最終話
アンジュ女王が即位して二年が経った。
クルサード王国はわずか半年で財政を立て直した。
「休養は必要です。お父様方もたまにはお休みしないとダメですよ」
と、アリアナは度々クルサード王国を訪れ、アンジュやフォスティーヌ、シェリル達と交流を深めていた。
今回アリアナは一通の誓約書を携えて、クルサード王国の地に降り立った。
「フェルナン殿下。」
「はい」
「こちらにサインをください。」
「はい。……え、婚約届!?」
「私は記入済みです」
「えっ!わ、私は罪人ですよ!」
「お兄様の話、ちゃんと聞いてました?罪なんかありませんよ」
「いや、そうですけど。僕は子どもをつくる気はありません。継子はどうするおつもりですか!」
「大丈夫です。つくる気にさせます」
「も、もしマジェスタのような人間になったら……」
「大丈夫です。家族総出で躾けます」
「……」
「……私が嫌いですか?」
「好きです!!い、いや、その……」
「……僕で良いのですか?」
「私が貴方でなければ嫌なのです」
さあどうぞ、とアリアナはペンを差し出す。
フェルナンは、それを受け取りサインをすると、アリアナを見つめ、頭を下げた。
「幸せにします」
「はい、私も幸せにします。よろしくお願い致します」
二人は目を合わせて微笑んだ。
「それで今後なんですけど、兄が私の友人と婚姻しまして、私は臣籍降下することになりました。
それでこのクルサード王国で公爵家を興し、公爵家当主に。
伴侶となる貴方は、宰相に任命されました」
「ぼ、僕が宰相!?」
「はい。兄は最初からそのつもりだったようですよ」
「罪人なのに……」
「話、ちゃんと聞いてました?何度も言いましたよね、罪はないって」
「そうですけど……」
「楽しみですね!シェリルとも気軽に会えるし、そうだ!アンジュ様やフォスティーヌ様方とお茶会もしたいわ!」
「もしかして、僕はオマケ?」
「まあ!ちゃんとお慕いしてましてよ!」
子爵令嬢っぷりが抜けないアリアナは、太陽のように笑う。
しがらみから解き放たれたアリアナは、皆を愛し、愛されて生きていく。
孤独に苛まれた王女はもういない。
初めての連載でした。
読んでいただき、ありがとうございました。
後日談として、アンジュの話が書ければと考えています。
短編
知ってました?「俺がいないと駄目なんだ」と思わせる女は、他の男にもそう思わせてますよ
もお読みいただけたら嬉しいです。




