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勇者はだれ?  作者: 臥亜


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純白の暴走

レオンの黒剣と、セラフィスの光刃がぶつかる。


衝撃波。


王都中央広場が陥没する。


光が、さらに強くなる。


セラフィスの瞳から感情が消える。


完全に。


「修正開始」


王が空から命じる。


「出力制限解除」


その瞬間。


セラフィスの体から、眩い光柱が立ち上る。


空が白く染まる。


リュカが目を覆う。


「なに、これ……!」


ノアが叫ぶ。


「魔力純度、臨界突破……!」


セラフィスの声が響く。


「不純因子、多数検出」


王都全域を見渡す。


共鳴者だけではない。


怒り。


恐怖。


疑念。


絶望。


すべてが“混濁”として解析されている。


「浄化、開始」


地面に巨大な光陣が展開される。


王都全体を覆う紋様。


住民たちが悲鳴を上げる。


ガルドが吠える。


「てめぇ正気か!!」


セラフィスの瞳が光る。


「正気。感情ノイズ、ゼロ」


光の柱が落ちる。


街区一つが消し飛ぶ。


瓦礫すら残らない。


“浄化”。


それは破壊だった。


リュカの胸が凍る。


「あれは……勇者じゃない」


レオンが低く笑う。


「ようやく分かったか」


だが、笑いは薄い。


セラフィスが腕を上げる。


今度は空間そのものを圧縮する。


光の球体が形成される。


王都中心、消滅規模。


ノアが叫ぶ。


「逃げ場がありません!」


王は動じない。


「選別だ」


その言葉に。


レオンの表情が、ほんのわずかに歪む。


「……選別」


かつて、自分に向けられた言葉。


光が臨界へ。


リュカが踏み出す。


震えている。


でも止まらない。


「やめて!!」


聖剣が叫ぶように光る。


だが。


セラフィスの純光が圧倒する。


押し潰される。


膝が沈む。


レオンが空を見上げる。


巨大な光球。


このまま落ちれば、王都は消える。


闇が膨れ上がる。


彼は呟く。


「つまらないな」


次の瞬間。


レオンが跳躍する。


黒い魔力が爆発的に噴き上がる。


「ダークネス・スラッシュ――極」


闇の斬撃が、光球に叩き込まれる。


激突。


世界が白と黒に分断される。


轟音。


空間が裂ける。


均衡。


だが――


セラフィスの出力が上回る。


闇が押し返される。


レオンの腕が軋む。


血が飛ぶ。


それでも退かない。


「まだだろ」


低く唸る。


リュカが立ち上がる。


涙は出ない。


怒りも超えた。


叫ぶ。


「それが、正しい光なの!?」


聖剣が共鳴する。


今までにない振動。


不安定。


揺らぎ。


混ざり合う。


セラフィスが振り向く。


「不純光、排除優先度上昇」


光線がリュカへ向く。


レオンが叫ぶ。


「下がれ!!」


だがリュカは退かない。


「私は不純でいい!!」


聖剣が爆発的に輝く。


白ではない。


金でもない。


暖色の光。


人の体温を持つ光。


光球が一瞬、揺らぐ。


セラフィスの瞳にノイズが走る。


「……エラー?」


初めての誤差。


レオンがその隙を逃さない。


黒剣を振り抜く。


光球が裂ける。


爆発。


空が割れる。


衝撃が王都を吹き飛ばす。


煙。


瓦礫。


静寂。


セラフィスが立っている。


だが、膝をついている。


光が乱れている。


「……誤差、発生」


王の顔が険しくなる。


「制御値低下?」


セラフィスが立ち上がる。


だが、瞳がわずかに揺れている。


リュカを見ている。


「混濁光……解析不能」


レオンが血を拭う。


「純度100%は、脆い」


低く言う。


「揺れないからな」


セラフィスの光が再び膨れ上がる。


だが今度は、制御が荒い。


完全な暴走。


王の制御術式が軋む。


王都全体が悲鳴を上げる。


光が、世界を焼こうとしている。

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