14墓の封印
それほど遠くないところにそれはあった。
あれは……、物語の白い花だ!
頭上高くそびえる白い花は煌々と輝き、タウベを歓迎しているらしい感情を見せる。
「お前を探しに行こうとしたらよー、ここで待てって言うんだよ。本気でどうしようか迷ったぜ」
「ホーカー!」
声のほうに振り向くと、墓に腰かけたホーカーがいた。よく見るとすぐ近くにあと二つ、墓がある。
「全力で探してくれるんじゃなかったの?」
タウベが挑戦的に言うと、ホーカーは渋い顔をする。
「それが、信用されたいなら相手のことをもっと信用しろって言われちまってな。タウベが自力でここに辿り着くことに賭けてたのさ」
「さっきから言われた、言われたって誰に言われたの?」
するとホーカーはいっそう苦々しい顔をして、腰かけた墓から降りてコツコツと叩く。
「早く出てこねぇと、本気でそこに閉じ込めるぞ」
「それは困る」
すぐ足元から声が聞こえたかと思うと、間抜けな張りぼてのように墓が倒れ、現れた穴から壮年の男が這い出てきた。
タウベでも強めに蹴ったら倒せそうなほど貧弱な見た目だが、何を隠そうこの人物こそ偉大な魔導士ジエダスなのだ。
「君たちの健闘はここから見させてもらった。実に美しい友情だ!」
大仰に天を仰いだその後ろで、今にも彼を殴りそうなホーカーが拳を握っている。
どうやらホーカーもそれなりの悪戯をされたらしい。
「師匠はたまに、頭がおかしいんです」
もう一つ墓が倒れたと思うと、弟子と思われる人物が穴から出てきた。
「人を師匠呼ばわりしておいてそれはないだろう」
「事実ですから。まぁ、天才とはそんなものかもしれない、と思えば、多少諦めもつくものです」
「よしなさい。天才は趣味で墓に入らないぞ」
「別に趣味というわけではなかったでしょう。……あ、いや、あなたの場合は趣味ですね。すみません」
呆気に取られて見ているタウベをよそに、二人はまだ何か言い合っている。
馬鹿馬鹿しくなったのか、ホーカーなどその辺に寝転ぶ始末。
「あ、こらっ。人の話を聞く態度じゃないだろう」
「うるせーよ。早く帰りてぇからさっさと話せ。しまいにゃ寝るぞ」
「すみませんね。この人、久しぶりにあなたに会ってはしゃいでるんですよ」
彼が本題を話し始める前に、月がもう少しだけ動いたのだった。




