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第七話

「卒業生諸君!卒業おめでとう!学んだことを活かし、クルサード王国に尽くしてくれ!」


壇上からクルサード王国、リカルド国王が学園卒業生を祝福する。

祝福なのか、働けと命令してるのか……。

卒業生達は複雑な気持ちでいた。


壇上には、国王夫妻、フォスティーヌ、フェルナン、アンジュ。

何故か当たり前のようにミルティナがいた。


「そして、君たちを祝福する為に、ルクレール帝国からスタンリー皇太子殿下がいらっしゃった!」


重厚な扉が開き、シルバーブロンドの短髪に深い海のような青い瞳の美しい紳士が入場した。

参列していた者は道を開け、礼をとった。


宗主国ルクレール帝国の皇太子が卒業パーティーに参列することは、事前に教師から知らされていた。

礼を欠くことのないよう、マナーとダンスの時間が増えていたのはご愛嬌。


「私を迎えに来るのよ!」とミルティナは大喜び。

卒業パーティー用のドレスを作り直したり、宝石や髪飾りを買い直したり、髪や肌の調子を整えるために忙しいらしい。学園を休み始めた。

おかげでアリアナ達は友情を深め、束の間の楽しい学園生活を送れた。



「卒業生の皆、おめでとう。学園で学んだことは必ず君達の糧になる。共に学んだ同志を大切に想い、後に繋げてくれ」


さすがに宗主国皇太子の言葉は違う。と誰もが思っただろう。


音楽が流れ、パーティーが始まる。

最初に踊るのは、最も高い位にいるスタンリー皇太子。

誰がパートナーに選ばれるのか。


ミルティナは自信満々でスタンリーを見つめていた。


しかし、スタンリーはミルティナの前を素通りし、壇上を降りた。

手を差し伸べ、ダンスを申し込んだのは……。


アリアナ・バトン子爵令嬢。


アリアナはスタンリーの手を取り、エスコートされて中央に立ち踊り出す。

まるで一枚の絵のように美しく優雅な様は、観ている者を圧倒した。


「なっ、なっ、な……っ!」

ミルティナはフリルたっぷりで宝石を散りばめた最高級のドレスを両手で握りしめる。



「……久しぶりだね、アリー」

「……ご心配おかけしました」


「まったくだよ!国に帰ったら説教だよ!」

「申し訳ございません……」


スタンリーとアリアナは優雅に踊りつつも、お互い鍛え上げたスキルで難しいステップを踏みながら話す。


「楽しかったかい?」

「ええ、とっても!」


「それは良かった。でもそんな笑顔を見せると、アリーの側近達がヤキモチ焼くぞ。あの娘ら早く帰国させろと、うるさくてうるさくて」

「そ……、それは申し訳ございません」


「いいよ。アリーが幸せなら、皆、嬉しいのだから」

「お兄様……。ありがとうございます」


二人が踊り終えると会場からに大きな拍手が起こる。

スタンリーはそのままアリアナの手を握ったまま、壇上に上がる。


フォスティーヌとフェルナンとアンジュは立ち上がり、スタンリーとアリアナに礼をとるが、国王夫妻は座ったままだ。


「いつまで手を握っているのよ!離しなさいよ!」

と、怒りで赤くなった顔でアリアナを睨みつける。


フォスティーヌ達は頭を下げたまま微動だにしない。


「スタンリー様、私がミルティナですわ。お間違いになったのかしら。そこにいるのはただの子爵令嬢。スタンリー様に相応しくありませんわ」


ミルティナはマジェスタから譲り受けた庇護欲で誘いをかける。


「誰だ。知らないな。それに名前呼びを許した覚えはない。発言の許可も出していないぞ」


「え……」

ミルティナは呆けた後、またアリアナを睨みつける。


「あ、あなたね!あなたが私の悪口を吹き込んだのでしょ!

スタンリー様!騙されないでください!

この女は、フェルにも色目を使うようなふしだらな女なのです!」


「黙れ!!」

スタンリーの怒声が響く。


『分かったよ。でも予想以上に酷かった。始めてもいい?』

『ええ、お願い致します』


「な、何よ!二人して分からない言葉で話して!」


スタンリーはミルティナを無視して壇上の中央に立つ。


「皆よ聞け!

ルクレール帝国皇太子スタンリー・ルクレールの名において宣言する!


クルサード王国国王リカルド、王妃マジェスタを廃位し、平民としてルクレール帝国鉱山にて労働を命ずる!

宰相、騎士団長、財務大臣も同処遇とする!


王太子フェルナンは廃嫡!

新国王には、アンジュ・クルサードを任命する!


ミルティナ・ハイドフェルド!

ルクレール帝国第一王女アリアナ・ルクレールに対する不敬罪。及び、ルクレール帝国皇太子に対する不敬罪で、貴族籍の剥奪、並びにクルサード王国内修道院へ収容!


以上!」


「ま、待ってください!何故私が廃位なのですか!」

リカルドは顔を青くし、やっと立ち上がりスタンリーに駆け寄る。


「罪人に発言を許可した覚えはない!」

「ざ、罪人?私は罪を犯してなど……」


「まだ話すか……。報告以上の愚かさだな。

いいだろう。教えてやる。


先ずは執務放棄。国王の名に相応しい働きはしたか?側妃フォスティーヌに全ての執務を押し付け、贅を尽くしいたことは、疾くの昔から知っているぞ。

賄賂、癒着、脅迫も酷いものだ。


そして、不敬罪。

私がこの会場に入ってから、一度でも頭を下げたか?たかが属国の国王が、宗主国皇太子いずれは宗主国国王になる私に礼を尽くさぬとは、無礼にもほどがある!


それに最後の一つ、これが一番罪が重いな。殺人罪だ!

前国王夫妻を視察中の事故を装い殺害したであろう。幼い頃から出来が悪く叱責され、勝手に婚約破棄した上、勝手にマジェスタと婚姻する。激怒し廃嫡しようとしていた前国王夫妻を邪魔で殺めた。

証拠は揃っている!逃げられないぞ!」


リカルドは泡を吹いて倒れた。マジェスタはすでに座ったまま意識はない。

側近達は逃げようとしたらしいが、捕縛済みだ。







読んでいただき、ありがとうございました。

2話目は21時にアップします。

最終話を22時にアップします。

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