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私、男を知らないよ?

シンチャオ、趙氏貞です。


今日のベトナム語は Xin lỗi, tôi không biết.(シン・ロイ、トイ・ホン・ビエット)。

「すみません、分かりません」という意味です。

道を聞かれたり、知らないことを尋ねられたりした時に使えます。


「清河、私、男を知らないよ?」

「いきなり何の告白だ!」

「だから Tôi không biết」

「ベトナム語で追撃すんな!」

「本当に知らないのに」

「毎晩違う男がお前んとこ来てんだよ!」

「軍議だよ?」

「そこが全部消えてんだよ!」


知らないことは、知らないと言って大丈夫です。


今回は、私が知らない間に、みんなが私の夜を知っていることになります。

おかしいな?

私、その夜もずっと軍議してたんだけど……

高涼の兵が使っている道を知っているなら、道を変えればいい。

私はそう思った。

「変えられるなら、とっくに変えてる!」

清河に怒られた。

朝から蒲田の地図を広げ、兄と清河と景謙が道を睨んでいる。

私はその横で、どの線を見ればいいのか分からず、文七が持ってきた水を飲んでいた。

「氏貞殿、こちらです」

文七が地図の一点を指した。

「ここ?」

「はい、高涼から来た者が以前使った道です。象も一度通しています」

「じゃあ塞ぐ?」

兄が顔を上げた。

「塞いだら俺たちも通れねえ!」

「別の道を使えば?」

「だから、それを探してんだよ!」

朝から忙しい。

高涼の兵が呉軍に加わったことで、昨日まで使えていた道を、そのまま使っていいのか分からなくなった。

渡し場も同じだった。

米を運ぶ道も、怪我人を下げる道も、象を移す道も、相手が知っているなら安全とは言えない。

敵が増えたというより、地面そのものが信用できなくなった感じがする。

興が外から駆け込んできた。

「氏貞殿! 北の里から人が来てる!」

「誰?」

「里長が道のことで話があるって」

兄が頭を抱えた。

「またか!」

「また?」

「昨日から何人目だと思ってんだ!」

私は知らなかった。

数えていないからだ。

その日の夕方、北の里長が来た。

夜になると、別の里から男が来た。

その男が帰る前に斥候まで来て、私は清河と一緒に三人の話を順番に聞いた。

寝る頃には、どの道が使えて、どこが危ないのか、頭の中で全部混ざっていた。

「清河」

「何だ?」

「道って増えると困るね」

「普通は増えた方が便利なんだよ!」

翌日の夜は、兄が米の話を持ってきた。

「北側の三つの里から入ってた分が減る」

兄は木札を並べた。

「その代わり、南から来た米をこっちへ回す。だが船だけじゃ足りねえ。荷車を増やしたい」

「牛は?」

「いる」

「じゃあ大丈夫?」

「牛だけいて誰が荷車引かせんだ!」

「牛?」

「人だよ!」

清河が横で笑った。

「国達、お前もだいぶ氏貞に染まってきたな」

「何がだ!」

その夜、兄が帰ったあと、南から荷を運んできた船頭が水路の話をしに来て、文七も一緒に入ってきた。

文七はいつも私の象の近くにいる。

最近は一人でも乗れるようになったから、前みたいに手を貸してもらわなくても大丈夫だ。

それでも文七は、象が落ち着いているか、足を痛めていないか、鞍や綱に傷みがないかを見ている。

戦場でも少し横か後ろにいる。

私が乗れないからではない。

何かあった時に、すぐ来られるようにしているらしい。

「文七、私もう一人で乗れるよ?」

前にそう言ったら、

「知っています」

と言われた。

それでもいるの?

変なの……

船頭が地図へ指を置いた。

「ここから南へ抜ければ、大きな道を使わなくても川へ出られます」

清河が身を乗り出した。

「象も行けるか?」

船頭が困った。

文七が代わりに答える。

「途中までは行けます。最後は無理でしょう」

「じゃあ象置いてくのか?」

「必要なら」

私は文七を見る。

「置いていくの?」

「氏貞殿が生きて帰る方が大事です」

象に聞かせたら怒るかもしれない。

その翌日は、弘公たち三人が揃って来た。

「今日は景謙いないよ?」

私が聞くと、弘公が真顔で答えた。

「蒲田周辺の警備配置についての御相談です」

「あ〜」

景謙がいなくても来るらしい。

三人は地図を囲み、外郭の見張りを増やす場所を説明した。

三人とも話し方だけでなく動きまで似ていて、私が右を見ると三人とも右を見るので、だんだん面白くなってきた。

「清河」

「何だ?」

「三人って、一人ずつ動けないのかな」

「本人たちに聞け!」

聞いた。

「動けます」

三人同時だった。

清河が机を叩いて笑った。

「説得力ねえ!」

高涼の兵がこちらの地形を知っている以上、私の周りの警備も強くするらしい。

「そんなに私だけ守らなくてもいいよ?」

弘公が首を振った。

「氏貞殿が倒れれば、軍そのものが揺らぎます」

「私がいなくても兄さんいるよ?」

「米しか見てねえぞ、あいつ」

清河が言った。

否定できなかった。

文七は外で象を見ていて、そのさらに外には三兄弟の部下がいる。

清河だけが、その間を好き勝手に歩き回っていた。

気づけば私の周りには、かなり人が多くなっていた。

なのに軍そのものは小さくなっている。

陸胤の条件を受け入れる里が増えるたび、残った人の仕事が増えた。

だから夜の軍議も増えた。

そして、その夜は景謙だった。

景謙が来ると聞いた時点で、李氏三兄弟も入ってきた。

「今日も三人いるの?」

「蒲田の防衛についての軍議ですので」

弘公が答えた。

清河は最初から私の隣にいる。

景謙は部屋へ入った途端、三兄弟を見て露骨に顔をしかめた。

「出ろ」

誰も動かなかった。

「聞こえなかったのか。今日は氏貞と二人で話す」

清河が自分を指差した。

「あたしは?」

「お前もだ」

「嫌だね」

即答だった。

李氏三兄弟も動かない。

弘公が尋ねた。

「氏貞殿の御命令でしょうか?」

「俺が言っている!」

「では残ります」

景謙の眉間の皺が深くなった。

私は首を傾げた。

「蒲田の軍議でしょう?」

「違う。お前の話だ」

「私の?」

景謙は地図を広げず、私を見た。

「最近、お前のところへ人が入りすぎている」

清河が片方の眉を上げた。

「何の話だ?」

「里長、船頭、斥候、国達、こいつらまでだ。毎晩違う男が来る必要があるのか」

入口の外で誰かが歩く音が止まった。

清河の顔が変わった。

「景謙、お前その言い方やめろ」

「事実だろう!」

「事実だけど、言い方が最悪なんだよ!」

私はよく分からなかった。

「担当が違うからでしょう?」

「だから、その報告を俺に集めろ」

景謙は即答した。

「俺が必要なものを選ぶ。お前が聞くべき話だけ、俺が持ってくる」

私は景謙を見た。

前にも似た話をした気がする。

「また私の耳を景謙に預けるの?」

景謙の顔が固まった。

「そういう話じゃない」

「同じに聞こえるよ?」

「違う! 俺なら、お前を余計なものから守れる!」

三兄弟の空気が変わった。

ほんの少しだけ、三人が前へ出た。

景謙は気づいているのかいないのか、私から目を逸らさなかった。

「お前は誰にでも会いすぎる。誰の話でも聞く。帰りたいと言われれば帰す。南から何か届けば礼を言う。そんなことを続けていたら、いずれ利用される」

「景謙も私を利用しようとしてるでしょう?」

清河が口を押さえた。

たぶん笑った。

景謙は笑わなかった。

「俺は違う」

「何が?」

「俺は最初からお前を知っている」

そこだけは、景謙も迷わなかった。

「だから俺が、お前の側に置く人間を決める」

弘公が聞いた。

「それも氏貞殿の御命令でしょうか?」

「黙れ!」

「違うよ」

私が答えると、弘公たちは元の位置へ戻った。

景謙だけが戻らなかった。

「氏貞……お前は分かっていないな」

「何を?」

「お前が誰を近くに置くかで、周りが何を見るかだ」

清河が額を押さえた。

「お前がそれ言うのかよ……」

「何だ!」

「今夜のお前が一番まずい!」

その時、外で何か落ちる音がした。

誰かが慌てて拾い、そのまま走っていった。

景謙が振り向く。

「誰だ!」

返事はなかった。

私は清河を見る。

清河は嫌そうな顔をしていた。

「明日、面倒なことになってなきゃいいけどな」

なった。

朝、炊事場へ行く途中で、若い兵が私を見るなり目を逸らした。

別の男は笑いを堪えていた。

女たちまで、私と目が合うと妙な顔をする。

「何?」

聞いても答えてくれない。

昼前に興が飛び込んできた。

「氏貞殿、大変だ」

「呉軍?」

「違う」

「米?」

「それは国達殿に聞いて」

じゃあ何だろう。

興は言いづらそうに清河を見た。

「噂が広がってる」

清河が嫌な顔をした。

「昨日のか?」

「たぶん」

「どんな?」

興はしばらく黙ってから答えた。

「麗海婆王は毎晩違う男を呼んでて、昨日は景謙殿がそれに怒って夜中に乗り込んだって」

清河がしゃがみ込んだ。

「完成しやがった……」

「何が?」

「最悪の話がだよ!」

私は考えた。

「景謙は軍議に来たんだよ?」

「そこが消えた!」

「清河もいたよ?」

「それも消えた!」

「三兄弟もいたよ?」

興が首を振った。

「そこは残ってる」

「何で!?」

清河が叫んだ。

どうやら昨夜は、景謙が私のところへ入り、そのあと男が三人まで増えたことになっているらしい。

事実ではある。

意味が全部違うだけで。

そこへ当の景謙が来た。

興から噂を聞くと、顔色が変わった。

「誰が言った」

「分からない」

「探せ」

「景謙」

私が呼ぶと、景謙は私を見た。

怒っていた。

私が噂にされたことに怒っているのだと思った。

違った。

「俺以外の男の名まで、お前と並べるな」

清河が立ち上がった。

「そこかよ!」

私も少し驚いた。

「景謙も並んでるよ?」

「俺はいい!」

「何で?」

答えなかった。

三兄弟がいつの間にか私の後ろへ並んでいた。

文七も象の方から来た。

景謙の目が、三兄弟から文七へ順番に移った。

「今後、夜に氏貞へ会う者は制限する」

弘公がすぐに聞く。

「氏貞殿の御命令でしょうか?」

「軍のためだ!」

「違うよ」

私が答える。

景謙が私を見た。

「まだ分からないのか!」

「何が?」

「こうやって、お前の名が勝手に使われるんだぞ!」

「だからって、景謙が決めるの?」

景謙の口が止まった。

私はそれ以上言わなかった。

清河も笑わなかった。

夕方、北から戻った斥候が、もっと嫌な報告を持ってきた。

噂は蒲田の中だけではなかった。

高涼から南下している呉軍の陣でも、すでに話されているという。

麗海婆王は夜ごと男を替える。

その男たちを側に置いて、九真を動かしている。

私はしばらく黙った。

「軍議なんだけど」

清河が遠い目をした。

「もう届かねえよ」

景謙だけは、噂を笑い飛ばさなかった。

「誰が広めたか調べる」

それから私の周りにいる男たちを見回した。

「ついでに、誰が氏貞へ近づいているかも全部洗え」

「景謙」

「何だ?」

「それ、噂を止める話じゃなくなってない?」

景謙は答えなかった。

陸胤の兵が近づいているのに、景謙まで私の周りから人を減らそうとしていた。

呂清河だ。


今回はベトナムの路地だ。

南部じゃ hẻm(ヘム)、北部じゃ ngõ(ゴー)と呼ぶことがある。

住所に「127/3A」みたいな斜線が入ってたら、表通りから路地へ入った先を示してることもあるぞ。


「氏貞、この路地入るぞ」

「象も?」

「置いてけ!」

「文七なら通せるかな」

「象の幅は文七にも変えられねえ!」


宿や店が路地の奥なら、地図だけじゃなく住所の数字まで確認しとけ。


今回は、こっちの道を敵にも知られた。

次回は、その道を知ってる奴がこっちへ来るぞ。

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