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私、治めてないよ?

シンチャオ、趙氏貞です。


今日のベトナム語は Tôi có thể vào không?(トイ・コー・テー・ヴァオ・ホン?)。

「入ってもいいですか?」という意味です。

店や施設など、入っていいか迷った時に使えます。


「清河、入ってもいい?」

「お前の城だろ!」

「でも前に三人いるよ?」

「昨日来たばっかの奴らだろ!」

「通してくれるかな」

「本人が心配すんな!」


李弘公、李美公、李成公。

どうも三人とも、私の近くが落ち着くらしいです。


「護衛じゃねえの?」

「頼んでないよ?」

「それで増えるのが一番怖えんだよ!」


旅行では、入口で迷ったら先に確認しましょう。


今回は、私の前を勝手に守る人が増えます。

蒲田へ本拠を移してから、まだそれほど日は経っていない。

それなのに朝になると、城門の外に兵ではない人たちが並んでいた。

里長、渡し場の番人、倉を預かる老人、泥だらけの若者、荷車を引いてきた女までいる。

昨日までなら、敵が来たのかと思ったところだ。

今日は違う。

全員、私に用があるらしい。

「何で?」

私が聞くと、国達兄さんが木札の束を抱えたままこちらを見た。

「俺が聞きてえよ!」

兄さんの後ろには、書佐がいる。

その書佐の後ろには、さらに文書を抱えた人がいる。

その後ろにも人がいた。

見なかったことにしたくなった。

「氏貞! 逃げんな!」

「まだ逃げてないよ?」

「顔が逃げてる!」

顔だけで逃げられるなら便利だと思う。

蜂起を始めて三か月あまり。

最初は、里を荒らす役人を追い払えば済むと思っていた。

それが県衙を押さえ、道を守り、倉を管理し、蒲田へ城まで造った。

そして今朝、馬江沿いの渡し場から来た男が、私の前で深々と頭を下げた。

「昨夜から呉兵の姿が消えました。夜番を何人にすべきでしょう」

「それ、私が決めるの?」

男は不思議そうな顔をした。

「氏貞殿以外に、誰が決めるので?」

私の方が聞きたい。

次に来た里長は、呉の役人が逃げた後の倉について聞いてきた。

「勝手に開けないでください。中身を数えて、里で必要な分と兵に回せる分を分けてください」

「承知しました」

その次は、壊れた道だった。

「荷車が通れないなら、兵を出します。近くの里と一緒に直してください」

「承知しました」

その次は、逃げてきた家族をどこへ住まわせるかだった。

「空いてる家だけじゃ足りない?」

「足りません」

「じゃあ寺の近くの空き地に仮小屋を。井戸から遠すぎない場所で」

「承知しました」

私は三人目くらいから嫌な予感がしていた。

六人目で確信した。

「兄さん」

「何だ!」

「私、何してるの?」

「統治だよ!」

即答された。

「してないよ?」

「してるんだよ!」

清河が横で腹を抱えて笑っている。

「氏貞、お前ついに国造り始めたのか!」

「始めてないよ」

「じゃあ今の何だよ!」

「相談に答えただけ」

「それを毎朝何十件もやる奴を、世間じゃ何て言うんだろうな!」

「相談役?」

「王様寄りだよ!」

「寄せないで」

清河はますます笑った。

その間にも、列は減らない。

むしろ増えている。

李弘公、李美公、李成公の三人は、いつの間にか私の周りで人の流れを整理していた。

誰にも頼んでいない。

「次の方はこちらです」

「武器は外へ置いてください」

「氏貞殿へ近づきすぎないように」

三人とも昨日までは、私たちを信用していいか見に来た側だったはずだ。

「ねえ」

「はい」

「何してるの?」

弘公は少し考えた。

「並んでいただいています」

「それは見れば分かるよ」

清河が指を差した。

「もう完全に護衛じゃねえか!」

美公が首をかしげる。

「そう見えますか?」

「見えるんだよ!」

「本人たちにその気はないみたい」

「だから余計に怖えんだよ!」

そこへ興が走ってきた。

「氏貞! 西から急ぎの――」

三兄弟が同時に半歩出た。

興が止まった。

「また!?」

「ごめん」

成公が素直に退いた。

「俺、昨日から味方だよね!?」

「通してあげて」

私が言うと三人はすぐに道を開けた。

景謙とは違う。

そのことに気づいた途端、少しだけ胸の奥がざらついた。

興が持ってきた木札には、山側の里の名が並んでいた。

呉の兵が退いたので、見張り火を蒲田と同じ決まりにしたいという。

「同じでいいんじゃない?」

私が言うより先に、景謙が横から木札を取った。

「北側と同じでは遅い。山道は二段に分けろ。最初の火を高所、二つ目を里の入口に置けばいい」

興が一瞬、私を見る。

景謙はもう続けていた。

「今後、こういう話は一度俺へ持ってこい。氏貞が全部を見る必要はない」

「どうして?」

「多すぎるからだ」

「でも私に聞きに来たんでしょう?」

「俺が整理してから必要なものだけ渡す」

言っていることだけなら、たぶん正しい。

朝から人が押し寄せ、兄さんは木札に埋まり、書佐は手を止めず、私は自分が何人に返事をしたのかすら分からなくなっている。

それでも、何かが引っかかった。

「景謙」

「何だ」

「私が会う人は、私が決めるよ」

景謙の目が止まった。

清河も笑うのをやめた。

ほんの一瞬だけだった。

「……なら、せめて順番は俺が決める」

「順番なら三人がやってるよ?」

私が李氏三兄弟を見ると、なぜか三人とも景謙から目を逸らさなかった。

「頼んでないけど」

「頼まれてはいません」

弘公が答えた。

「じゃあ何でやってるの?」

「氏貞殿へ一度に十人来ると、お困りでしょう」

「困る」

「ですから」

「なるほど」

清河が頭を抱えた。

「お前ら、馴染むの早すぎんだろ……」

そこへ文七が戻ってきた。

象の鼻先を撫でながら、城門の列を一度見ただけで、私のところへ来る。

「南から来た人を先にした方がいいです」

国達兄さんが睨んだ。

「何で分かる」

「馬が泡を吹いてます。かなり急いで走ってきてます」

「またそれか」

「見れば分かりますよ」

清河が馬を見た。

「分かんねえよ!」

私にも分からなかった。

文七は馬の脚についた泥を指で触った。

「川沿いを飛ばしてます。たぶん、向こうで何か決められなくなってます」

「何かって?」

「行けば分かります」

「そこまで分かるなら最後まで分かってよ」

「できたら便利ですね」

本人はまったく悔しそうではない。

南から来た男を通すと、本当に急ぎだった。

近隣の三つの里が兵を出すという。

ただし、どこへ置けばいいのか決めてほしいらしい。

「自分たちの里を守ってくれればいいよ?」

「しかし、それでは氏貞殿の軍になりません」

「ならなくていいよ?」

男が固まった。

私も固まった。

後ろで清河が吹き出した。

「お前、三か月も反乱やっといて、まだそこなんだな!」

「だって、自分の土地でしょう?」

男はしばらく考え込んでから、深く頭を下げた。

「だから皆、氏貞殿のところへ来るのでしょう」

よく分からない。

ただ、その言葉だけは妙に残った。

昼前になると、兄さんがとうとう地面へ大きな布を広げた。

道と川と里の位置を書き込んだ簡単な図だ。

「もう口だけじゃ無理だ。来たところに印を付けるぞ」

「何の印?」

「お前の指示が通る場所」

「そんなの分かるの?」

「今日だけで増えた!」

兄さんは馬江の渡しから山側の里、蒲田の北、南の集落、東の水路へと、次々に炭で印を増やしていく。

興が横から別の報告を置いた。

「ここも。見張り火、蒲田式に変えたって」

書佐も一枚置く。

「こちらは倉の管理を県衙の帳簿に合わせるそうです」

弘公が指を置いた。

「北の二里も、呉兵が戻ればこちらへ知らせると」

美公が続ける。

「東では市場を再開したそうです。兵が勝手に品を取らないと分かったので」

国達兄さんの手が止まった。

私も黙った。

布の上には、もう蒲田だけではない何かができていた。

一つ一つは、私が頼んだことではない。

戦えとも、従えとも言っていない。

困っていると言われたから返事をしただけだ。

それなのに線をつないでいくと、九真のかなり広い範囲がこちらを向いている。

「……兄さん」

「何だ」

「これ、いつから?」

「俺に聞くな」

「でも兄さんが書いたんでしょう?」

「書いたらこうなったんだよ!」

清河が布の端を踏まないように覗き込んだ。

「氏貞、お前もうだいたいこの辺の親分じゃねえか」

「違うよ」

「何が違うんだよ!」

「親分って感じじゃない」

「そこかよ!」

私はしゃがんで印を見る。

兵糧を受け取った印も、道を通していいという書付も、捕らえた者を勝手に殺さないための命令も、里から兵を借りる時に交わした約束も、気づけば私の名前で各地へ渡っていた。

一枚ずつなら、大したものではなかった。

でも、全部を重ねると違った。

私の名前があるだけで、人が動いている。

そのことに気づいた瞬間、少し怖くなった。

「氏貞」

景謙が布の向こうから私を見ていた。

笑っていない。

「これだけの土地が、お前の一言で動くのか」

「私の一言じゃないよ。みんな自分で決めてるよ」

「同じことだ」

「違うよ」

「違わない」

景謙は布の中央、蒲田を指で押さえた。

「中心はここだ。そして、ここにお前がいる」

その指が、次に私の方を向いた。

「なら、ばらばらに動かす必要はない。命令を一つに集めればいい」

「誰のところに?」

「俺たちのところに」

俺たち。

その言い方が、妙に嫌だった。

「私は、みんなの土地まで欲しくないよ」

「欲しいかどうかの話じゃない。もう向こうが従っている」

景謙の目は私ではなく、布の上を見ていた。

川も、道も、里も、兵も。

まるで全部が最初から置いてある駒みたいに。

「氏貞が決められないなら、俺が――」

「決められないんじゃないよ」

私は景謙の言葉を止めた。

「勝手に決めたくないの」

空気が少しだけ冷えた。

清河が私と景謙を交互に見る。

国達兄さんは何も言わない。

李氏三兄弟だけが、いつの間にか私のすぐ後ろへ寄っていた。

まただ。

「三人とも近いよ?」

「すみません」

三人揃って半歩下がった。

景謙だけは動かなかった。

その時、城門の方が騒がしくなった。

興が振り返る。

文七は先にそちらを見ていた。

「遠くから来てますね」

「また分かるの?」

「馬が違います」

「今度は何が違うの?」

「疲れ方です」

清河が叫んだ。

「馬の疲れ方で出身地まで当てんなよ!」

「そこまでは分かりません」

珍しく否定したので、少し安心した。

門をくぐってきた男は、泥と汗でひどい姿だった。

それでも私の前まで来ると、膝をつき、懐から封じた書状を取り出した。

「趙氏貞殿に、お目通りを」

景謙が一歩出る。

李氏三兄弟も同時に動いた。

私はその間から顔を出した。

「私です」

男は私を見上げ、息を整えた。

「高涼より参りました」

誰もすぐには口を開かなかった。

私は聞いたことのある地名を頭の中で探した。

遠い。

かなり遠い。

「高涼って……九真じゃないよね?」

「はい」

「どうしてここへ?」

男は封書を両手で差し出した。

「渠帥・黄呉殿より、趙氏貞殿へ」

清河が私を見る。

国達兄さんも見る。

景謙だけは、封書を見ていた。

その目が、今日いちばん嫌だった。

私はまだ九真を治めたつもりもない。

なのにどうやら、私の名前はもう、九真の外まで勝手に走っていた。

呂清河だ。


今回はベトナムの食堂で出てくる khăn lạnh(カン・ライン)、個包装のおしぼりの話だ。

店によっては無料じゃなく、開けて使うと会計に足される。

いらないなら、何となく開封する前に確認しろよ。


「氏貞、これ開けていいか?」

「どうして私に聞くの?」

「最近なんでもお前に聞く奴が来るだろ」

「おしぼりまで治めたくないよ」

「九真を治めかけてる奴が何言ってんだ!」

「じゃあ兄さんに聞いて」

「国達に回すな!」

「書佐でも」

「行政案件にすんな!」


旅先では、小さな料金でも会計を見ておくと安心だ。


次回、氏貞のところへ来るのは、おしぼりどころじゃない。

九真の外からまで、人が来る。

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