧席。


刀也が目を丸くした。


「あいつ凄えなぁ……」


道満も頷く。


「ああ」


太一は白夜の足運びを見る。


「迅の速さについていってるのも凄いけど」


「剣技もかなり上手いぞ」


「体術と忍術を混ぜるって、ああいうことなんだな」


晴真も楽しそうに見ていた。



一方。


茜と桔梗は――。


霞と旭。


二人を相手にしていた。


ギン!


「旭! 右から!」


霞が叫ぶ。


「分かってる!」


旭が桔梗の刀を止める。


「霞! そっち左!」


「もう少し早く言ってよ!」


「十分早いだろ!」


「遅い!」


ガキン!


口では互いに文句を言いながら。


位置を入れ替え。


互いの死角を補い。


茜と桔梗の攻撃を次々と防いでいく。


茜が呆れた。


「やっぱり二人とも仲いいよね」


「「どこが!」」


霞と旭が同時に叫ぶ。


桔梗が笑う。


「そういうところ!」


「違う!」


「違わない!」


四人の忍刀が激しく打ち合う。



そして。


綾女の相手は――。


時雨。


「綾女」


「時雨」


二人は静かに向かい合う。


従兄妹同士。


幼い頃から。


何度も。


何度も。


忍術の稽古で戦ってきた。


だから――。


「土遁!」


時雨が札へ触れる。


その動きだけで。


綾女は横へ飛ぶ。


ズドン!


次の瞬間。


そこから土の杭が飛び出した。


「……やっぱ避けるか」


「その指の動き」


綾女が答える。


「知ってる」


シュッ!


綾女が苦無を投げる。


時雨は見ることすらせず身体を反らす。


「そっちもね」


「…………」


綾女が呟く。


「やりづらい」


時雨も苦笑する。


「同じく」


互いに。


癖まで知っている。



その時。


綾女がちらりと――。


茜。


桔梗。


二人を見る。


指先を僅かに動かした。


合図。


茜の目が変わる。


桔梗も。


「行くよ!」


「うん!」


攻撃の方向を変える。


霞と旭を押しながら――。


少しずつ。


少しずつ。


白夜の方向へ。


綾女も時雨を誘導していく。


「……?」


時雨が気づいた時には。


遅かった。


白夜。


時雨。


霞。


旭。


四人の位置が――。


一ヶ所へ集まっている。


「まさか!」


響が気づく。


「離れろ!」


だが。


「迅!」


「おう!」


迅が白夜から一気に距離を取る。


そして。


一組の四人が。


四方へ散った。


迅。


綾女。


茜。


桔梗。


四人が一斉に札を構える。


三組側が目を見開く。


「札!?」


「お前ら忍びだろ!?」


迅がにやり。


「忍びだって陰陽術くらい使うぜ!」


四人が同時に霊力を流す。


「四方――!」


地面へ。


四つの桜の紋が浮かび上がる。


「桜花四方封印陣!」


バァン!!


四角形の結界が展開された。


白夜。


時雨。


霞。


旭。


四人が――。


その中へ閉じ込められる。


「なっ!?」


霞が結界へ刀を叩きつける。


「忍者なのに陰陽術って!」


茜が得意げに。


「そうよ!」


桔梗も。


「何でも使えるもん!」


白夜が拳へ霊力を集める。


「この程度――!」


ドンッ!


結界が揺れる。


だが。


破れない。


「硬い!?」


綾女が淡々と。


「春花さんに散々やらされた」


「こういう時のために」


迅は札を維持しながら笑う。


「めちゃくちゃ練習したからな!」



「皆!」


響が駆け出そうとする。


だが――。


シュッ!


その前へ。


隼人が立ちはだかった。


「悪いな」


「お前の相手――」


構える。


「俺だ」


響の表情が変わる。


「……隼人」


「行くぞ」


隼人の両手が動く。


印。


臨。


兵。


闘。


者。


皆。


陣。


列。


在――。


素早く。


次々と手印が刻まれていく。


響が目を見開く。


「それは……」


「青菅流秘伝――九字暗呪法」


最後の印。


「前!」


瞬間。


ドンッ!!


隼人の全身から――。


霊力が爆発した。


「うおっ!?」


観覧席がどよめく。


霊力が。


丹田から。


腕。


脚。


目。


耳。


全身の霊脈へ強制的に巡っていく。


隼人の目が鋭くなる。


音。


匂い。


空気の揺れ。


響の僅かな筋肉の動き。


全部――。


鮮明に感じ取れる。


ダンッ!


隼人が消えた。


「速い!」


四方八方。


右。


左。


背後。


頭上。


響の周囲を凄まじい速度で駆ける。


「こりゃあ……」


響が笑った。


「負けてらんねぇな!」


響も手印を結ぶ。


そして――。


全身へ霊力を巡らせる。


「七曲流忍術――」


ドンッ!!


一瞬。


響の身体が揺らぐ。


「鬼神走!」


爆発的な速度。


バシュン!!


「えっ!?」


茜が封印陣を維持しながら叫ぶ。


「あれ!」


桔梗も目を見開く。


「鬼神走!?」


「首領と皐月姉しかできない技じゃん!」


「響、使えるの!?」


響と隼人。


二人が。


高速のまま――。


激突する。



「霊装武具――」


隼人が腰の依代を二つ抜く。


「双影!」


ブォン!


二本の小太刀が形成される。


さらに。


「術式解放!」


刀身へ黒い霊力がまとわりつく。


まるで影。


光を吸い込むような――。


漆黒の小太刀。


迅が叫ぶ。


「おお!」


「お頭、それ俺の真似だろ!」


「うるさい!」


隼人が走りながら叫ぶ。


「ちょっと格好いいと思っただけだ!」


「やっぱ思ってたんじゃん!」


観覧席から笑いが起こる。


綾女が冷たく言う。


「迅」


「封印陣」


「気を緩めるな」


「はい!」



隼人が二本の小太刀を構える。


さらに――。


「小竹小太刀二刀流!」


二刀。


右。


左。


高速で打ち込む。


ギン!


ギィン!


響は一本の忍刀で受ける。


だが。


一方を受けた瞬間。


もう片方が死角から迫る。


「くっ!」


響は身体を捻り――。


蹴り。


ドン!


隼人が腕で受ける。


その隙へ。


響の突き。


「甘い!」


隼人が小太刀で逸らす。


さらに――。


左の小太刀。


響は首を反らしてかわす。


速い。


あまりにも速い。


だが。


隼人には。


見えている。


九字暗呪法。


それによって脳の処理能力。


身体能力。


五感。


その全てが大幅に引き上げられている。


響の足。


肩。


目線。


刀の軌道。


全てが――。


読める。


「そこ!」


ギンッ!


「くっ!」


響が押される。


刀也が叫ぶ。


「隼人、強え!」


道満も目を細める。


「あれが切り札か」


与一は少し心配そうに見ていた。


「でも……」


「負担が大きそうだ」


その通りだった。


隼人の呼吸が。


少しずつ荒くなっていく。


「はぁ……!」


「はぁ……!」


九字暗呪法は。


強制的に身体能力を引き上げる術。


当然。


長時間は使えない。


隼人自身が。


一番よく分かっていた。


(そろそろだ)


指先が僅かに震える。


(あと一手)


(次で――)


隼人の目が鋭くなる。


(決める!)



「行くぞ響!」


二本の双影を構える。


「小竹小太刀二刀流――!」


霊力が刀身を包む。


「双影の嵐!!」


シュババババババッ!!


「なっ!?」


無数。


そう錯覚するほどの斬撃。


右。


左。


上。


下。


正面。


背後。


漆黒の刃が――。


嵐となって響へ襲い掛かる。


ギィン!


ガンッ!


ギギギギンッ!!


響は必死に受ける。


かわす。


流す。


「くっ……!」


(これを凌げば――)


響も分かっている。


隼人の身体能力強化。


長くは続かない。


(あと少し)


(これを耐えれば、隼人の方が先に限界になる)


だが。


その瞬間。


響の脳裏に。


一つの考えが浮かぶ。


(いや)


目の前にいるのは――。


青菅隼人。


戦いながら。


相手を読み。


その読みすら利用する男。


(こいつが)


(そんな分かりやすい終わり方を用意するか?)


隠し玉。


罠。


その可能性が頭をよぎる。


なら――。


「守るのはやめだ!」


響が一歩踏み込んだ。


「何!?」


隼人が目を見開く。


響が忍刀を引く。


霊力が刃へ集中。


「七曲流忍刀術――!」


踏み込み。


一閃。


「響鳴一閃!!」


ズバァン!!


同時。


隼人の双影の嵐。


響の響鳴一閃。


二つの技が――。


真正面からぶつかった。


ドォォォン!!


爆発するような霊気。


砂埃。


観客席から悲鳴が上がる。


「隼人!」


「響!」


やがて――。


煙が晴れる。


「…………」


二人は。


向かい合って立っていた。


隼人の小太刀が――。


響の喉元へ。


そして。


響の忍刀が――。


隼人の喉元へ。


一歩でも動けば。


互いに届く。


「そこまで!」


与乃の声が響いた。


二人が動きを止める。


「この試合――」


会場が静まり返る。


「引き分けとします!」


一瞬。


静寂。


次の瞬間――。


「うおおおおおお!!」


大歓声。


拍手。


拍手。


拍手。


観覧席が揺れるほどの喝采だった。


「すげえぞ!」


「何だ今の戦い!」


「忍びってあんな動きするのかよ!」


刀也も立ち上がる。


「すげえな隼人!」


晴真も目を輝かせている。


「すごい試合だったね!」


「ああ」


道満も素直に頷く。


「あの二人……どちらも最後まで相手を読んでいた」


奉先も腕を組み。


満足そうに笑った。


「良き試合だ」


舞桜も頷く。


「うむ!」



その時。


隼人の膝が――。


がくっ。


「……っと」


九字暗呪法が切れた。


全身から力が抜ける。


倒れそうになる。


「隼人!」


響がすぐに腕を取った。


「大丈夫か?」


「……わりぃ」


隼人は苦笑する。


「やっぱ、これ疲れるわ」


「無茶するなよ」


「お前に言われたくねえ」


二人が笑う。


その姿を見て。


観覧席から――。


さらに大きな拍手。


一組。


三組。


関係なく。


皆が称えていた。



だが――。


「何を引き分けている!」


冷たい声が。


その空気へ水を差した。


影也だった。


「三組なら勝って当然だろうが!」


正光も鼻で笑う。


「七曲響も所詮その程度か」


「…………」


響の表情が僅かに曇る。


茜と桔梗がむっとする。


迅も睨む。


「こいつら……」


その時。


「影也」


低い声。


麻賀多影行だった。


影也が振り返る。


「先生」


「正光」


「はい」


影行は二人を冷たく見る。


「私語を慎みなさい」


「ですが――」


「聞こえなかったのか?」


「…………」


「試合を終えた生徒を罵倒する暇があるなら」


「自分たちの試合に備えなさい」


「……はい」


二人は黙る。


その様子を見ていた――。


晴真。


道満。


二人は顔を見合わせる。


「……やっぱり」


晴真が呟く。


道満も苦笑する。


「ああ」


「影行先生って……」


「損してるな」


二人が同時に言った。



試合を終えた十人が中央へ集まる。


「ありがとうございました!」


互いに礼。


響は隼人を見る。


「またやろう」


「えぇ……」


隼人は露骨に嫌そうな顔をした。


「もうやりたくない」


「なんでだよ!」


「疲れるんだよ、お前!」


「こっちの台詞だ!」


迅が横から。


「次は俺が響とやる!」


白夜が笑う。


「お前はまず俺を倒してからな」


「望むところだ!」


霞と旭も。


茜と桔梗も。


時雨と綾女も。


さっきまで本気で戦っていたのに。


今は皆。


笑っている。


忍び十人。


敵味方ではなく。


同じ技を学び。


同じ道を歩む者同士。


楽しそうな笑い声が実技場へ響いた。



やがて。


与乃が次の札を確認する。


「続いて――」


「一組、四番!」


「私たちです!」


凛が立ち上がった。


晴真。


凛。


刀也。


豪太。


与一。


五人が前へ出る。


「よっしゃ!」


刀也が三組側を見る。


「影也!」


「来い!」


晴真が苦笑する。


「刀也君、くじだから選べないよ」


「でも来い!」


「聞いてないって」


そして――。


「三組、四番!」


三組の生徒たちが立ち上がる。


「…………」


刀也が固まった。


影也ではない。


正光でもない。


別の班だった。


影也が鼻で笑う。


「ふん」


「命拾いしたな」


「…………」


与一。


太一。


二人が顔を見合わせる。


「アイツ」


与一が言う。


「完全に悪役の台詞だね」


「うん」


太一も頷く。


「見事なくらい悪役だ」


周囲から笑いが起こる。


だが。


刀也だけは。


「くっそぉぉぉ!」


本気で悔しがっていた。


「アイツぶっ飛ばしてやりたかったのに!」


「模擬戦だからぶっ飛ばしちゃ駄目ですよ!」


凛が怒る。


「言い方!」



そして。


晴真は――。


少しだけ緊張していた。


「…………」


いよいよ。


自分たちの番。


夏休み前から。


ずっと。


凛。


刀也。


豪太。


与一。


四人と練習してきた。


指揮役を変え。


布陣を変え。


何度も失敗して。


何度も話し合った。


その全部を。


これから試す。


晴真の肩の上。


桜花が顔を覗き込んだ。


「晴真様」


「ん?」


桜花は人差し指を立てる。


「一つだけ」


「何?」


「やりすぎちゃ駄目ですよ」


「…………」


晴真が困った顔になる。


「分かってるよ」


桜花はじーっと晴真を見る。


「本当に?」


「たぶん」


「たぶん!?」


そして。


桜花はひょいっと晴真の肩から飛び降りた。


「今日はお手伝いできませんから」


「春花さんのところで見ています!」


「うん」


「頑張ってください!」


「ありがとう!」


桜花は小さな身体で駆けていき――。


春花の肩へちょこんと座った。


春花が晴真を見る。


「晴真様」


「はい?」


眼鏡を押し上げる。


キラン。


「加減を忘れないように」


「……はい」


晴真の緊張が。


別の意味で増えた。


「よし!」


凛が四人を見る。


「行きましょう!」


「おう!」


第一班。


ついに――。


その成果を見せる時が来た。

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